“ヤス” の検索結果 | ページ 5 | 今日もだらだら、読書日記。

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声で魅せてよベイビー

[著]木本 雅彦 [絵]ヤス

尊敬するハッカー仲間のおっちゃんが同人誌即売会でOSについての本を出すというのでオタクの波をかきわけ、ボーイズラブのブースまで買いにいった広野は、そこで“腐女子”で“声優の卵”の姫野沙奈歌と出会う。孤高なハッカーを自称する広野はひょんなことから彼女とつきあっているというエチュードを演じる羽目になり、しかし同時に沙奈歌に惹かれていって…!?
 

イマドキのオタクである腐女子少女と良くも悪くも古きよき時代のオタクであるハッカー少年がお互いの夢や好きな事をやりながらも互いに惹かれていく物語。

なんとなく仲間が欲しくて声優の卵をやってる沙奈歌と、小さい頃からハックやプログラミングが好きで頑張ってる広野の、お互いのスタンスの違いが同じオタクとしてなかなか面白かったです。目的を共有する為に誰かとつるむこともあるけど、最終的には一人で戦う事を是とする広野のような“男のオタク”と、確かにオタクでは有るんだけど根底には仲間と自分の好きな物を共有したくてオタク活動をし、馴れ合い…というか仲間意識の強い“女のオタク”の在り方の違いが上手く表現されていて、オタク小説としても中々興味深く読めます。

性別だけで図れるものではないですが、結構この辺って性別的精神的な違いだと思います。確かに、自分の夢に向かって突き進んでいる女のオタクも多いとは思うけど、同時に仲間がほしくて真面目に漫画が描きたいわけでもないのに漫研に入ったり、某専門学校や声優養成学校に行っちゃう腐女子オタクは多いと思うんですよね…自分も似たような経緯で大学の漫研に入ったりしてましたが(笑)

とはいってもこのストーリーのキモはそんな自意識の違う二人が惹かれあっていく、ラブコメ要素。すれ違う場面ではどちらの気持ちもわからなくなくてハラハラしたり、素直になれない二人にヤキモキしたり…とストーリーに物凄い引き込まれます。同じオタクであっても考え方は180度違う二人が、お互いに良い影響を及ぼしあって惹かれていく過程が凄くツボです。

ただこの小説、広野側の行動や二人の心理描写は物凄く上手いのですが、沙奈歌の「腐女子」という設定を全く生かせてない。ぶっちゃけ一人の腐女子として沙奈歌の行動には熱くツッコミたい部分が多々あります。

特に出会いの場面。
広野に直接「受」か「攻」か聞いてどうする!!
腐女子っていうものは相手に了解取らずに
広野とオッサンとの関係を邪推するのが常道ってものなんだろう!!!

従って本当の腐女子なら最初のセリフは

「レイさんとはどういうご関係ですか」

だ!!

作者さんは“イマドキの女オタク”の行動原理については知っていても“腐女子”については近頃のひん曲がった報道で得た程度の知識しか無かっただろうことが微妙に伺えて、個人的にはそこだけは不満。正直沙奈歌はBL好きなんて設定ない方が良かったと思うんだけどなあ…沙奈歌の語る未知の世界に翻弄される広野の姿を想像していたので、非常に裏切られた気分です。つか「女オタク=BL好き」と勘違いされているならそれは大きな間違いですよ!

逆に広野の言動は物凄くそのテのオタクっぽい。
返事を「Y」「N」で返しちゃうあたりなんか、本当にそういうオタクが居そうだ。

評判が良ければ続編もでるみたいだし、こういう切り口のオタク系ラブコメは中々ないと思うので是非続編を読みたいです。出来ればその際はもうちょっと作者さんに腐女子の生態を勉強していただくか、BL好きという設定自体を無かったことにして戴きたいのですが。


とらドラ4!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

夏休みに亜美の家の別荘に泊まりに行くことになった竜児と大河…そして北村と実乃梨。旅行の直前に“結婚して新居の犬小屋で犬の子供を生む”という悪夢を見た二人は今度こそお互いの恋路を進展させようとする。見事大河の応援を勝ち取った竜児は、大河から必勝の策を授かるが!?
 

今まで“竜児の憧れの人”というポジションで完全に脇役だったみのりんが一気に前に出てきて大活躍。正直今までただの面白発言キャラだと思っていたのですが、今回の話でかなり意外な一面が見え隠れしたりして、一気にツボにきました。こ、これは確かに可愛いよ!!

竜児も今回の件で自分から一歩踏み出すと言う事を覚えてひとつまた成長した感じ。
ほんと、竜児はラノベキャラ最強の「婿に貰いたい理想の主夫」だよ!!是非私の部屋を掃除してください、ええもう心ゆくまでお願いします(*´д`) 目の前の海に行くよりも、ホコリの溜まった別荘を掃除したがったり、幸せそうに別荘の掃除をやらかしているシーンは本気で忘れられませんw

みのりんと竜児が急接近した裏で、亜美と大河のちょっと微妙な感情表現がまた良い。最終的に竜児は大河とくっついて欲しいのですが、実は個人的にキャラとして一番魅力的だなと思うのは亜美だったりします。特に今回、洞窟での会話が挿絵もあいまってめちゃくちゃツボ。大河や実乃梨には決して持ち得ない、“大人”(社会人)としての視点を持っているからか。色々とやりすぎな部分もありますが、一番共感できるのは彼女なんですよね…まあ周囲には居て欲しくないタイプなんですが(笑)

ラストの大河は少しずつ自分の本当の気持ちに気付いてしまった感じでしょうか。実乃梨と竜児の大接近もあったことだし、突然北村と急接近しちゃいそうな感じもしますが。しかし北村と実乃梨、最終巻あたりで何気にくっついちゃいそうな予感がするのは私だけ?

大河が凄く控えめなので特有の破壊力みたいなものはあまりなかったのですが、今回は今まで以上にキャラクターが魅力的で、3巻までの破壊力を補って余りあるものがあったと思います。破壊力の方は4巻以降に期待!(笑)


とらドラ!3

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

大河に亜美との仲を誤解され、お互いぎくしゃくしたまま迎えたプール開き。少しだけ大河と仲直りできたかと思ったのもつかの間、なんと大河と亜美が水泳で対決することとなってしまい、頭を抱える竜児。しかも大河はとんでもないカナヅチで…!?
 

当人は気づいてないんだけど周りからみたら明らかにお前ら相思相愛だろ!って雰囲気がたまらんです。明らかに亜美に嫉妬してるのに、それを断じて認められなかったり、感極まって「竜児は、私のだぁぁぁぁぁーーー!!」と叫びだしちゃう大河が激しく可愛い。逆に竜児の方も少しずつ大河に傾いている様子が見受けられて、最初から最後までとにかくニヤニヤしっぱなし。ラブコメはくっついた後よりもくっつく前のもどかしい関係が大好きな私にとっては至高のラブコメシリーズかも。

今回は全体的に少し人間的に弱いというか脆い大河の様子がとにかく可愛かったです。普段「手乗りタイガー」なんていわれて恐れられていても実は泳げなかったり、貧乳を気にしていたり、女の子らしく嫉妬してしまっていたり(しかもそれを嫉妬と認められなかったり)で普通の女の子らしい部分が強調されていたように思えます。ああ大河たん可愛いよ大河たん。普段の「手乗りタイガー」な彼女とのギャップがたまらない!!

竜児に気のあるそぶりを見せる亜美や相変わらず良い味出してるみのりんもとても良い感じです。しかし個人的には水泳勝負でキレて猛烈に追い上げてくる亜美タンをもっと頑張って描写してほしかったなあ(笑)
みのりんの「偽乳特戦隊」は2006年ラノベ最強の迷言だと思います。

次巻はやはり亜美の別荘での夏休みネタでしょうか。かなり楽しみ。


とらドラ!2

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

大河と竜児のクラスに、北村の幼馴染で美人の転校生・川嶋亜美が現れた。雑誌でモデルをやっている彼女はすぐにクラスに溶け込み、その中心になっていく。
しかし、そんな彼女の本性は外面全開の性悪女で…!?

 

新キャラクターの亜美以上に櫛枝が良い味だしてます。
怒るときは怒るけど、過ぎた事は気にしないサッパリした気性に加えて情に熱い性格が最高。

しかしダイエットの話は…ありゃ温度下がるよなあ。可愛くなりたい女の子にはほぼ全世界共通のタブー項目でしょう。オシャレには無頓着気味な私でも、明らかに自分より体型良くて可愛い女の子にあんな発言されたらキレます。

そして同時に
「自分を『天然って言われる』、という人間に、まともな奴なんかいないのよ」

この部分に激しく同意。
自分が同じ女性だというのもありますが、こんな発言されたらぶっちゃけドン引きですよ。みのりんのオーバーリアクションには大爆笑しましたがw
天然っていうのは自分が天然だってわからない人のことを言うんだよ!自分のこと天然だとおもってる奴は確信犯っていうのです。

でも同時に、外面作って取り繕ってしまう亜美の気持ちも痛い程判る。きっとこの子もいろいろあってああいう性格になったんだろうなあ。ブチ切れてストーカーに突撃していく亜美が最高でした。余程溜まってたのね…!

ちょっと終わりが尻切れトンボっぽかったのが気になりますが相変わらず面白かったです。早いところ新刊買って来よう。

短編は爆笑しながら読んでましたが、生徒会長のキャラが最高。ていうかフルメタといい、殺×愛といい、最近個性爆発な生徒会長が多すぎですよラノベ界!


とらドラ!

[著]竹宮 ゆゆこ [絵]ヤス

目付きが悪く不良と間違えられることが悩みの“普通の少年”高須竜児は、とあるアクシデントをきっかけにクラス中から「手乗りタイガー」と呼ばれ恐れられる少女・逢坂大河とお互いの恋愛を成就させるため、共同戦線を組む事になるが…
 

うわああああ大河たん可愛いよ大河たん!

ちっちゃくても凶暴でツンデレで一生懸命ででもドジっ娘とか色々と最高です大河たん。可愛すぎるぜ大河たん。
序盤の展開でどうしても「涼宮ハルヒ」を思い起こしてしまいましたが、最後まで読んだら上質なラブコメでした。基本的にただの学園ラブコメには興味のない私ですがこれはツボに来た。お約束な展開の連続も非常に良いです。特にラストの展開は電車の中だというのに終始ニヤニヤが止まりませんでした。二人に幸あれ!

そして同時に大河も非常に可愛いんだけど、主人公の竜児がツボでした。
涼宮ハルヒにおけるキョンのような、ツッコミの激しいただの学生かと思っていたらなんと完璧な主夫。一家に一人欲しいタイプです。婿に欲しい。絶対こいつと一週間寝食を共にしたら餌付けされてしまうと思われる。是非我が家に来てお弁当を作って下さい。そして樹海になってる自室を掃除してくだs(強制終了)

余談ですが、1巻を購入した翌日にアニメイトの「とらドラ!フェア」を知り
猛烈に後悔した今日この頃です。とりあえず2巻はメイトで買いました。
3巻の在庫を店員に聞いたところ0.1秒で「ありません」と返事をされてビビりました。
そんなに聞いてくる人が多かったんだろうか…露骨に「もうその話はしないでくれYO!!」というオーラが漂ってましたが。


フォルマント・ブルー カラっぽの僕に、君はうたう。


[著]木ノ歌 詠
[絵]ミヤス リサ

 
もうすぐ死んでしまう主人公と、「シンセサイザーの」女の子が、音楽を通して心を触れ合うといった話?オーソドックスなギャルゲ…もといラブコメ展開にSFやファンタジー要素が加わった感じです。

「インフィニティ・ゼロ」じゃないですが全体的に泣かせ系のギャルゲーっぽい印象がどうにも残ってしまうのが難点といえば難点かなあ。死ぬのはヒロインじゃないけど。良くも悪くも鍵系好きな方はきっと感動できる小説だと思う(笑)

それとは別に、凄く音楽に関するマニアックなネタが多数登場します。
ヒロインがシンセサイザーであるというのもあるんですが…クラシックや現代の音楽にいたるまで。
ただ、読んでいて気になるようなうっとおしい解説とかはなかったので。
二人で音楽を作るシーンなんかは「ああ、こうやって最近の曲って作ってるんだ?」と単純に感心。

全体的に感動系のお話で履歴も無い「からっぽ」の主人公が
電気仕掛けの歌姫であるヒロインと行動を共にする事によって感化しあい、
お互い少しずつよいほうに変わっていくという辺りは結構みもの。
最後のコンサートのシーンではかなり涙がこぼれてきました。
ガルバとかゲネラルパウゼとか、機械達の動きが凄く切なくて、凄くよかった。
しかし、最後で主人公生き返っちゃったのはちょっとご都合主義っぽい感じがしました。

惜しむらくは、正直悪役の扱いがすこぶるよろしくない事。
せっかく「別に悪い人じゃないんだよ」というような描写が幾つも出てきて
後半では結構ヒロインを助けるような役回りを演じるというのに
最後は「逮捕されたよ」で終わりかよ!!ってのが…。
彼の行った悪事が許されざる事は明らかなのですが、
こういうオチをつけるなら最後まで「悪い奴」で押し通しちゃって欲しかったなと思います。
ってか吾郷はとにかくゲネラルパウゼどうなったのー!?(叫)

前半でちょっと中だるみっぽい部分がありますが(専門的な話題が続く為)
後半はテンポもよく一気に読み進む事が出来ました。全体的には面白かった。