[著]白瀬 修 [絵]ヤス
「ちょっ!?のぞきはまずいと思いますの!」
漸く戻ってきた母親・此方の提案で、魔法少女達全員で慰安旅行と称し温泉に行くことになった。温泉に入ってゆっくり疲れを癒す彼方だったが、実は女湯の方ではとんでもない計画が進行していた!? | |
もうこのシリーズって、「女装」モノっつーより「百合」モノだよね。
彼方が男の子である意義や必要性が感じられない時点で、
「女装」モノとしてはちょっと駄目だよなー。一発ネタとして読むには面白かったと思うのですがシリーズとして長期化するとシリーズが進むごとにそういう部分が薄れていってるように感じます。どちらかというと、彼方を男にすることで魔法少女たちとの百合な絡みシーンを不自然にさせない意図を感じるというか……。
明日野丈や古伊万里みさらの彼方と出会うきっかけ話が語られる
「甘いお菓子が食べたいわ♪」がすごく良かったです。単なる変態セクハラ男だと思っていた明日野丈のさりげない心遣いに惚れました。普段のどつき合いの裏で隠された、二人の深い信頼関係がすごく良かったです。同時に、彼と出会う前の“笑わない”彼方に興味が湧きましたね。自分の容姿について今ほど割り切っていない彼方が丈やいいんちょと出会うことにより少しずつ自分自身と折り合いをつけていく様子が描かれたら面白いんじゃないかと思いました。勿論、丈の告白という大きな節目はあったんでしょうが、それをきっかけに「少しずつ変わっていく」彼方の姿が見たいです。
あと、アニメイト限定版と通常版表紙と、本編とのリンクに噴いた!!!w
いっそアニメイト限定ではなくて普通に両方の表紙で2バージョン出して、どっちの売り上げが良いか調べればよかったと思うw
ちなみに私は明日野丈派です。タキシードこなたんモエー。
しかし、残りの2編は悪い意味で「いつも通り」でうーん…悪い方向で中途半端。温泉ネタは他のラノベ作品であったようなな、もっと激しい応酬を期待してしまったこっちが悪かったんですが…。百合ギャグに走りたいのかシリアスに走りたいのか中途半端な印象を受けました。
そして彼方が女の子になってしまった一週間の話
「少女な彼方の一週間」は、元々あまり好きではない性転換ネタであるということを置いておいても微妙。どうせ少女になった彼方の話を描くなら
もっと盛大にはっちゃけるべきだった!!体育の時間の話といいグレ子にバレそうになる話といいどちらも全く「バレてしまうかも!」という緊張感がなさ過ぎる。もっとドッキリハプニングが欲しかったです。特に後者は押しの弱いグレ子だけじゃなく依お姉さんもその場に居て、胸の真偽を確かめるという名目で追い掛け回されるくらいの勢いが欲しかった。
3巻ラストで彼方が男に戻ったのは既に確定している事項なので、戻れるか戻れないかの緊張感も足りないのも致命的でした。こういうのを入れるのならば彼方の性別が戻ったかどうかはこの短編の最後まで伏せておいたほうが良かったと思うんですよね。なんかあらゆる意味で「ぬるい」短編でした。
後書きで3巻の際に賛否両論で色々悩んだみたいな記述がありますが、ここいらで女装少年モノとしての当初の路線を貫くのか、女装もアリのセクハラTS物として本格的に百合方向に進んでしまうのかをはっきりとさせたほうが良いと思う。「色々な方向をやっていきたい」とのことですが、今回の短編集はあまりにもどっちつかずで、中途半端です。女装派とTS派どちらも手放すまいとしてすっ転んでしまった印象が拭えません。
ぶっちゃけ、気に入らなかったらファンは切るだけなんですから、一部のファンの意見なんか気にしないで自分の好きな方向に行けばいいと思うんですよ。彼方にはそれだけの魅力があるんだし。ある程度、方向が合わないファンを切り捨てる覚悟も必要だと思うのですが。(まあ私は今後もTS展開が頻発するようなら切ると思います)
【オマケ】なんとなく脳内に浮かんだ、
「おと×まほ」派閥表。
かなたん可愛いよ派
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├─ かなたんは男だからこそいいんだよ派(女装派)
├─ 今後TS変身ヒロインとして活躍すればいいよ派(TS上等派)
├─ むしろ3巻最後で女の子になっちゃえば良かったんだよ派(女の子派)
├─ こなたんや魔法少女の誰かとくっつけばいいよ派(百合派)
└─ かなたんの性別は「かなたん」だよ派(性別:かなたん派)