従姉妹の結婚式でデュークを連れ隣国に向かうことになったレティ。彼女には、結婚式のついでに済ませたい用事があった。ところが、旅の最中にアクシデントが起きてつれてきた従者がデューク以外使い物にならなくなってしまう。しかも、イルストラ国では、肝心の花嫁が行方不明になるというとんでもないトラブルが発生していて…
隣国でつれてきた従者達もおらず、デュークも他の事件の調査に向かわせて……とほぼ孤立無援の中、イルストラ国で起きているトラブルの対処に奔走するレティ。なぜか花嫁の不在を執拗に疑うノーザルツ公の追及の目をかわしていく手並みは鮮やかなんだけど、これまで「何の力もない王女」として世間の目をあざむいてきたからこその、知識はあっても経験不足な彼女の弱い部分が透けて見える展開が面白かったです。たとえ人知を越えた能力を持ち、王となる運命を背負っているレティも完璧ではないんだなあ。
そんな状況の中、デュークに代わり彼女の傍に付くことになった“国境将軍”クレイグ。現国王との不和によりナイトオブワン候補筆頭ともいわれた信頼を捨て、わざと最前線に身を置く彼の気持ちをほぐし、少しずつ自分へと目を向けさせていくレティのタラシっぷり……もとい手腕はさすがでした。
王としての考えと彼ら自身の考えが別にあると示唆しながらふたりのわだかまりを解き、彼が一度諦めた夢を再び叶えさせる為に手を伸ばすレティが本当にかっこいい!特に、クライマックスのやりとりにはシビれました。
そして気になるフラグを残しつつ次巻へ続くなんだけど、一難さってまた一難のハードな状況、レティがどうやって立ち向かっていくのかとても楽しみ。
▼ 最近の記事
H+P(13) ‐ひめぱら‐
シリーズ完結編。ハーレムエンドになるのは既に既定の路線という感じだったけど、うーん、予想以上の範囲の広さでハーレムが形成されてるなあ。
史上最強の姉・神来桜子との最終決戦!みたいな大きなイベントごとはあったものの、基本は両想いになったトレクワーズの五美姫とのイチャイチャラブラブがメイン。正直、恭太郎の考えには色々モヤモヤしてしまうことも多いんですけど、姫様達も納得済みのハーレム展開だし、世界観的にはいけない事じゃないしな…。ただなんというか、恭太郎はよくも悪くも「ハーレムラブコメの主人公」という、物語にとって都合の良い存在から抜け出せなかったなあと思う。
明かされた一連の物語の真相を聞くと、正直恭太郎よりもガイルーン視点でこの物語を見てみたかった気がします。まあ、それやるとジャンル変わっちゃうんだけど。あと、さりげなく物語の裏で展開されてるアレスタの恋物語にニヤニヤしました。色々な意味で凄い所に着地しちゃったけど、幸せになれてよかったねアレスタ…。
エロ描写、シリーズ初期の奇をてらったエロは笑って読んでたけど途中から変に奇をてらいすぎてあざとすぎて引くわ、逆にマンネリだわみたいな感じになりその辺は本当にきつかったんだけど、シリーズ終盤、お互いに素直になってからのエロコメ描写はとてもよかったです。良い仲になったお姫様達とのイチャイチャは見ていてとても可愛かったです。
しかし、色々な部分をファンタジーな設定で誤魔化して綺麗に落としにかかったんだから、最後まできっちりとファンタジーを貫いて欲しかったというか、ラストでお姫様達が次々に中に出せ云々言い出す場面とか、カリギュラ様が第二次性徴迎えたからもうヤっても大丈夫とか最後なんでこんなに生々しいの!?
メルルの見た目もかなりギリギリアウトじゃないかなって思うんですけど、カリギュラ様11歳とか年齢的にはアウアウにも程があってマジ誰か止めろ……。
H+P(12) ‐ひめぱら‐
「判決をくだしますっ!神来恭太郎被告を死刑に処すっ!」突然言い渡された判決に恭太郎はただただ呆然とするしかなかった。「俺がいったいなにをした!?」そんな叫びに対して提出された証拠はどれもえろえろな事件ばかりで!?秋祭りに行けばお姫様たちから誘惑され、呪いのぱんつ事件が起きれば強引にでもお姫様たちのぱんつを脱がしにかかる。ちきしょう!主人公ばっかりいい目に遭いやがって!!と羨ましがられながらも、恭太郎のはーれむ地獄(天国)は今日も続く―ちょっとエッチでらぶらぶなエピソード満載!そしてカリギュラもついに××しちゃう!?大興奮の最新刊登場。 (「BOOK」データベースより)
富士見は完結目前にトラップ的に短編集まぜてくるのそろそろやめませんかね凄い心折れるんですけど!かといって短編集出さないまま完結すると未収録短編を放置したりするからほんとこのレーベル油断ならない……
カリギュラと桜子が主従関係を結ぶまでのあれこれを描いた番外編「神来桜子には誰も敵わない」がとてもよかった。王女としての矜持は持ちながらもどうしても我侭王女という一面が強かったカリギュラが自分よりも圧倒的に強い桜子に振り回されながらも、少しずつ彼女の強さと優しさに心を開いていく姿がとても可愛いんだけど、11巻ラストだけだと色々な意味でキャラが掴みきれてなかった恭太郎の姉・桜子という人間を最終決戦前に掘り下げてくれたのが良かったと思う。現在の恭太郎にとっては恐怖ばかりが先行する姉かもしれないけど、頭が硬いだけでなくてちゃんと誠意を持って話せばわかってくれる人物だと解っただけでも、今後の展開に対して明るいものが見えた気がしました。
前巻ラストの恭太郎の発言には本気でイラッとしてて、その件に関するフォローが一応はいってたのも良かったんだけど、なんか本当に色々と紙一重なこれ……何のフォローもないままじゃなくて良かったけど、どうしても言い訳っぽく感じてしまう部分も多かったし、切腹しようとしていた時点までは、どうかんがえても一連の発言や行動は「逃げ」だったと思うので……うーん。最終巻でこの気持ちをふっとばしてくれるようなかっこいい姿を見せてくれることを期待したいです。
っていうか、今回の件で見えてきた桜子の性格からして、11巻ラストの発言はむしろ墓穴掘ってるよなぁ…どうなることやら。
H+P(11) ‐ひめぱら‐
「『お嫁さんになっちゃうのは誰だ!?ラブラブちゅっちゅウィーク!』開幕なのじゃ~!」カルタギアから無事にトレクワーズに戻って来た恭太郎と五美姫たち。しかしホッとしたのも束の間“淫魔の左目”と呼ばれるサキュバス・ディルケーがサキュバスの女王・ネレゲイドを復活させてしまう。だが“男性経験”のない姫さまたちにはサキュバスに対抗しうる力はない。そこでピコル師匠の提案で、恭太郎がユフィナ達の中から一人、えっちをする相手を選ぶことに…。かくしてトレクワーズのお姫さまたちによる恭太郎“誘惑”合戦が幕を明けた!果たして彼と“えっち”するお姫さまは誰なのか。 (「BOOK」データベースより)
ついに復活してしまったサキュパスの女王・ネレゲイド。彼女の“魅了”に立ち向かうには処女を捨てなければならない…ということで、とにかく1人でもいいから五美姫の誰かとえっちをしてくれ、とピコルに頼み込まれてしまった恭太郎。同時に、サキュパスへの耐性をつけるためお姫様達と出来る限りたくさんキスをするようにと頼まれるが……というお話。
駄目だこの主人公なんとかしないと。
これカタブツじゃなくて「ヘタレ」って言うんだよね知ってた。結局、自分が「1人としかエッチしたくない」って言ってるくせにその1人を選ぶ事が出来ず逃げ出し(本人は「立ち向かう」っていってたけど、恭太郎がネレゲイドに勝てる見込みが全くないのは誰もが解ってる話で、そんな特攻はただの逃げだとおもうので)、アレスタに説得されて全員を選ぶっていいだしたとおもったら今度は姉の命令で……ってちょっと不誠実にも程があるよ。いや、前巻であれだけ良い感じになっていたユフィナと結ばれなかった時点でハーレム展開なんだろうなあという予想はしていたけど、最後のアレがちょっと本当に、なんだかなあ。正直、今回の恭太郎の態度には胸糞悪さしか感じない。
なんか、描写自体はエロいものの、これまでのあざとさばかり感じていたお色気展開とはうってかわったお姫様達の初々しい反応とか恭太郎が全員の気持ちを知ったからこそできる可愛らしいかんじのエロスとか、5人が仲良し姉妹であるがゆえに恭太郎を独り占めしたいと思う一方で「誰か1人を選んで欲しくない」と感じるジレンマ・心の葛藤が物凄くしっかり描かれていただけに、それに応えるべき恭太郎の態度のグラつきっぷりにイライラしました。いやほんとうに、こういう話ならハーレムエンド自体は悪くない流れだとおもうんだけど(特にこの物語の場合、絶妙に全員と恭太郎の好感度が一定になっているので「1人だけ選ぶのが無理」というのもわかるんだよな)、本当に恭太郎が「男らしくあれ」と思っているなら一度決めた気持ちを曲げないで欲しいというか、ほんと最後のアレ酷い。
まあ、最終巻でもういっかい一転してなんとかおねえちゃんと対決して元鞘納まる展開なんだろうけど、姉さん圧倒的すぎで笑う。スレイヤーズでいう「郷里のねえちゃん」がうっかり本編出てきちゃったくらいの破壊力だったわけですが、もう間違いなく彼女がラスボスになるの確定っぽくて、どうなることやら。正直、楽しみといっていいかわからないけど、ここで止めたら胸糞悪すぎて辛いので最後までちゃんと読みたい気持ちです…。まあ、ハーレムラブコメとしてはこのくらいの主人公で丁度いいんだろうけど、やっぱり女の子萌えするにはちゃんと男の子のほうに惚れるだけの魅力があって欲しいんだよね…。
しかし、アレスタが一世一代の大活躍すぎて、ちょっとは彼にも日の目をあててやってよと思うレベルでした。というか、恭太郎を連れ戻す時のアレスタがかっこよすぎる悔しい!
あと、エリス様の破れストッキングの挿絵なんでカメラさんあと30センチ下げてくれなかったんですかエリス様のフトモモ!!
H+P(10) ‐ひめぱら‐
8巻のラストからもっと泥沼展開になるとおもいきや、プロローグであっさり利害が一致して共闘はじめよったこの姫様達!!サキュパスに魔力を奪われ、勃たなくなってしまった恭太郎(とアレスタと2000人の王仕様+α)の魔力を取り戻す為、別行動を取っていたアルト・メルル以外の4人が次々と本気でラブアタックをかける、というお話。
相思相愛が条件であるため、これまで好意をあまり表にだしてこなかった姫様達が遂に本当の気持ちを打ち明ける展開がとてもよかった。これまでとおりのお色気シーンももちろんあるわけですが、他の巻と比べて恭太郎との心の絆が強調される展開なのであざとさを感じなかった。というか、元々五美姫の中ではエリス・ユフィナが好きだったので今回はその2人に焦点が当たってて美味しかったです。
特に、これまで自分自身にも自覚がなかったユフィナが今回の件をきっかけにちゃんと自分の気持ちを見つめなおし、少しずつ素直になっていくのが可愛い。カリギュラ様も可愛いけどいろんないみで幼女だしな…。個人的に、恭太郎とくっついてほしいヒロインをあげろと言われたら即答でユフィナなんだけどなー。
あと、女体盛りエリス様のあらわもないフトモモ+生クリームデコレーション美味しく戴きました!!!!!エリスさまマジフトモモ要員。この巻の表紙のエリス様も大変おいしかったです。
新生徒会の一存 碧陽学園新生徒会議事録 上
旧生徒会メンバー卒業後に1人碧陽学園生徒会に残った杉崎が、新生徒会メンバーとのフラグ構築の為に奔走するアフターストーリー上巻。
これまでの既にフラグが互いに構築された状態ではじまった旧生徒会時代と違い、1からフラグを構築する羽目になった杉崎が驕ったり凹んだり間違えたりする姿は、本編とは打って変わってかなり「かっこわるい」んだけど、そんな杉崎が旧生徒会メンバーや幼なじみや家族、元宿敵や親友達に後ろを支えられ、なんとか孤軍奮闘していく姿が新鮮だった。不器用ながらもかつて旧生徒会メンバーにそれぞれフラグを立てられた杉崎が今度は彼女達にされたことを新メンバーに対して返していくという構図が面白い。
新生徒会メンバーもそれぞれ魅力的なんだけど、個人的にはむしろ新しい新聞部部長・風見めいくとの共犯者関係が大変美味しかった。こう、時折フラグを立てられそうになりつつ基本的には部外者位置から利害の一致でいっしょにいるという関係性が美味しい。あと、まさかの枯野先生のポジションにニヤニヤが止まらないのですが。本当にこの人はいいツンデレだよ!!!あと、水無瀬の親父さん笑うしかなかった。
彼女達の抱える事情や歪みを「解決」するのではなく、折り合いを付けさせて少しでも気持ちを軽くしてあげる程度の「お手伝い」をする。そして生徒会という居心地の良い場所を与えてあげる。そういう場所としての「壁陽学園生徒会」をいまいちど実感するような物語でした。
新メンバー4人のうち2人を説得した所で残りは下巻へ。色々な意味で上巻で落とした二人よりも難易度の高そうな二人が残ってしまっているので、彼女達を杉崎がどうやって攻略していくか、とてもたのしみです。あと、次巻では新メンバーでの「いつもの生徒会会議」も収録されるらしいのでそちらにも注目ですね。
枯野先生ツンデレ可愛い(大事なことなので2回言いました)
「お前のやりたいことや、やれることを代わりに見付けてはやれねぇけどさ!それでも……」
「お前の電池くらい、すぐに満タンにしてやんよ!」
俺の彼女と幼なじみが修羅場すぎる 6
ど、どうしようヒメメインの話なんだけど真涼さんが可愛すぎて生きるのが辛い……「偽彼氏」の話をヒメに聞かれてしまい、幸い他の面子にバラされることはなかったものの今度はヒメが奇行に走り始めて……というシリーズ第6巻。
ヒメを重篤な中二病から立ち直らせる為に鋭太が奔走する横で、すっかり正妻オーラだしまくりで真涼を圧倒し続ける千和に推されて元の冷静ツンキャラどこいっちゃったのって状態の真涼さんが偽彼氏の話しをバラされるといっては取り乱し、席替えで鋭太と離れた席になったと大騒ぎし……と、威厳もへったくれもない姿を晒す姿がひたすら可愛すぎる。パチレモンの質問コーナー思いつめすぎわらた。本当に、序盤の頃あの真涼さんがこんな残念なキャラになると誰が想像しただろうか……。
そんなコミカルな展開をやりながら、もうヒメでなく誰が見ても残念な恋愛脳な真涼さんが、それでも「恋愛」を容認できずにいる姿がどこか痛々しく。同じように、鋭太もやはり最後の最後で彼女達を大切な“仲間”だということはできても恋愛と結びつける事はできなくて。幼い頃の傷が彼らに与えたごく当たり前の感情を容認できない歪みとすれ違いが切なかった。
なんか、ヒメだからこそ真涼の気持ちに踏み込めたんだろうなあと。良い意味で真涼とは正反対の真っ直ぐな好意こそが、彼女の気持ちに踏み込めたんだろうなあ、と思えてなりません。
黒歴史ノートがズルい。
なんか本当に酷い所で次回へ続く、なんですけどもう続きが読みたくて読みたくて仕方なくて辛いんですが次巻短編集ってどういうことですかマジ辛い……。
生徒会の土産 碧陽学園生徒会黙示録7
私立碧陽学園生徒会―そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが…え?「生徒会の一存って終わったんじゃないの?」って。HAHAHA、YOUは面白いことを言うね。日本には「立つ鳥跡を濁さず」ということわざがあるのを知っているかな?というわけで『みんな集まれ!碧陽学園大合同二次会―ポロリは無いよ!』の開催をここに宣言しよう!ある意味ラスボス的な存在の本妻、飛鳥や杉崎の妹、林檎も参戦。他にもあんなキャラや、こんなキャラなどオールキャスト総出演でお贈りする碧陽学園卒業式延長戦!最後の思い出は「らしく」たくさんの笑顔で―これがみんなの愛すべき日常。 (「BOOK」データベースより)
「1年C組」シリーズ完結編にオールキャストな卒業式二次会の模様を収録した短編シリーズ最新刊。短編シリーズ完結……かとおもったらこちらももう一冊あるようです。
C組シリーズ完結編となる「1年C組の告白」。事実上の真冬のストーキング集団と化していたC組の面々も、真冬の転校を前に変化が…というお話と同時にこのシリーズの語り手だった秋峰葉露自身の家庭の事情と二人の"姉"に対する物語が語られていくのですが、色々と吹っ切った葉露の、リリ姉へのはっちゃけ具合に思わずニヤニヤしてしまった。最初は恥ずかしがっていたリリも、その後の二次会ではすっかりデレて完全にバカップルになってるのが可愛いなあ。
好かれるあまりに遠巻きにされてしまっていた真冬ちゃんと1年C組の関係は正直ものすごくモヤモヤするものを感じていたので、葉露くんがしっかりと言葉にしてくれてスッキリする。なんだかんだで、転校直前にでもちゃんと仲良くなれてよかったよね。
そして生徒会シリーズ本編、前巻完結した2年B組編、そして今回の1年C組編の『最終回ラッシュ』というお祭りの後、卒業式の二次会の模様を描いた「碧陽学園大二次会!」。各シリーズの登場キャラは勿論、本編「企業編」「卒業編」に登場したチョイキャラまでが勢ぞろいのオールスターっぷりが本当に楽しい!前作「マテリアルゴースト」のキャラクターたちも名前だけ登場したりで、葵せきな作品を知っていれば知っているほど楽しめる仕様がとても心ニクイ。
内容はまさに全てが終わった後の大打ち上げ大会という感じで、二次会の名に相応しいぐだぐだぶりなんだけど、とにかく細かいネタが多すぎて拾いきれないほど。一方、続編となる「新生徒会の一存」へのちょっとした仕込みもあったりして、大ボリュームの小ネタの数々を思う存分楽しみました。枯野が相変わらずツンデレすぎて可愛いな!!あと、オチがまさかの残響死滅兄さん。
生徒会の中だけではじまった閉じた物語にこれだけたくさんの人物が関わってきたのだなあとおもうと感慨深い。3シリーズの完結編にふさわしい、彼らの「続いていく日常」を感じさせられるちょっとほんわかした気持ちになれるエピソードでした。
短編集残り一冊と「新生徒会の一存」も楽しみ。
魔女の絶対道徳
咒師(のろんじ)という和製魔法使いの家系に生まれ、自分の住む土地の異界のバランスが崩れると死んでしまうという呪いのようなものに罹患しているせいでいやおうなしに町内の正義の味方をやっている主人公が、天狗や吸血鬼の末裔な美少女達と出会い土地を乱す者たちが引き起こした事件の解決にあたる和風系伝奇バトル。
あらすじとカラーイラストから伝奇系ちょいエログロ暗黒ラノベ的なものを想像していたけど、むしろ若干ダーク気味な異能バトルをツマに口の悪い人外系美少女達との軽妙な会話を楽しむ系のなにかだった。伝奇方向に寄った化物語を想像していただけるとわかりやすい感じ。
面白かったけど個人的にはダークな和風伝奇バトルを物凄くもとめていたので、そういう意味で物足りなかったかも……会話の軽妙さに重きを置いているせいか設定や世界観は重いのにバトルシーンでのシリアス度というか、なんか重さが足りない。事件が解決できないと主人公が死ぬ設定とか、今回の話ではかなりギリギリのラインまで来てるのでもっと描写に切迫感あってもよかったのになあとかどうしてもおもってしまう。
人外ヒロインたちが、主人公とは特に恋に落ちたわけでもなく血の存続的な部分で惹かれて結果的に主人公には大変迷惑すぎるハーレム構図を形成してしまっているのは面白かった。こんなハーレムまったくうらやましくない。
下ネタギャグの乱発が好きでないので個人的な話ですが好みじゃなかった。
和風美少女とバトルと軽妙で下ネタな会話劇が好きな人なら凄く楽しめると思います。
「好きなライトノベルを投票しよう!!2012下期」に投票します
企画元:好きなライトノベルを投票しよう!! 2012年下期
今回も参加させていただきます。本日最終日ですよ!!
下半期に読んだ本がかなり少なめだったので、10票入れられる枠があるんですが削りました。
既存5、新規3です。
既存シリーズ
かじいたかし「僕の妹は漢字が読める5」 ⇒感想 萌えディストピアな未来ネタでバカやりながら、最終的に人類文化の未来を取るか妹を取るかの選択にまで持っていったのは本当に凄い。そしてとにかく妹のクロハが可愛すぎて生きるのが辛いのと、最初空気読めない痛々しいことばかりいっていた主人公の人間的としての成長をしっかりと描ききってくれたのが良かった。私はこれで黒ストに目覚めました。 【12下期ラノベ投票/9784798604374】 |
榎宮祐「ノーゲーム・ノーライフ2 ゲーマー兄妹が獣耳っ子の国に目をつけたようです」⇒感想 最強ゲーマー兄妹の無双ぶりとか、虐げたくてたまらないヒロインとかがツボに入りすぎた!兄妹のお互いに持ち得ない才能を持ったが故の憧憬とか、言葉とおりの“2人でなければ生きていけない”具合とか、言葉の端々から覗かせる過去の不遇とか、それゆえに不遇の天才を捨て置けない空の強い思いとか、本当にたまりません。 【12下期ラノベ投票/9784840148191】 |
夕鷺 かのう「(仮)花嫁のやんごとなき事情 -離婚できなきゃ大戦争!?-」 ⇒感想 相変わらず男前すぎる主人公・フェルの破天荒なあばれっぷりにニヤニヤが止まらないのですが、素直に感情を表に出せず、段々独占欲丸出しになってきた旦那様・クロウからフェルへの歪んだ愛情表現と上手く行動に表せないことへの微妙な葛藤とか、もうニヤニヤが止まらない。今期壁ドン大賞を進呈したいです。 【12下期ラノベ投票/9784047284296】 |
小野上明夜「死神姫の再婚 -怪物王子の死神姫-」 ⇒感想 これまでの鬱屈を晴らすかのようなアツい展開と、糖度全開の夫婦いちゃいちゃぶりおいしい!すっかり出来上がってしまった感あるんだけど、王女と宰相という関係性から一度解き放たれた事で新たな一歩を踏み出した感のある女王元夫妻とか、あとまさかの 【12下期ラノベ投票/9784047284241】 |
大間九郎「オカルトリック02」 ⇒感想 上手く言葉に出来ないけど登場人物達が紡ぐ愛の物語に圧倒される。ねえさんの贖罪にも似た強い愛と、イソラの妄執ともいえる凶悪な愛が互いにぶつかり合って互いに溶けていく様な展開は、なんかもう面白いとかつまらないとかじゃなくて「凄い」の一言につきるなあと。そしてここ以外に落としようがないと納得させられてしまうラストが、とてもよかったです。 【12下期ラノベ投票/9784800200822】 |
新規シリーズ
海法 紀光「ROBOTICS;NOTES 瀬乃宮みさ希の未発表手記」 ⇒感想 クールビューティだけど実はアツい女、みたいな印象だったみさ希が姉バカっぷり全開だったり、初めての恋に浮かれあがったり、周囲に馴染もうと不器用な立ち回りをしたり…という姿が大変可愛いんだけど、ゲーム本編では語られなかった、様々な裏話が壮絶で、そして背筋が寒くなる。ゲーム本編をクリアしたら(←超大事)是非とも読んでほしい1冊。 【12下期ラノベ投票/9784048911504】 |
逢上 央士「オレを二つ名(そのな)で呼ばないで!」 ⇒感想 学園内限定で使える異能力を使った天下一武道会モノ(違う)。ラブコメ度薄め、アラサーのハートをくすぐるパロネタおおめで高校生達がそこまで重たいものを背負うわけでもなく楽しく戦ってる感じが凄く良かったです。男女バランスがそこまで偏ってないのも好印象。あと、あの猫執事1人ください。 【12下期ラノベ投票/9784800202741】 |
大泉 貴「アニソンの神様」 ⇒感想 アニソンバンドということでオタクに心をくすぐるネタをふんだんに盛り込みつつ、個性豊かなキャラクター達がひとつの「バンド」として心を通わせていく青春モノとしても面白かった。“なんでもあり”なアニソンのへの強い愛が感じられる作品。主人公のエヴァが歌う場面での臨場感に心を躍らされる。あと、ライヴの3曲目はアニメ知らなくてもテンション上がったよね!! 【12下期ラノベ投票/9784800201201】 |