小さい頃に「オタクっぽい男」にストーキングされて嫌な目にあったことがある袖崎はクラスのオタク男子達を良く思って居なかった。笑いものにしたり、虫の居所が悪いと嫌がらせをしたりしていたが、外舘という男子だけは全く動じる様子を見せない。あるとき、外舘と二人で追試と補習を受ける事になってしまい……というお話。
ギャル男とオタクの異文化コミュニケーションBL。百戦錬磨の女たらしのはずなのに、色々な意味でマイペースな外舘が気になって仕方ない袖崎の「嫌がらせ」がマジで好きな子に素直になれない小学生男子レベルで微笑ましいどころの騒ぎじゃない。外舘に気持ちを伝えて「お試し期間」に突入してからは今日びマンガやアニメでもお目にかかれないようなテンプレすぎるツンデレ台詞を吐きまくる袖崎に笑いが止まらなかった。
女性経験は豊富でも恋愛感情自体は未経験の袖崎と、良くも悪くも二次元一筋で生きてきた外舘が相手や自分の気持ちに戸惑いながらも少しずつ不器用に距離を縮めていくのが可愛くて、きゅんきゅんする。外舘の親友・片倉がまた良い確信犯っぷりで2828!!外舘の鈍感っぷりを生暖かく眺めながら時々は二人の事をからかったり、しかしその一方で袖崎と外舘がすれ違っていくのが解るときちんとフォローしてくれる親友っぷりたまりませんでした。
袖崎とは対象的に色々な意味でマイペース(といえば聞こえはいいけど悪く言えばオタクにありがちなコミュニケーション無関心症患者)で男前な外舘なんだけど、いざ本番!となった時の慌てようが可愛すぎてやばい。そして思わず「薄い本のネタにできる」思考になってしまう外舘に笑った。これまで読んだオタクネタBLとしては一番位にオタク描写が少ない物語だったけど、外舘が良くも悪くも解りやすいオタクっぷりで良かった。
それにしても、袖崎の子供っぽい独占欲美味しいです。「俺のもん」とかツボに入りすぎて困る。
番外編では、実は壁大手同人作家の外舘が嫌がらせで外舘×袖崎のマンガを描いて袖崎に読ませる(←この時点で色々な意味でニヤニヤが止まらない)話が掲載されてるんだけど、外舘視点の袖崎がかっこいい男すぎて爆笑した。嫌がらせのつもりで遠まわしなラブコールしてますよね外舘もっとやれ!!
▼ 最近の記事
お兄ちゃんだけど愛さえあれば関係ないよねっ4
ブラコンを自称して憚らない妹と、迷惑がってるフリしてるけど実はシスコンな兄貴が繰り広げるラブコメ第4巻。
安定して面白いけど同時に毎回やってること自体は毎回同じなので良くも悪くも「大いなるマンネリ」感……。妹や各ヒロインは皆かわいいし、軽妙な会話のやりとりは面白いんだけど。個人的には2巻ラストがクライマックスすぎた……。
看病対決で立場逆転する兄妹のやりとりが大変面白かったです。兄が心配なあまり一周回って何事にも動じなくなってる妹と、一生懸命妹を弄ろうとして失敗してはもだもだしてコレは早く風邪を治さないと……となる兄が可愛すぎた。他の2人の看病シーンも面白かったしラストの会長とのやりとりにもニヤニヤしましたけど本当にこの兄貴は妹しか見えてないな爆発しろ!!!
しかし、毎回やってることは同じなのに何気に物語の水面下で張り巡らされる伏線はやたらと多いのがこの物語の悩ましいところ。ラストの婚約者での登場にもびっくりしたけど、それ以上にこの兄妹にどんな過去があってそんなことになってるのかが気になる。気になるけど……うーむ。
キミログ
偶然、同級生男子のやってるブログを発見したと思ったら、そいつが普段の落ち着いた優等生のイメージとはかけ離れたテンションの高さで猛烈に俺の事を語っていた。何を言っているかわからないとおもうが俺も何を言っているかry ←あらすじ
「放課後カタオモイ」と同じノリのお話だよと聞いて手に取ったんだけどこっちも負けず劣らず可愛い両片想いバカップルだった!!まさか恋してる当人に見られてるとも知らず、主人公に声を掛けられれば舞い上がってテンションのおかしい日記を書き、主人公が同級生女子と良い感じになってるのを見ればこの世の終わりのように凹んだ日記を書き……という曽原が微笑ましすぎて常にニヤニヤが止まらないんだけど、リアルで会うとそんな感情も押し隠して平然とイケメン優等生の皮を被ってるギャップがまたおかしくてたまらない。この場面でこいつの内面どうなってたんだと考えるとニヤニヤし、その後ブログで正解を見てニヤニヤし……の連続だった。頬が緩みすぎてヤバい。
普段はそんなそぶりを一切見せない曽原の「素」の気持ちを散々ブログを通して間接的にぶつけられて、最初は理解できなかったり画面の向こうでツッコミ入れたりしながら、どんどん曽原から目が話せなくなってしまう睦の姿にまたニヤニヤ。気持ちを伝えても迷惑になるだけ……と睦への気持ちを諦めようとした曽原の姿に、我慢できずに自ら動き出す睦の男前っぷりがまた美味しくて!!見た目可愛かったりイチゴ味大好きだったりと外面は可愛らしいクセに男前すぎるよ、睦!!
ところで、ずっと曽原は片想いの相手が同性であることをひた隠しにしているわけですが、よく見ると一回致命的に相手が同性だとわかる書き込みがあるよね?ぶっちゃけ、もう昔から読んでる読者は相手が同性だとわかってるんじゃないだろうか。いや、っていうか最後の展開だとバレバレなのか。もうエピローグ後はネット上で思う存分相互リンクしてバカップル具合を発信したらいいとおもうんですがどうですか!駄目ですか!
「放課後カタオモイ」と同じくこちらも明確な性描写がなかったのでどっちが上かは確定してないんだけど、これ絶対本格的に致すことになったら曽原が遠慮しまくって逆ギレした睦が自ら……なパターンだと思いませんか?そんな展開が!!すごく!!見たいです!!曽原が上でも睦が上でもいいです。
機巧少女は傷つかない6 Facing "Crimson Red"
夜会の再開まで一ヶ月となった夏休みのある日、雷真は硝子に命じられて小紫とともに“魔王”の一人・グリゼルダの内偵をすることに。“紅翼陣”と似た能力“アリアドネの糸”を自在に扱う彼女の戦う姿を見た雷真は彼女への弟子入りを決意するのだが……というお話。
夜会再開に向けた、続にいう「修行回」というやつなんだけど今までになく夜会に存在感あった気がする!これまでの夜会描写が薄すぎたせいもあり、意味ありげに出てきた50位の人が物凄い要らない子になってるのはちょっと本人は泣いていいと思う。あれだけかっこつけて出てきたけど凄さが全く伝わってこないよ!多分この巻、彼が出てこなくてもなんら問題なく進行したと思うんです……
雷真を中心に、色々なキャラクターの成長が見て取れる巻でもありました。特にこれまで家族の仇を討とうと生き急いでばかりだった雷真が学園に戻って真っ先に言った言葉にはニヤニヤせざるをえなかった。自分のできることと出来ない事を見定めた上で、それでも今の自分の力で立ち向かおうとする姿が印象的。雷真と逢えない寂しさを押し隠して学園で素直に帰りを待つ夜々の姿も精神的な成長を伺わせて胸が熱くなる。
圧倒的な力を持つ“魔王”達の戦いや新たな出会いと別れもとてもよかったですが、ラストの「夜会」で相変わらず喧々囂々しながら戦う雷真とロキの姿にニヤニヤが止まらなかったのは言うまでもない。これまで通りの仲悪さでありながら、もはや喧嘩してるどころかじゃれついてるようにしか見えないのは何故ですかもっとやれ!!ロキが味方に回ってくれる事を喜んじゃう雷真はすっかりロキと仲良しですよねわかります。
シャルの腐ったツッコミに全面同意したい。
ボンクラーズ、ドントクライ
親友。
そうだ、親友だ。そう呼ぶ事に、気恥ずかしさなど、あるものか。
そんな彼を裏切る算段を僕は立てている。たかが、桐香なんて存在のために。
愛しい桐香という存在が憎かった。
“恋愛”とだって天秤に掛けられる、掛け替えのない“友情”。
前世紀末の片田舎の高校で“特撮映画を作るぜ!”と映画研究会を結成したものの自前のヒーロースーツを作ってパフォーマンスを繰り広げる『ごっこ遊び』程度しかしていなかったカントクと肇。なんだかんだでだらだら楽しくやっていた二人の所にやってきた後輩はやたらと物言いのキツい男装少女で、しかし映像編集の確かな知識と技術を持っていた。彼女を半ば無理矢理映研に引きずり込んで念願の映画制作に向けて動き出したが……というお話。
映画の製作が進むにつれて少しずつ3人がお互いの感情を自覚してすれ違う……という青春ストライク具合だけでも充分ツボに直撃なんだけど、色々な意味で↑の引用文の部分で頭パァンした。恋愛と秤にかかってもなお掛け替えのない男の友情!!恋した少女と大切な親友との間に挟まれ、大切な二人がすれ違っていくのをなんとかできる立場にありながらも自分の私欲が邪魔して何も出来ず葛藤する主人公が素晴らしかった。
男子高校生ならではのおバカなやりとりや、一瞬だけ時を共有した3人の掛け替えのない気持ち、デキる姉へのコンプレックスでいっぱいな妹、喧嘩ップルや甘ずっぱい恋心や確かな友情や青春の暴走まで詰め込んで青春素晴らしいな!!という気持ちになりました本当にごちそうさまでした。終り方もこれ以上にないってくらいに余韻を残す綺麗な終り方で大好きです。
個人的には、特撮アニメが好きな人の感想を是非聞いてみたい作品。特撮方面は殆ど知識が無いのでわからないんだけど、時折作中で繰り広げられるやりとりの数々から特撮愛が伝わってきて楽しかったです。
レイセンFile3:ワンサイド・ゲームズ
自分は、もっとずっと高尚な者たちと戦い、勝ち続けてきた。その中に虐殺を至上とするような、低俗で幼稚な輩など、ただ一人もいなかった。だからあんなのは雑魚だ。あんなのはかつて自分が相対した誰一人の足元にも及ばない。
“ええそうよ。さあ行きましょうか、二代目聖魔王閣下……!”
本気のヒデオさんマジかっこいい!!(ただし滅多に発動しない)
伝手で宮内庁の心霊班に就職した川村ヒデオが繰り広げる『戦闘城砦マスラヲ』後日談シリーズ第3巻。個人的に2巻がイマイチで暫く詰んでたんだけどやっぱり物語が動き始めると面白いなあ。人を殺す事を楽しんでいるという、これまでのマスラヲシリーズにはない下種な敵に対して怒りを燃やす一方、これまで自分が渡り合ってきた相手との相対を通して確かに成長したヒデオがかっこよすぎた。
まだまだ水面下で色々動き出してる感じで明確な敵が見えてこないんだけど、こちらはこちらで魅力的なキャラが増えてきた感じ。というかナイトさんの今後の活躍には期待せざるをえない。
……なんだけど、やっぱり書き下ろしのヒデオが魔殺商会の面々に振り回される『ロケットダイヴ!!』のハチャメチャな面白さがもうヤバくて!!薄幸少女属性返上してすっかり周囲を振り回す、作中でも髄一のフリーダムっぷりを発揮する鈴蘭可愛いわー。偉大で濃ゆい先輩を持つと色々な意味で苦労するよね頑張れヒデオ……
“……あんたをアパートから引っ張り出したウィル子ってマジ神だわ”
納得の一言すぎて盛大にふきだした。
ヤツの眼鏡は伊達じゃない
他の高校よりもちょっとオタク率の高い都立城南高校で「SS級オタク」「ギャルゲ主人公」をはじめとした様々な別名を持つ副会長・ニ上衛一郎。彼の元には助けを求める後輩やらオタク勝負を挑んでくるやつらが次々と現れる。それもこれも実は、とある人物の差し金で……というお話。
ジャンル「オタクバトル」らしい。バトルやら何やらで事あるごとに展開される主人公のオタク論が楽しくて、そういうのが好きな人なら楽しめるのではないかと。個人的にはギャルゲー以外のオタクネタに焦点を合わせた「神のみぞ知る世界」という印象だった。色々無理があるんじゃないかと思う部分もあったけど、そういうのが気にならないような勢いで畳み掛けてくるオタク論が楽しい。時々物凄くグサっと刺さるけど!
そしてこれだけ眼鏡男子押しなのにしょっぱなで眼鏡属性disがはじまって何事かと思った!その後も事あるごとに眼鏡ネタで笑いを取ろうとしてくるのが色々な意味で「眼鏡男子」への歪んだ愛情を感じて素晴らしい。もっとラブコメ寄せの話だとおもってたんだけど、どっちかというと高校生同士のワイワイ楽しい感じとかオタクネタに偏ってて楽しかった。
なお、個人的にベスト挿絵は終盤の執事副会長です。っていうか表紙も含めて全体的に衛一郎の挿絵が多かったのは凄く嬉しかったのですがなぜ女装に挿絵がつかないのか。もう遍くラノベは全ての女装シーンに必ず挿絵を付けるようにって条例を作ればいいと思う。あとなんで伊佐治の挿絵がないのかと小一時間HJ文庫編集部を問い詰めたい。
後半でいよいよ黒幕(笑)の幼馴染が登場してからは「バカップル爆発しろ!!」ぷりも酷かったですね!!お互いツンツンしてるのに外から見るとどうみてもバカップルな二人の姿にニヤニヤが止まらない。
……しかし、オタクネタ・眼鏡男子ネタ・バカップルネタが揃って楽しかっただけにエピローグの引きは余計だったなあ……なんかあまり話を大きくせずに校内でワイワイオタクバトルしててほしい。
問題児たちが異世界から来るそうですよ? YES!ウサギが呼びました!
人間離れした異能を持つ子供達3人は異世界からの「世界の全てを捨てて“箱庭”にこられたし」という招待状を受け、異世界へと召喚される。たどり着いたのは“ギフトゲーム”と呼ばれるゲームの勝敗が全てを決める世界。ところが彼ら、召喚した本人が持て余すほどの超・問題児で……!?というお話。
これは良いチート。以前から物凄く俺TUEEEEEなラノベだと聞いていたけどしょっぱなから不良達を潰すために川辺を吹っ飛ばす十六夜のトンデモっぷりでふきだす。色々と滅茶苦茶な能力をもった3人が異世界を所狭しと暴れまわる姿にニヤニヤが止まらない。ただ主人公TUEEEEEというわけでもなく、ちゃんと主人公達の敵わない相手が設定されてたり、各々の能力の得手不得手があったり、参加するコミュニティがほぼ底辺に近い弱小からの下克上展開だったり……でただのワンサイドゲームになってないのも良かった。
“ギフトゲーム”の勝ち負けで全てが決まる異世界の世界観も面白かったけど、キャラクターがまたイチイチ美味しい。女の子達も可愛いんですが個人的には主人公3人の中でも一番のチート存在である十六夜がただのパワーバカかと思ったら予想外に頭脳派だったりとか、コミュニティリーダーのジンとの関係とか大変美味しいと思いました。ジンきゅんが成長して十六夜も一目置くコミュニティリーダーになる展開が今から楽しみです!楽しみです!!
しかし、挿絵がやや本文と食い違ってるのはもう新人さんのデビュー作系ではある程度仕方ないと諦めるべきなんでしょうか。いや、これは普通に挿絵に恵まれてる方のラノベだと思うんだけど、レティシアの「拘束具を彷彿させるロングスカート」という文章描写に超ときめいてカラー挿絵確認したら膝丈タイトスカートだったときの私のガッカリ感ときたら……いえ、横縞タイツも可愛かったですけど……ですけど……。
STEINS;GATE3 境界面上のシュタインズ・ゲート:Rebirth
「俺は、お前が好きだ」
キタ━━━━━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━━━━━ !!!!!
「ふぇぇぇッッ!?」
この助手が残念!!牧瀬紅莉栖視点から綴られるもうひとつの「シュタインズゲート」最終巻。とりあえず岡部に告白された時の助手の反応がちゃんねら丸出しすぎて腹抱えて笑った腹筋返してください!!人間、テンパると本性出るってまさにこのことですね……。その他にも岡部に褒められて思わず@ちゃんねるにノロケスレ立てに行きそうになったり落ち着いてるようで全く落ち着けてない助手が可愛すぎて私が萌え死んだ。
物語は鈴羽の父親探しから始まる原作でもおなじみのシリアス展開の連続。原作ゲームからα世界線最後の一日を紅莉栖視点から描いたドラマCDα「哀心迷図のバベル」のエピソードをなぞり、そしてβ世界線でのオリジナル展開へと続きます。とにかく紅莉栖の視点から見る岡部の摩耗っぷりが酷くて、見ているこっちまで胸が痛くなる。また、岡部が言う所の「死亡宣告」を受けた紅莉栖の内心での葛藤が本当に見ていて辛くて……原作ゲームは岡部の視点のみから続くからこそ、こういった部分はなかなか見えてこないんだなあと実感する。
原作エピソードで橋田父娘、ドラマCDエピソードでフェイリス父娘にも焦点を当てながら最終的には原作エピソードでは軽く触れられただけの牧瀬父娘へと。岡部との関係もまじえつつ最終的に「父娘の物語」として収束していく展開が本当に凄かった。ドラマCDαは既に聴いたことあるんだけど、これまでのずっと紅莉栖視点から父親への想いが語られてきた上で改めてこの物語を辿ると本当に涙なしには読めない。しかしなによりオリジナル展開でのやりとりがもう!!孤独に気の遠くなるような戦いを続けてきた筈のβ世界線の岡部にとってきっと一筋の救いであったと信じたいし、あの場面に現れた“あのひと”はやっぱり、なんだかんだで娘の事を大切に思っていたんだなあと思う。正直ドラマCDαを聴いただけではそのあたりの気持ちは信じきれないものがあったので、こういう形で補完してくれて良かった。というかβ世界線での未来に夢が膨らむな!!どこかで岡部すら知らないような形で「あの人」が岡部に協力してたり……みたいな展開とか妄想してしまう。
とにかくデレデレな助手が存分に拝めたこと、そして彼女の視点からでなければ見えてこない物語の舞台裏を存分に堪能できてとても満足なノベライズでした。助手が好きならこれは本当に読むべき。読むべき。大事な事なので2回言いました。
あとドラマCD3部作を聞いてない人は今すぐ買いに行くべきではないかと!!この物語で取り上げられているのはドラマCDαのエピソードですが、まゆり視点から綴られるβ、萌郁ルートとも言うべきγもあわせて大変良いものです。作品の補完的な役割も担っておりますのでとりあえず早く買いに行くんだ!!
STEINS;GATE ドラマCD α「哀心迷図のバベル」ダイバージェンス0.571046%今井麻美 桃井はるこ 宮野真守 メディアファクトリー 2010-03-31 by G-Tools |
僕の妹は漢字が読める3
文字がひらがな・カタカナだけになって「萌え」文化全盛の23世紀で繰り広げられる妹系ラブコメ第三巻。前巻まででタイムトラベルネタが一応落ち着いたて(とはいえ色々未来の方に火種が残ってる感だけど)、今回は過去改変の影響で現れたギンの「実妹」がクロナと火花を散らすお話。
相変わらずこの23世紀が酷い。各国首脳が二次元化してるのかとおもったら二次元になってるの日本だけだった!日本の首相(※二次元。皆の義妹。萌えキャラ)のを相手に最早恋愛シミュレーションしてる外国首脳の姿がシュールでたまらない。そしてその首相が萌えキャラだというのに典型的な日本の「善処します」「また今度」「考えときます」「答えはいつも“いいえです”」「遺憾の意」(By某国擬人化コメディ)精神全開すぎて爆笑。未来の日本ってマジフリーダムですね!!うっかり「萌え」で世界の覇権を握りそうだ。章間にちょくちょく挿入される23世紀の日本ネタがイチイチ馬鹿馬鹿し面白くてニヤニヤする。正直あまりラブコメには興味ないので一冊丸々23世紀の日本ネタで短編集出して欲しいです。あとオオダイラ先生は古語を歪曲して後世に伝えるのマジやめれ。ミルちゃんとのコンビ漫才がすっかりお決まりになってきたオオダイラ先生のフリーダムさに今回も完敗です……。
今回のメインとなる実妹vs義妹の戦いも面白かったけど、個人的にはギンの人間としての成長が感慨深い。1巻の頃に自分の信じる「正当派文学」以外は認めない!とか言ってた痛い子具合はすっかりなりを潜めて、とても人間丸くなりましたよね。自分の文学が23世紀の萌え文化の中でも異質だというのを自覚したからかもしれないけれど。かつての自分が存在を否定していた近代文学で成功しようとしている妹の姿を羨ましく思いながらも素直に喜んで送り出し、そしてライバルとしてその背中を追いかけようとする姿がなかなかかっこよかったです。
しかし、今回も思い切り次巻へのヒキを作っての終り方だったけど、出番が無くて空気になってるキャラが可哀想なのでそろそろ新キャラは打ち止めにしてもいいと思うんだ。最早「妹にあらずんばヒロインにあらず」な雰囲気になってきてユズさんの存在とは一体なんだったのか……