ジャティスとの最終決戦でそれぞれにとって都合の良い「もしもの世界」に誘われてしまったグレン達。すぐに現実に戻ってきたシスティーナ達とは対象的に、グレンだけは夢の世界から戻ってこなかった。「もしもあの時セラが死ななかったら」というもしもの世界に迷い込んでしまったグレンはセラと祝言を挙げるため彼女の故郷を訪れており──果たして無事に夢の世界から帰還し、教え子たちと共にジャティスとの因縁に決着を付けることが出来るのか!?
最後の最後で投下された情報が多すぎる
完結目前にしてグレンがこれまで向き合うことができなかったセラの死と向き合い、彼女を乗り越えて先に進んでいこうとするお話。ジャティス仕込みの「なんでもあり」な「もしも」の世界──現実に限りなく近い演算世界だからこそ起こりうる、死者達との会話がとてもよかった。突然命を落とすことになったセラに関する様々な無念を晴らすことができたというのがあまりにも大きいけど、本編読者である我々としてはもうセリカの再登場が色々とズルいんだよなあーーーーー。そこからの復活したグレンを加えたジャティスとの最終決戦。これまで教え子たちを導く立場でありながらも自らも大いに迷い続けてきたグレンが自分自身の進む道を決めて強大な「正義」に立ち向かうのめちゃくちゃ良かったんですけど、当のラスボスであるはずのジャティスがもう完全にヒロインみたいなムーブしてるの面白いな。自分でやっておきながらグレンの復活で誰よりも喜んでるの面白すぎるし今回一番ヒロインしてたのってひょっとしてシスティーナでもセラでもなくて彼だったのではないでしょうか。グレンに対するジャティスの存在強度が強すぎるんだよな……。
果たしてジャティスとの決着は着いたもののめちゃくちゃ24巻に続いたし、その終わり方があんまりすぎてめちゃくちゃこちらの情緒をメチャクチャにして行った……。24巻が出るのは知ってたし23巻発売前から公開されている24巻のあらすじの時点でただグレン達の勝利で綺麗に終わるわけではないことは全然知ってたわけですけど……だからってここで終わるなんてそんなことってある!?
魔王フェロードやジャティスすらも恐れさせた、そんな彼らすらも乗り越えてきたグレン達ですら打倒することが叶わない最大の敵。しょっぱなでしれっと示唆されていたジャティスの過去──彼を「狂える正義」へと駆り立てた少年時代の初期衝動とそこに登場するグレンと思しき「正義の魔法使い」とその末路。そしてトドメとばかりに不吉すぎるラストのシスティーナの独白。思った以上に明かされた情報に救いがなさすぎて、たった一ヶ月だけど続きが待てなくて発狂する。いえねこの記事が公開された翌日には読めますけど発売日当日に新刊読み終わってしばらく発狂してた。
最後の最後で投下された情報量が多すぎて(しかも結局グレンやジャティスに関する本質情報は明かされないまま最終巻に突入なんだよなあ)本当にどうなる最終巻!!!!!!