世界の命運を掛けた「天の智慧研究会」との最終決戦は、ジャティスの介入によって予想外の結末を迎えた。そして、休む暇もなく襲い来る世界崩壊の危機。グレンはすべての決着をつけるため、教え子達と共にメルガリウスの天空城へと向かうが……。
物語は最終決戦へ
いよいよはじまった最終決戦。メルガリウスの天空城の記憶──《大導師》フェロード=ベリフであり、《魔王》ティトゥス=クルォーであり、(なぜか発音できない)であった男の原体験としてロクアカ世界の成り立ちを語りつつ、これまで提示されてきた伏線を回収し、様々な苦難を乗り越えて大きく成長したシスティーナ達の勇姿を見せてくる展開がアツかった!!というか本当に教え子達が成長しすぎてヤバい。魔将星に託された古代魔法の力を完璧に使いこなして精神的にも大きく成長したシスティーナ。空の天使の力を使いこなすルミア。剣の姫エリエーテとは違う頂の光を得たリィエル。様々な迷いを吹っ切って戦士としても大きく成長した3人の姿がどこまでも頼もしい。ただ、その反面システィーナ達の見えない所ではジャティスやフェロードの狂気のような「正義」の一端に触れて葛藤するグレンの姿があって。セリカから託された借り物の神秘を持ってしても成長した教え子達に並ぶことは叶わず、あまりにも強大な理想と正義を掲げる宿敵に気持ちすらも押し負けて……目に見える世界だけを守れれば良いという考えとは裏腹にその肩には世界全ての命運が乗せられてしまい。絶望的のようで希望の見える最終決戦というアツい展開の横で少しずつズレていくグレンの姿がひたすら不穏。
それでさえ思いの強さで負けそうなのに、肝心のジャティスが持つ神秘が直球で「意志の強さが力になる」なもんだから本当に笑えない。っていうかめちゃくちゃ派手な魔術決戦やりながら、これどう考えても勝つ方法がジャティスに思いの強さで勝つことになってきてるのヤバいんですよ。これ魔術バトルじゃなくて単なる説得イベントじゃないですかやだーー!!!
どうかんがえても次巻でグレンが限界突破してジャティスをぶん殴る流れなんですけど、それに合わせてこれまでばらまかれていた伏線が一気に整理されて、グレンとジャティス周りの謎や伏線だけ綺麗に残されているの気持ちいい。果たしてグレンは自分の「正義」を見つけて限界を越えることができるのか。最後の魔星将から託された力は戦局にどんな意味をもたらすのか。ジャティスのモノローグも色々と気になりすぎるし、本当に早く……もう明日にでも新刊読みたい!!!(無茶を言うな)
それとなく進展してる人間関係が超気になる
メインは当然明かされた世界の起源と謎、ジャティスとグレンの長きにわたる因縁の決着……だったんですが、さりげなく最終決戦についていかなかった面々の、アルザーノでの大決戦を終えて少しだけ変化した人間関係も楽しかったです。イヴがその正体も知らずにイリアと喧々諤々のやり取りしてるのには本当にニヤニヤが止まらないし、何より雨降って地固まった感じが凄いアルベルトとルナちゃん面白すぎる。個人的にこれは原作完結後の短編集描き下ろしでわちゃわちゃしてるところが見たいって感じの展開すぎたんですが、ルナちゃんとかこれ下手するとエピローグでしれっとアルベルトの正妻に収まってるポジションな気がするんですが大丈夫か!?いや個人的には面白いのでそのカップリングは大歓迎ですけど大丈夫か!!!?