ロクでなし魔術講師と追想日誌 9 | 今日もだらだら、読書日記。

ロクでなし魔術講師と追想日誌 9

 

私が生きている意味はーーこれだったんだ
「Project: Revive Life」から生まれ、グレンに救い出されたリィエル=レイフォード。しかし、彼女には生きる意志が消えていた。帝国に存在を偽り、彼女を育てることに決めたグレンは……

生きる気力を失ったリィエルにかつての自分を重ねるグレンが印象的。一度はグレンに依存させることで立ち直らせるしかなくて……という苦味が沁みるラストから、リィエルが本当に守りたいもの・「生きる理由」を改めて実感する本編の時間軸につなげていく構成にホロリとしてしまった。それにしてもレーン先生の短編もっとください。

レーン先生の短編もっとください。(大事なことなので2回略)

まさかのレーン先生再登場!!な短編「レーンの受難」でテンション上がりまくってしまった。女子寮に出没した下着ドロを捕まえて欲しいというマリアからの依頼を受け、グレン先生写真集(どうみても盗撮)で懐柔されたセリカがグレンを再び女体化させ、女子寮に送り込む!!!という内容なんですけどグレンの実態をよく知らない下級生達から歓待され、マリアに迫られて不純同性交遊の疑いをかけられたり、一転下着ドロの容疑者として冷たい目を向けられたり…と始終女子生徒たちに振り回されがちなグレンの様子にニヤニヤが止まりませんでした。これまで本編にしか出てこなくて割とシリアス要因だったマリアちゃん、コメディに回すとこれまで出てきたヒロインたちとは違う形でグレンを振り回す、良いキャラでしたね。彼女が学園主体の短編に登場できる時系列が限られすぎてるんだけど、レーン先生主体の回をもう一回くらいやってほしい気持ちが凄い。本編も終わりが見えてきているこのタイミングですが、ぜひシリーズ化して!!!

普通の人間のような楽しみを書物でしか知らないナムルスがルミアの身体を借りてグレンと1日デートする「名も無きビューティフル・デイ」。例によってナムルスの壊滅的なファッションセンスから始まり、現実と書物の区別がついてなかったりシスティーナから借りた本のラインナップのせいか半端に恋愛脳になっちゃってるナムルスの姿に思わずニヤニヤしてしまうんだけど、そんな彼女を意外にしっかりエスコートするグレンが良かったです。いつものメンツだとこういう状況の時、割とグレンが寄りかかっても問題ない人材が揃ってますからね……そんなグレンをこっそり尾行した結果、巻き添えでシロッテの枝をかじることになってしまったシスティーナは強く生きて欲しい。

君に教えたいこと」もよかった。グレンが訳あり母子家庭の親子からの依頼で家庭教師を引き受け、親子を襲うトラブルを解決するというまさに正統派なロクアカ短編な内容で、シンプルに良かった。ウル、本編で再登場してほしいなあ(もう色んな意味で最終決戦しか残っていないような状況ですが!)

過去から本編に連なる展開が印象的なリィエル過去編

書き下ろしの過去編『迷子の戦車』はグレン達が「Project: Revive Life」の産物であるリィエルを救い出し、まっとうな人間として生きていけるまで寄り添おうとするお話。正体を偽り天の智慧研究会の暗殺者として育てられていた少女を保護する…という形で特務分室で身柄を預かることになったものの、「天の智慧研究会」という組織の情報そのものが切望されており、軍部の心無い人間たちからその身を狙われてしまう。更に、天の智慧研究会からも追手が差し出され……周囲の協力も満足に受けられない状態で心神喪失状態のリィエルを介護しながら孤独な戦いを強いられることに。

生きる気力を失ったリィエルにかつての自分を重ねるグレンが印象的でした。自分がセリカに救われたように、自分も誰かの救いになることが出来れば……と奮闘してみるものの彼女が負った傷はあまりにも深く、一度はグレンに依存させることで立ち直らせるしかなくて。とりあえず生命の危機は脱したけれど、完全に立ち直らせる事はできなくかった……という、グレンのひとかけらの後悔が心に沁みました。少しホロ苦いラストから一転、フェジテを襲う死者の群れに敢然と立ち向かうリィエルがアルザーノ学院の仲間達に囲まれて自分が本当に守りたいもの、「生きる理由」を見出していく。過去編から本編の展開に連ねていく構成が今回もとても良かったです。

しかしラストのリィエルや生徒たちとのやりとりが素晴らしいだけに、現在(グレン達が過去から帰還した時点)のフェジテがどうなっているのか本当に気になる。20巻が早く読みたい…!!

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