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ソードアート・オンライン 1 アインクラッド

[著]川原 礫 [絵]abec

ゲーマー達の期待を一身に受けて発売された次世代MMORPG「ソードアート・オンライン」は発売直後に1万のユーザーが接続したまま管理者の手によって現実から切り離された。ゲームオーバーすれば現実の死が訪れ、誰かがゲームクリアするまで脱出不可能。現実世界からの助けもないまま2年の月日が流れたが…
   個人的お気に入り度数
「アクセル・ワールド」でデビューした川原礫さんがWebで連載されていた小説を文庫化した作品。仮想現実のMMORPGに自分の意識ごとログインしたら管理者側からゲームをログアウトできない設定にされてしまって元の世界に戻るためにゲームクリアを目指すことになったプレイヤーたちの中で、「ソロプレイヤー」として一人で狩りを続ける少年・キリトを巡る物語です。

ゲームの舞台となる世界観とか、そこに生きる人々の姿とか、さわやか過ぎるくらいど真ん中ストレートに王道LOVEな主人公&ヒロインとか…とにかくとても面白かった!ちょっと分厚いからどうしようかな…と躊躇して後回しにしていたのですが、読み始めたら本当に一気読みだった。メインは100層に渡る迷宮ダンジョン「アインクラッド」を巡る戦いと、キリト・アスナを巡る人間模様が中心なわけですが、レアな食材を手に入れた主人公がヒロインのアスナに調理して貰うお話とか、戦線を離れた主人公が、人の離れた階層にある湖で老人と釣りにいそしむ場面とか、なんかちゃんと「戦い」だけじゃない一つの「世界」が存在していることが凄いと思った。バトル要素とか「ログアウトできなくて、ゲームオーバーしたら死ぬよ」みたいな設定がなければこんな世界で何日か過ごしてみたい、と思わせてしまう魅力がなんか世界そのものにある。

ただ、作りこまれた世界観やゲーム設定にニヤニヤする一方で、全体的に物語をダイジェストで見せられているような、そんな物足りなさがあったかも。特に、ゲームの世界に閉じ込められてすぐに起きたとある事件がきっかけで深いトラウマを抱えて、その為に仲間を持たずに危険な単独行動を行って来たキリトが割合あっさりと「アスナのためならギルドにはいってもいいや」みたいな展開になるところがちょっと唐突に感じたかも。個人的には、キリトが長らくソロプレイヤーになるきっかけになったあの事件については、もっとストーリー本線に絡ませても良かったと思うんです。なんかあっさりキリトがアスナとくっついてしまうので、あの過去の話が猛烈に浮いてるように感じた…

その他にも殆ど触れられなかった「オレンジ色の」プレイヤーに関することとかラストの展開とか、本来もっと長かったはずの話を無理やり削るだけ削って縮小縮小を繰り返してこの尺に縮めました、みたいな印象が払拭できなかった。本来Web小説として発表したバージョンは、もっともっと長いお話だったんじゃないかというか、物凄く面白かっただけに、この物語の背後に見え隠れする「削られた物語」達に触れることが出来ないのが物凄いもどかしい!!

「1」とナンバリングをされているということは2も出るんでしょうが、個人的には「キリトとアスナのお話」は尺を削られまくってるものの綺麗に終わっているので、続編が出るなら二人の物語の続きではなく、同じゲームを別のキャラクターの角度から見た物語、みたいなのが読みたいです。いえ、キリトとアスナの「その後」のお話だったらそれはそれで楽しみですが(それにしても、キリトの年齢は色々と無茶だと思うんだ……)、ともかく続編楽しみにしてます。

ちなみに、世間の感想を覗いてみると「クリス・クロス」を髣髴してる人が多かったようですが、私は「バトルロワイヤル」を思い出してました。ネトゲーものじゃないですが、主に最初のシステム管理者からの演説部分的な意味で。「はい、今日はちょっと君たちに、殺し合いをしてもらいます」は本当に当時衝撃的なセリフだったよ…。

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