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K -Lost Small World-

[著]壁井 ユカコ(GoRA)  [絵]鈴木 信吾(GoHands)

中学一年の八田美咲は、寡黙な同級生、伏見猿比古に惹きつけられていた。この偏食の眼鏡少年は、八田にはない聡明さを持っていたから。伏見もまた、次第に八田を必要とするようになっていった。この小柄な少年は、伏見の持たない不思議なエネルギーと優しさを持っていたから―。彼らの小さな冒険。そして、より大きな力への憧れ。だが、彼らが少年だけの世界から抜け出した時、待っていたのは、決別だった―。TVアニメ『K』オリジナル小説第4弾! (「BOOK」データベースより)

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 テレビアニメ「K」の前日譚ノベライズ第四弾。中学一年生の八田と伏見が出会い、かけがえのない親友となり、共に“吠舞羅”に入り、決別するまでの物語。

 最初は同じものを見ていたはずの2人の関係が少しずつすれ違っていき、“吠舞羅”にはいった事で致命的な亀裂を生んでいく。その亀裂に気づき、同時に八田への強い執着を覗かせる伏見の葛藤に微塵も気づかず、伏見もまた当然のように周防の事を慕っていると信じて疑わない八田という構図は「SIDE:RED」や「メモリー・オブ・レッド」でも繰り返し描かれているものなんだけど、改めてその構図にヤキモキする。というかしょっぱなから八田は伏見と仲良くなるきっかけの所からして全く同じ過ちをおかしてるのにも関わらず学習しないの凄い、それだけのことがあっても身内として内に抱き込んだ人間を疑わないのは八田のいいところでもあるんだろうけど。

 これ、「K」が八田主役の物語だったら、八田が精神的に成長して伏見と不健全じゃない信頼関係を築く話になってたんだろうな……っておもうと、彼は主役じゃないのが最大の悲劇な気がする。正直、二人の関係性はかなり序盤からどこか健全な関係ではなかったとおもうし、伏見が自覚する前から彼らのすれ違いは始まっていたのだとおもう。“吠舞羅”に入る前、《jungle》と対決しようとしたときに、伏見が「上手く行かなかったら宇宙船作って太陽に突っ込もう(突っ込んで死のう)」と言うのに対して、伏見なら太陽に突っ込んでも大丈夫な「超かっこいい宇宙船」を作ってくれると無邪気に信じている八田の返しが、既に未来を象徴しているように思えた。

 たったひとりの親友だった八田が周防に心酔していく姿への苛立ち、あらゆる面で叶わない周防への畏怖。同じ思いを共有できない事からくる疎外感と後ろめたさ。よくも悪くも周防のカリスマで成り立っている組織の中で浮いた存在となっていった伏見が「青」の王・宗像と出会ってそのありかたに惹かれていくのはどうしようもないことのような気がする。アニメを見た感じでは酷く淡白のようにみえる宗像と伏見の関係だけど、なんだかんだで伏見は宗像という「王」に惹かれてあの組織に入ったんだなあ。赤のメンツとは対称的な2人のやりとりと、2人の王の間で選択を迫られた伏見の取り乱す姿が物凄く好き。

 縮めようのない亀裂を描き、伏見の離反という形の関係性の崩壊によって締めくくられる物語だけど、最後に加えられたエピローグの物語が彼らの新たな「物語」を感じずには居られないもので、胸が熱くなった。劇場版でもその後でも、彼らが再び手を取り合う日が来る事を願わずにはいられません。

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