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ムシウタ 09. 夢贖う魔法使い

[著]岩井 恭平 [絵]るろお

その昔“やさしい魔法使い”に護られ、現在は一人赤瀬川財閥を率いる少女、赤瀬川七那は“虫憑き”を使ったビジネスを持ちかける為“むしばね”と接触した。“むしばね”の新しいリーダーとなった詩歌は、七那に協力する代わり、失踪した“むしばね”のパトロン・宗像を探してほしいと持ちかける。彼の失踪の影には“やさしい魔法使い”がかつて語った原初の虫憑き“α”の存在があるようで…
 

今回は原初の虫憑きを巡り、七那と他の大富豪達が繰り広げられるマネーゲームが中心。キーワードとして「エンクロージャー」「バブル」「パラダイムシフト」等という経済用語も登場して、確かに今までのムシウタというよりは「消閑の挑戦者」に近い作風でした。元々「ムシウタ」よりも「消閑の挑戦者」シリーズの方が好きなので、結構嬉しかったかも…それで消閑の挑戦者の新刊はまだですか。

“原初の虫憑き”αを手に入れるため、開催されたオークションの行方が熱い。そのままストレートに「あの人」が落札してしまうとは思えなかったけど、二転三転の挙句そんなところに転がっていくとは…!それぞれの負けられない理由を内に秘めていて、“ペナルティ”の存在などもあり、どんどん高まる緊張感に、後半は一気読みしてしまいました。ただ、後半は緊張感だけは伝わってくるものの、イマイチ何が起こってるのかわかりにくい部分があったのが残念です。「灰色未成年」さんの感想を読んで思ったんだけど、大体何が起こったのか把握した現在の状態で再読したら、また違った部分で感動できるかもしれないですね。

傲岸不遜でいつでも自信たっぷりの七那のキャラは非常にツボでしたが、“やさしい魔法使い”との一件以来、お金以外での解決方法が判らなくなって「お金があれば何でもできる」という考えになったのと同時にそれ以外で人が動く理由がわからない少女になってしまったのは凄く痛々しさを感じる。特に自分の事を友達だといってくれた詩歌を失うまいと、必死にオークションに参加する姿がなんかは、酷く脆く見えました。

勝負に負け、お金だけでなく何もかもを亡くしてしまったと思い込み絶望する七那を必死に立ち直らせようとする詩歌と弐兵衛が最高。特に弐兵衛はただのヘタレかと思わせておきながら、とんでもないダークホース。彼の独白には色々な意味で震えました。

個人的には8巻がちょっと微妙だったので色々心配していたんだけど、今までとは毛色は違うものの文句なしに面白かったです。今回ニアミスながらも接触を果たした“かっこう”と詩歌の今後にも期待!

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