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“文学少女” と神に臨む作家 下

[著]野村 美月 [絵]竹岡 美穂

様々な人に追い詰められる中、ななせの「書かなくてもいい」という言葉に救われた心葉。しかし、それが許せない流人の「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」という言葉が心葉の不安をかきたてる。そして、ななせを大切にしたいと感じる一方で遠子の事を見捨てて置けない自分も自覚して…
   個人的お気に入り度数
様々な人々の想いが結実する「文学少女」シリーズ完結編。

上巻から引き続き、ひたすら重い展開の連続で、読んでるこちらの心臓的にも気が気じゃなかったのですが、それまでの鬱屈とした展開があっただけに事件が解決に向かい始めてからが凄すぎて、ただただ次々に明かされていく真実に息を呑むばかり。上巻を読んで立てていた予想が殆どひっくり返されるような状態で、本当に凄かった。最強ヤンデレ決定戦も美羽→流人→回りまわって元祖“文学少女”シリーズが誇るヤンデレ・竹田さんが優勝カップを持っていくような状況(それ関係ない)いや、今回の彼女は変な意味で光輝いていたなぁ…そして流人、あれだけかっこよくひっぱっといて後半ヘタレすぎる…(笑)

全然関係ありませんが、丁度これ読んでる最中地元では記録的集中豪雨と酷い雷に見舞われており、この物語の序盤を読むにはあまりにも雰囲気ぴったりすぎる状況に陥ってました。このゴロゴロ言いっぷりはきっとヤンデレカップルの呪いに違いない。

一見無関係だとばかり思っていた1巻からの全てのエピソードが少しずつ小さな役割を果たしてこのラストへと繋がっていくという展開が非常に素晴らしかった。そして全てのエピソードを経て大きく成長した心葉が今まで探偵役を務めてきた“文学少女”に代わって、“文学少女”自身の事件を解決していくシーンでは胸が熱くなりました。

そして遂に迎える遠子先輩の卒業シーン。この作品を読み返す前に「月花に孕く水妖」のエピローグから「神に臨む作家(上)」までを再読したのですが、2回目に読んだ時に「水妖」で語られる“未来”の解釈について物凄く違和感を感じて「あれっ?」と思ったのですが……(具体的に言うとななせを思わせる表現を使っておきながら一度もこの女性に関する人物名が断固として明かされなかった辺り

あああああこういう結末か……。

再読時に一瞬だけ脳裏をよぎった展開が割りと冗談になってなかったという…個人的には、私は元々こっちの展開支持派だったんで嬉しいことは嬉しいんだけど、どんでん返しすぎて素直に喜べないというか……とりあえずななせのけなげな一途っぷりに涙が止まらない……。心葉と付き合いだしてからはヒロイン的な守られポジションに立っていた彼女ですが、精神的に一番強かったのは彼女だったんじゃないかしら。エピローグでの言葉が胸に刺さる。

というか、唯一不満点を挙げるとすればこの卒業の部分だったりします。叶子にあんな言葉を突きつけた以上、心葉と遠子はどんな形であっても「狭き門」を通ってはいけないんじゃないかと思ったんです。お互いに暖かい時間を築きながら、お互いを支えあいながら作家として再生してほしかった…。(以上ネタバレ)それが心葉のために必要な行動だったとはいえ、なんかそこだけは少しだけ残念でした。

とはいえ、最後の最後まで予想を裏切られる展開の連続でありながらも、物語のおもしろさという点では最後まで期待を裏切られない名シリーズでした。素晴らしいエンディングを、本当にありがとうございます。




コラボアンソロ、竹岡さんのコノハちゃん楽しみですハァハァ
(意訳:あとがきが色々と台無し!)

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