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迷宮街クロニクル1 生還まで何マイル?

[著]林 亮介  [絵]津雪

大地震をきっかけにして京都に大迷宮が発生し、そこから怪物たちがあふれ出した。政府は迷宮の探索と怪物の掃討を一般人に任せる事に。14%という高い死亡率の代わりに怪物の身体の一部を集める事によって簡単に大金を得る事が出来るこの"迷宮街"には、様々な想いをもった人間達が集ってきて……

   個人的お気に入り度数

現代を舞台に、日々迷宮にもぐっていく"普通の人々"の姿を描いた群像劇。「和風Wizardry純情派」というネット小説に加筆・修正を加えて書籍化されたものだそうです。

"エーテル"という力を用いて魔法じみた能力を行使し、まるでゲームのようにパーティを組んでダンジョンにもぐっていくのですが、これだけ現実離れした設定がふんだんに盛り込まれていてまるでダンジョン探索ゲームのような設定なのに、登場するキャラクター達はあくまで「普通の人々」。キャラクターの描き方がとてもリアルで、本当に自分の周りにこういう人が居そうだなあと思ってしまう。そのため、いつも以上に各キャラクター達に感情移入してしまっていたように思えます。

どんなに現実離れした力を扱えても彼らはあくまでリアルな人間で、だからこそどんなに強いキャラクターでも運が悪ければあっけなく死んでしまう。作中で以下のような表現があるのですが、この文章がこの作品をそのまま表している気がする。迷宮に潜っている彼らは誰も彼も同じように死と隣り合わせの危険に身を置いていて、迷宮に潜るシーンでは常時ハラハラしっぱなしでした。

ゲームならレベルが上がったキャラクターはスライムに殺される事は無い。しかし、現実の世界は違う。
どんなに経験を積んだところで、どんなに格下の相手であっても、当たり所が悪ければ死ぬのだ。それは当然の事だ。
人間は転んだだけで死ねるような弱い生き物なのだから。

迷宮街にやってきたばかりの主人公とそのパーティメンバーを中心に、熟練者の先輩達や次々とやってくる後輩達、そして彼らに纏わる様々な人の視点から物語が語られるのが面白いです。凄く丁寧に描写されている分、逆に盛り上がりに欠けるかなあと感じる部分はあるのですが、ある意味派手な盛り上がりが無い事が逆に登場人物たちがあくまで「普通の人」であることを強調させているかなあとも。個人的にはプロローグが普通に鳥肌立つほど衝撃的で、そこでガッツリ心を掴まれた後はもう一気に読んでしまった感じでした。

普段自分が好んで読むような作品とはかなり毛色が違ったのですが、とても面白かったです。まだまだ迷宮街のことや各キャラクター達の人間関係など、語られていない部分も多いので続編が楽しみ。

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