少女星間漂流記 | 今日もだらだら、読書日記。

少女星間漂流記

 

ふたりぼっち、安住の星を探し求めて宇宙旅行。
 馬車が銀河を駆けている。馬車を模した宇宙船が。  乗っているのは、この風変わりな宇宙船を造った科学者・リドリーと、相棒の内気な少女・ワタリ。  環境汚染で住めなくなった地球を後にして、二人は馬車を走らせる。目指すは、地球に代わる安住の星。  けれど、二人が訪れるのはどれも風変わりな星ばかり! 万物を生き返らせることができる神のいる星、運が良い人間ほど偉いとされる星、無数の図書館ばかりがある星……変わった星々に、二人の少女は翻弄されてしまうことも……。  「次こそ住める星だといいな」二人は今日も、広い宇宙を旅している。

環境汚染により住めなくなった地球を追われ、馬車を模した宇宙船に乗って旅をするふたりの少女・リドリーとワタリ。ふたりが訪れるのは少し変わった星ばかりで……果たしてふたりは、地球に代わる安住の地を見つけることが出来るのか?

安寧の地を捜して宇宙を旅する少女たちのSF短編ロードノベル

科学者であり高い知力を持つリドリーと人見知りだが戦闘能力は高いワタリ。ふたりの少女が互いのできないところを補い合いながら宇宙を放浪するお話。同レーベルの「キノの旅」を彷彿させる形式の、1話完結タイプの短編ロードノベルでした。

ふたり合わせれば知力も戦闘力も大人顔負けのふたりですが、それでもその旅路は安寧のものであるとは言えず……訪れた星の物語を淡々と描写するように見えて、そこに生きる人々(生物)の生き様に心揺さぶられていく姿が印象的でした。そこで起きた出来事に対し「なにもしない」というより自分たちの身を守る以上のことは「なにもできない」なんだよなあ。

個人的に特に印象に残っているのが『闇の星』で、言葉の端々からして明らかに罠っぽいのに相手が同じ地球人だったせいであっさりと騙されかけてしまうふたりがとても危なっかしい。頭脳担当であるはずのリドリーの最後の独白が胸に刺さりました。

ワタリとリドリーの関係性が良き

お互いに出来ないところを補い合う関係というだけでなく、主人公コンビであるワタリとリドリーが時折お互いに対して見せる巨大感情が大変良かったです。女女のクソデカ感情ラノベ、先日まとめを作ったばっかりなのに!!

描き下ろしの『焔の星』のクライマックスで見せたバディ関係の姿がもうめちゃくちゃ好きなんだけど、その一方でラストの『夏の星』でかつての故郷で失われた魂に惹かれるワタリとそれを気遣い敢えて真実を打ち明けた上で彼女に選択させようとするリドリーの姿がめちゃくちゃ刺さって……「私の秘密兵器」なんて所有物のように言う割に時々リドリーがワタリに対して負い目を感じているようにも思えるし、過去のふたりに何があったのかめちゃくちゃ気になりました。

いやでもそういうのはずっと匂わせるだけで続いていきそうな物語ではある。シリアスでミステリアスなふたりの関係性も良いけど、『甘の星』のような、ワタリの誕生日プレゼントを買うためにリドリーがひとりで奮闘するドタバタ劇もめちゃくちゃ可愛かったのでもうずっとこのままの関係性で居ろまである。

あとがきで作者さんが読者が買い支えてくれたら私は物語と共に永遠に生き続ける概念になるので地球が滅んでも続きが出ます(意訳)という話をしてるのがあまりにも強くて笑ってしまったんですが、実際に年1〜2くらいのペースで定期的に摂取したい物語だなと思ったので次巻も買います買いました(今)。

本好きに的確にぶっささりそうな『本の星』がTwitterで丸々公開されているので、気になった人はまずはここから!昨今の電子書籍と紙の本の違いの話とかも盛り込みつつ、本に興味がなかったワタリが本に興味を持つという短編です。オタクは自分の好きなものに興味を持つニンゲンの姿を見るのがめちゃくちゃ好きなんだよなわかる。

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