グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む | 今日もだらだら、読書日記。

グリモアレファレンス 図書委員は書庫迷宮に挑む

 

図書委員の仕事は……迷宮探索!? 異能の力を秘めた魔書を見つけ出せ!
 国内有数の蔵書数を誇る宇伊豆学園の図書館には、広大かつ深遠な《地下迷宮》が存在した。  高等部に所属する図書委員の守砂尊は、ある日、立入禁止の《閉架書庫》に足を踏み入れ、この図書館に隠された真実を知る。――地下に収められた奇書や希覯本、異能の力を秘めた魔書を手に入れるため、図書委員たちが果てなき迷宮探索に挑み続けていることを――。  秘密を知った守砂は、他の図書委員とチームを組んで、妖魔が跋扈する迷宮で未知の蔵書を探す《地下レファレンス》をすることに。しかし、それは楽しくも波乱に満ちた日々の幕開けで……!?

面白かった〜!!一見「誰かのため」の行動のように思える主人公の行動が、その実どこまでも彼自身の欲望を満たす行為であるというのがすごく良いですね。主人公のことが好きすぎて時々(?)暴走する幼馴染の先輩をはじめ、個性的な仲間達とのやり取りも良かった。

死んでも死なない世界で、学生たちが迷宮に挑む

膨大な「書」を内包した図書館の地下迷宮を舞台に、「図書探索委員」となった十代の少年少女達がチームを組んで迷宮を探索し、迷宮内で蔵書を探すという「依頼」=地下レファレンスをこなしていくというお話。

一定時間以上迷宮から出ないと能力や記憶を喪ってしまうというペナルティを追うが、迷宮の外に出さえすれば生命も含めて完全復活できる。十代までの少年少女達が迷宮内の「魔書」と呼ばれる本と適合し、その本の内容に由来する異能を引き出すことが出来る。死の恐怖と隣り合わせでありながら、どこかお気楽な雰囲気が漂う迷宮探索が印象的でした。迷宮攻略が主目的のチームだけでなく、とにかく戦闘を楽しみたいチーム、浅い階層で簡単な依頼をこなすチーム、特定ジャンルの書物に関する探索だけを請け負うチームなどなど今回出てきたチームだけでもかなり個性があるのがまた面白い。

バラバラだった学生たちが連携して強敵に挑む展開がアツい!!

初回から「オートマッピング」という探索向けの異能を発現させた主人公・守砂尊。迷宮内に取り残された生徒を他のチームが助けに行かないという現状を聞いた彼は、「迷宮内に取り残された生徒たちの救出」と「迷宮内の詳細な地図作成」を目的としたチームを結成する。ところが、守砂隊が発見して地図内に記載していた「隠し通路」に踏み込んだチームで事故が多発するようになり……。

隠し通路の先にあったボスラッシュみたいなフロアを攻略するため、これまでバラバラに探索していた有力者達を一つにまとめて合同作戦を行う!という展開がアツいし、その声を上げたのが新参者の守砂隊ということも、一見無謀に思える呼びかけに守砂隊によって救われた生徒たちが義によって参戦するという展開がとてもアツかった!尊達が命からがら逃げ帰った強敵たちすらも圧倒する先輩達の能力に思わずニヤリとしてしまう。尊のことが好きすぎてちょっとだいぶ愛が重い幼馴染の先輩・ミカ姉とフロアボスの対決は正直ミカ姉の迫力が圧倒的すぎて笑った。強いぞこの幼馴染。

あとなにより、尊を目の敵にしていた武闘派の先輩・加来の美味しいところ持っていきぶりとその心境の変化がたまらなく良いのですが、ラストの加来先輩萌えキャラすぎじゃないですかね!!??素直になれないキャラなんだろうなというのはこう予想がついてましたけど、予想以上に良いツンギレであった……。

自分自身の欲望を満たすために他者を救おうとする主人公が良い

かつて少年冒険家として名を馳せていたが、とある事故をきっかけに冒険家としての生命を絶たれた尊。一度は絶望の淵に沈んだ彼が迷宮探索という新たな「冒険」を見出し、それに新たな喜びを見出していくのが大変良いのですけど、その反面、ダンジョンに潜ると彼の中に潜む暴力的な「隠されたものを暴きたい」「人を助けて、目的の場所に導きたい」という欲望が時折露わになるのがまた大変良かった。慈善事業じゃなくて本能に忠実にやりたいことやってるだけなんですよねえ文字通り。

ただその反面、暴力的な一面の裏から更に自分が冒険家としての生命を絶たれるきっかけとなった事件へのトラウマやら後悔みたいなものが時折見え隠れしてくるのがどこかアンバランスで、目が離せない。良い意味で本当に今後どうなっていくのか気になってしまう主人公像でした。今後どうなっていくのかとても楽しみ。

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