豹変したシオンと戦ったあの雨の日の後、シオンの手で牢に監禁されていたライナ。その間にローランドは大きく変貌を遂げていた。禁止された筈の人体実験で生み出された兵士達と共に隣国・ネルファ公国へと侵攻する軍と、それを絶賛する国民達。変わってしまったシオンを救けるため、ライナはフェリスと共に祖国を離れることを決断する……。
親友との一時の決別、新たなる旅立ち
本当に11巻の5分後から始まってた!!ナンバリングをリセットして牢屋の中からはじまる本編第二部。前半は概ね第一部最終回のCパートというか、脱獄したライナの書き置きとそれを読んでライナと決別するシオン、という場面で締められてたらめちゃくちゃ物語として美しかった気がするんですよね。でも敢えてそこを第二部冒頭に持ってくるのがこのシリーズなんだろうなあという気もする。いや、実際第二部が特に何の問題も発生せずにローランド脱出後から始まるならその終わり方が一番綺麗だと思うんだけど……(でもそうはならないんだよなあ)。
ローランド出国を巡り繰り広げられる駆け引きが熱い
フェリスと合流してさくっとローランドを出国、からの新展開!という流れかと思いきやまずフェリスと合流するところでひと悶着し、シオンからのライナ捕縛の命を受けたローランド軍の追手が掛かってもうひと悶着、出国前にローランドの情報を把握しようとして情報部に忍び込んでさらにひと悶着。なんだかんだでライナを殺したくはないシオン、ライナ達を泳がせたいミラー一派、ライナをシオンの視界から消したいフロワード(&いまいち思惑の見えないルシル)。遠征中のクラウ達を除けばローランド帝国屈指の化物達がこぞってライナの脱走に絡んでこようとするもんだから本当に大変。そしていよいよ出国のため合流しようとしたライナとフェリスを待ち受ける、衝撃のラスト。いやほんとうに、1巻目からクライマックスすぎない!?個人的に情報部に侵入したライナとルークのやりとりめちゃくちゃ好きでした。本人も言う通り純粋な能力としてはライナに叶わないはずなのに、全く勝てる気がしない強キャラ感。剣呑とした雰囲気の中で繰り広げられる軽妙な会話のテンポ良いよね。というか何度いないいないばぁすれば気が済むんだこの人は。