小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上) | 今日もだらだら、読書日記。

小説 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(上)

   
原作
矢立肇・富野由悠季

劇場アニメの脚本に参加する後藤リウによる完全小説化!
C.E.75。ラクスを初代総裁とする世界平和監視機構・コンパスが創設され、キラ達はその一員として各地の戦闘に介入する。そんな折、新興国ファウンデーションからブルーコスモス本拠地への合同作戦の提案が――




二度の戦いから2年後……世界はまだ混迷の戦いの中にあった。プラント、オーブ、大西洋連邦は世界平和監視機構・「コンパス」を創設し、ラクス・クラインを初代総裁とする。コンパスに志願したシン・ルナマリアとともに、キラは様々な戦いに介入していくことになるが……

当時の種のオタクはみんな劇場版を見てこっちも読め(クソデカ主語)

18年越しに劇場公開された「劇場版ガンダムSEED FREEDOM」の公式ノベライズ。劇場版の感想は二次創作サイトの日記の方にしたためましたが本当に18年間待った甲斐のあるメチャクチャ楽しい映画だったので当時のSEEDのオタクはなんでもいいから劇場に足を運んでほしい。ところでブログ内検索するとTV放送時のノベライズの感想が掘り出せてしまい震えたんですが文章が流石に稚拙でもう許してくださいという気持ちになりました。なぜちょっぴり上から目線なんですかねあの頃の私。世界よ、これがブログを20年続けるということだ。

TVアニメ版ノベライズに引き続き基本は本編に忠実に……そして映像ではわかりづらい細かい各勢力の事情やキャラクターの心象描写を中心に丁寧に補足していくようなノベライズで、ストーリーは知った状態でもとても楽しく読めました。小説版で明かされた新事実らしき情報もいくつかあり、劇場版のおさらい目的で/本編の理解を更に深める物語としても良かった!

個人的にはやはりシン・アスカの描写が可愛すぎて出てくるたびに劇場版での映像を思い出しながらニコニコしちゃうんですけど(贔屓)(劇場版終盤でもネタのように出てくるけど、序盤からジャスティスに乗ってる自分に違和感を覚えてるシンがとても良い)(まさかのキラさんだいすき狂犬わんこ化可愛い)(バイキングの場面とか男児すぎて可愛すぎ最高)、その一方で2つの大戦で矢面に立ってきた責任と身の丈に合わない立場に置かれた重圧に今にも押しつぶされそうなキラ&キラを心配するラクスの描写・すれちがいが良かったなあ。「DESTINY」の頃は見えづらかったふたりの葛藤、特にキラが持つ優しすぎるが故の精神面での脆さとそれに比例しない強力無比な戦闘能力。間違いなくお互いに愛し合っている一方でふたりでいるとどうしても戦争の事を思い出してしまうのがしんどくて、「自分では相手に心からの笑顔をあげられない」と無力さに苛まれる描写が胸に痛かったです。特にお花見デート中のラクスがキラと穏やかな時間を過ごしたいあまりに必死に戦いとは関係ない話題を探してしまう(=探してしまうほどにそれ以外の話題が少ない)けど見つけられなくて結局戦争の話しちゃうシーンとか、気まずい感じがリアルに伝わってくる。そんな危ういバランスで保たれていた2人の関係は、ラクスの母の形見の指輪と同じ物を持つオルフェの登場とともにバランスを崩していく。

そして同じくらいに印象強かったのは新キャラ・アグネスの追い詰められっぷり。初週の劇場版来場特典小説が彼女の視点から描かれるアカデミー時代〜DESTINY時代以前の話だったんですが、それと今回のノベライズで明かされた事実も踏まえて、彼女ってコンパスに入ってきた時点で結構立場的に危うい状態だったのではないでしょうか。強い男を恋人にすることで自分の自尊心を守ってきたアグネスがキラを誘惑しようとして塩対応され(そりゃそうだ)、かつて見下していた同期のシンを認めることが出来ずにファウンデーション側にその心の寄る辺を求めていってしまう描写が色々な意味で痛々しかった。あと映画では言葉しか出てこない「フリーダム強奪事件」も彼女が関わってきそうな気配で、ノベライズと来場特典小説を踏まえるとなんとなくの概要は見えてきたけど、詳細が気になる。

それにしてもシンのこと下げられた途端にアグネスへの対応が塩通り越してセメントになるキラさんいいですね……本編前半の余裕がないキラがシンのことをどう思ってるのかってすこし見えにくい部分ある気がするのですが、このアグネスとのシーンを見れば決して邪険になんかしていない……というか周囲が思っている以上にシンのこと評価してることが伺えてニヤニヤする。というか、これだけのセメント対応しておいてアグネスの裏切りに本気でショックを受けるキラ、頼って欲しいと思っているシンの手を頑なに取れない(後の展開を考えると気づいてないというより敢えて取らなかったんじゃないかなあ)キラ、改めて前線で勝手に戦わせておくには強いけど小隊長となるとコミュニケーション能力に難のあるのが露呈してしまっていて運命の頃の人間性が見えづらい彼を思い出すと本当に人間らしくて最高だなあ。

上下巻構成ということで、今回はファウンデーションとコンパスの合同作戦のあたりまで。合同作戦の話はファウンデーションとコンパスに加えてユーラシアやブルーコスモスの思惑も絡んで来てしかも敵味方が入り組んでいて、更にはオルフェ&ブラックナイツの謎の精神攻撃も絡んできて現場が混乱しているので映画を見ていてもなかなか理解が追いつかない部分だったのですが、その辺がかなりわかりやすく整理されていてよかった。っていうかあれはミケール大佐がモブ顔すぎるのがいけないとおもうんですよね。映画で見た時もモブ顔とおもったけど公式のキャラクター紹介で見ると本当にモブ顔で映像で見てると本人がちゃんと出てても普通に見失うんですわ……。あとキラを助けに来たアスランさん、乗機の挿絵がないからか映像面での面白さが消えて普通にかっこいい男に見えるのがずるい。いやたしかに乗機について「ずんぐりした外見の〜」みたいな描写自体はあるんですけど、挿絵がないことと「正体不明のアンノウン機」って言葉のミステリアスな雰囲気で相殺されちゃってるんですよねぇ!!!

映画でみて今後の展開は知ってるんですが、色々どん底なところで後編に続くなので早く続きが読みたい。あと映画に対する情報量が増えた所で近いうちにまた映画もリピートしたい!

劇場版の感想はこちらから読めます。

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