盗みにまいります! 平安盗賊恋絵巻 | 今日もだらだら、読書日記。

盗みにまいります! 平安盗賊恋絵巻

[著]剛 しいら [絵]乙橘

退屈に耐えかねていつもの通り身分を隠し、都大路へ出かけた東宮・慶仁は最近都を騒がせている盗賊「黒丸」の一味と遭遇し、剣を交える。しかし、剣を交えた相手の頭領の息子・赤丸はなんと女の子だった…!それ以来彼女のことが忘れられなくて…
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申し訳ないけどびみょー。
剣を交えた盗賊が男装した女の子で、しかも実はとある貴族の家から攫われたお姫様で……というその手の話では割合王道っぽい平安モノ。展開がどこからどこまで「お約束」すぎて、ちょっと王道過ぎて食傷気味なストーリーだったかも。全体的に意外性の無いストーリーの中、唯一隠し玉になっているのが実はヒロインがとある貴族の家のお姫様という設定なわけですが、これがあっさりと公式あらすじで暴露されてしまうため、どこにも意外性…ない…orz

結局こういう物語の場合、キャラクターの誰かに萌えれないとかなりやっていけないわけなんですが、シリーズ化前提で文庫化しているのかページ数が薄く、キャラクターもイマイチ書き込みが足りない印象。とにかくパンチが足りない。せっかく「男装の少女」「それにゾッコンな男」という美味しすぎる設定があるんだから、もうちょっとギャグ方向で健全なBL臭を放ってしまって良かったのに。赤丸の描写は(挿絵を含み)まるで女の子のそれであるため、男装した赤丸の正体に気づかずにかなりマジで告白してしまう慶仁のシーンとかもちっとも生きてこない。ここの場面が普通に男女の告白シーンにしか見えないのは致命傷だと思う。

作者さんはBLではかなり有名な人のようなので、BLの雰囲気を残しつつ一般の少女小説を書こうとして失敗したっていう印象を受けました。もうちょっと本来のガチな方向に暴走してもらっても問題なかったと思うんですよねえ、ラノベ界にはもっとギリギリなガチ小説なんていくらでもあるわけですし。

脇役の書き込みが異常に少ないので、メイン2人である赤丸&慶仁親王のどちらかに萌えられないと相当厳しい気がします。せめてページ数をもうちょっと増やして、ストーリーの内容をもう少し増やしてくれれば違ったのかもしれないけど。
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