[著]赤月 黎 [絵]武藤 此人 “虫遣い”を倒した透真と冥は姿を消した母・操の手がかりを追って統堂本家に向かう。ところが…統堂本家のあったはずの場所には何も無く、二人は謎の機関<山田太郎>により取り囲まれてしまう。冥を助けるため、彼らに拘束された透真だが… |
すいません、どうしてもその機関名だとどんなにシリアスやってても緊張感が足りません。とりあえず角川書店は作者の人からこのネーミングを提案されたとき、同じ角川で去年ドラマ化された同名の貧乏学生が主役のギャグ漫画があるからっていう理由で却下してほしかった。というか、もうこれまであんなに中二病全開の機関や必殺技が登場しまくってるんだから、最後まで中二なネーミングセンスをつけるべきだ。駄目なんだよどんなシリアスな場面でもあの貧乏苦学生が脳内に浮かぶんだよ!!!
…とまあ、山田太郎なる機関名の是非については置いておいて、なんか良くも悪くも牙を尖れた獣の印象と言うか、1巻を読んだときは台風の日に大荒れのサーフィンをしているようなイメージと言うか、なんかもう作者の好きなタイプの属性を詰め込んでいて、それについていけない人は容赦なく振り落とされていく荒削り感といいますか。ツッコミどころ満載の穴だらけな部分と、それを超える設定やキャラクター、物語の「属性としての面白さ」が絶妙なバランスで同居しているような印象を受けたのですが、それが見事に平均化されてしまって全体的には面白くなったんだけど物語としての魅力は半減してしまったなあという感じの2巻でした。
うーん、確かに物語としてはぜんぜん2巻のほうが面白くて、上手くなってるなあという印象なんだけどそれでも「1巻とどっちが好きだった?」と聞かれると、もう問答無用で1巻なんですよね、私は。なんか、言葉には言い表せないけどあっちのほうがぜんぜん好きだった。
挿絵が変わってしまったのにもその傾向に拍車をかけました。2巻の作画の人が悪いと言うことでは全く無いのですが、なんていうか、1巻の挿絵担当の甘福さんのイラストが持つ独特の透明感といいますか、そういうイメージがぴったり物語とハマっていたのに結構思いっきり違う方向のイラストになってしまったのが残念だったというか、物語の変化も踏まえて私の中では「別の物語」に近い印象になってしまったと言うか…うーん。特にカタナの別人ぶりにはちょっと泣いた。1巻と2巻の間で年とりすぎですカタナさん何があったんですか。
新しく登場したキャラクターの礫も非常に魅力的だったし、前述しているように物語自体は非常に面白くなってきているのですが…うーん。1巻で提示された属性萌えだけで2巻に期待をかけたら予想してたのと違ったと言うか、どこぞの文学少女風に言えばタイの民間食堂で激辛坦坦麺を食べるつもりで挑んだら、一流シェフの作ったカレーの味がした、みたいなイメージだ。
イマイチ続きに興味がもてなかったと言うのもあるので、3巻を続けて買うかどうかは微妙かも。
コメント
[現代異能バトル][ラノベ]繰り世界のエトランジェ 第2幕 偽りのガジェット
繰り世界のエトランジェ 第2幕 (2) (角川スニーカー文庫 202-2) 作者: 赤月黎 出版社/メーカー: 角川書店 発売日: 2008/02/01 メディア: 文庫 「1巻ほどではないが面白い、でも、まだ核心に触れていないよねえ」 と思った第2巻です。 いや、なんで面白くないのかな?と