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タタの魔法使い2

 

一つの高校が突如異世界に消失した衝撃の「ハメルンの笛吹事件」から三年後、新たな学校消失事件が発生する。私立折口大学附属高校の1100名を超える生徒たちは、タタの魔法使いの妹カカにより異世界に転移させられる。地下に出現し、巨大なダンジョンと化した校舎で始まる一ヶ月間の異世界生活。「私達の夢は、ここで叶う」「私は、みんなと協力しあいたい」『将来の夢』の力でカリスマ生徒会長となった藤堂瑠奈率いる生徒会執行部と、二年三組の無敵のリーダー・夜木秋の活躍により日本への帰還を目指す生徒たち。生存者数、推定77名。壮絶な異世界サバイバルが再び幕を開ける。(「BOOK」データベースより)

タタの妹を名乗る魔法使い・カカの手によって再び学校消失事件が発生。異世界の地中に埋まる形で出現した校舎は巨大な地下迷宮と化す。「一ヶ月後に元の世界に戻れる」というカカの言葉を頼りに、千人を超す生徒たちの一ヶ月間の異世界籠城サバイバルが始まる。

ルポタージュという形式を取った群像劇のようでありながら、物語を最後まで読んで改めて考えると、全てが二年三組のリーダー格である「夜木秋」と彼女の周囲を巡る知人友人達の物語として収束していくのが面白かった。ルポタージュという形式で不用意にわざと先の展開を見せつつ、少しずつ事件の本当の輪郭が見えてくる語り口が相変わらずおもしろかったです。

弘橋高校での事件の詳細はほとんど世間に認知されず(それどころかフィクションとして虚飾された物語が広まってたりする)、教訓が見事に生かされないので、読んでる側としてはとてももどかしい気持ちになる。というか、事件後の生徒たちの行動といいその後の展開といい、あらゆる意味で1巻とは対称的な流れになってるのが印象的でした。あちらで上手くやれていた事が、こちらで上手く出来なくて致命傷になったりしてるんだよな……。そしてこれ完全に3巻に続く流れ(?)のように感じるのだけど2巻の主要人物はのきなみ抜けた後で、色んな意味でどうなるんだろう…。

1巻で感じた語り手の「身内贔屓」感は事件が変わったことで無くなったけど、今回は随所にマスコミ叩きやブラック企業disみたいな内容が混入してくるので、これが読み口なんだろうけど読むのに結構体力要る。この雑多感、NGワードやミュートなしで雑に1000人くらいフォローしたツイッターのホームTL開いたときみたいで、逆にこういう読み口を紙の物語で再現できるのはすごいなあと。

それはそうと最後の最後でダークホースな人が大活躍するのとか、超好きです。
帰還後のクラスメイトの反応もわかるすぎるわw


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企画元:ラノベ人気投票『好きラノ』 - 2018年上期

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羊太郎「ロクでなし魔術講師と禁忌教典11」
【18上期ラノベ投票/9784040724201】
第一部クライマックス感のあった10巻、新展開の11巻とどっちも文句なしに面白かった!!新展開になってどうなるかなとおもっていたけど、先生物としても学園ファンタジーとしても新展開で畳み掛けてきて、本当に楽しかった……あとイヴが地味に好きなので11巻たまらなかったです。
amazon.co.jp:引きこもり勇者VS学級委員長まおう
春日山 せいじ「引きこもり勇者VS学級委員長まおう」
【18上期ラノベ投票/9784047349698】
引きこもりになってしまった勇者を登校させようとやってきたのは、なぜか勇者の学校の学級委員長になった魔王だったというお話。名ばかりの強者ではない、世界最強の力を持つ少年少女が妙にスケールの大きいバトルをしながら揉めてるのは「学校に行くかいかないか」っていうのがおそろしく楽しかった。クライマックスの展開とか最高に好き。あと勇者と魔王の「友情以上恋人未満」って感じの関係性好きなんだよな〜。
amazon.co.jp:タタの魔法使い
うーぱー「タタの魔法使い」
【18上期ラノベ投票/9784048936118】
大量の死者を出したクラス単位の異世界転移という事件を、事件の当事者の身内がドキュメンタリー形式でまとめた作品。事件そのものもさることながら、「事件の当事者」「当事者の身内」という複数の人間のフィルタを通して明らかに恣意的に歪められていることを感じさせる文面になんともゾワゾワと座りの悪い感触が拭えない。一周回ってなんかいい話っぽくまとまってるのがまた物凄く座り悪いんだよな…いろいろな意味で他にはない読み口の作品でした。
amazon.co.jp:後宮天后物語 〜簒奪帝の寵愛はご勘弁!〜
夕鷺かのう「後宮天后物語 〜簒奪帝の寵愛はご勘弁!〜」
【18上期ラノベ投票/9784047349407】
失意のドン底に落とされたヒロインが、自虐と嫉妬を撒き散らしながら図太く立ち上がって事件の真実を追い求めていく展開が熱い。ストーリー的にはかなりシリアス分しかないはずなのに、要所要所でプっと笑えてしまうの本当にずるいなあと。安定の男前すぎる夕鷺ヒロインだったのでもう安心感しかなかった。
amazon.co.jp:ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団
師走トオル「ファイフステル・サーガ 再臨の魔王と聖女の傭兵団」
【18上期ラノベ投票/9784040726991】
自らの死期を見せる夢を鍵にして難曲を打開していく展開と、政略結婚でありながらもどこか初々しい主人公カップルがかわいい。物語はまだ長い冒険譚の序章といった感じでありながら、魅力的な登場人物が沢山登場して、彼らが動くだけでワクワクが止まらなくなっていく。特に第二の主人公的なムーブをしてたヴェッセルさんに期待が止まりません。早く主人公と絡むんだ!!
amazon.co.jp:脱サラした元勇者は手加減をやめてチート能力で金儲けすることにしました
年中麦茶太郎「脱サラした元勇者は手加減をやめてチート能力で金儲けすることにしました」
確認したら2017年発売だったので投票コードだけ抜いて残しておきます。
最強の勇者が会社を作って圧倒的なチート力とビジネスマンならではの駆け引きで世界を裏から牛耳る帝国に立ち向かう!!という話で主人公がとにかくソツなくスマートに物事を解決していくのが楽しかった。水戸黄門的というか、かつての夕方の日テレアニメ(シティハンターとかルパン三世とか)を見てるような楽しさある。2巻打ち切りなのが残念です。


タタの魔法使い

 

2015年7月22日12時20分。弘橋高校1年A組の教室に異世界の魔法使いを名乗る謎の女性、タタが突如出現した。後に童話になぞらえ「ハメルンの笛吹事件」と呼ばれるようになった公立高校消失事件の発端である。「私は、この学校にいる全ての人の願いを叶えることにしました」魔法使いの宣言により、中学校の卒業文集に書かれた全校生徒の「将来の夢」が全て実現。あらゆる願いが叶った世界―しかしそれは、やがて犠牲者200名超を出すことになるサバイバルの幕開けだった。第24回電撃小説大賞にて“大賞”を受賞した、迫真の異世界ドキュメント。(「BOOK」データベースより)

弘橋高校に現れた「タタの魔法使い」は、学園の人間全ての中学時代の卒業文集に書かれた「将来の夢」を実現させてしまう。生徒のうちの誰かの夢によって学校はまるごと異世界転移させられ、ある者は異能に目覚め、ある者は別の者の夢により姿を消し、ある者は異世界から戻らなかった。集団異世界転移事件の一部始終を当事者の肉親が聞き取りをしてドキュメントとしてまとめたという体の物語。

半数近い死者・行方不明者を出した異世界転移サバイバルが、エグい場面も多いながらなんとかかんとか人の絆と青春と友情と願いの物語に収まっているのが面白かった。恐ろしいばかりではない異世界の住民達との邂逅は熱かったし、「魔法使い」の居所に向かう道中なんかは結構普通に青春しててニヤニヤしてしまう。

でもなんというか、同時に、ものすごくイビツなものを感じるというか、「誰かにとって都合の良い物語」を読まされてる感じがするんですよね。外見は綺麗な話になってるんだけどツギハギ感というか、どす黒いものがはみ出してる感じがする。

首謀者である「タタの魔法使い」によって悪意的に整えられている部分と、ドキュメントを作成した「当事者の肉親」が善意的に歪めたであろう部分。そして「生還者」達が見なかったかもしれない、見ても口をつぐんでいるかもしれない部分。実際聞き取りの中心となった1-Aは一番被害がマシだったというので、他のクラスに目を向けたらもっと残酷な話がいくらでも転がっていたんだろうなあ。

あらすじを読んで想像したような人間関係がエグい話ではなかったのですが、なんというかこう、まったく別の意味で言葉にできない悪意とも言えないエグみを感じる物語で、そこが凄く面白かったです。しかし、最後の最後で2巻フラグ立ててたけどこれどう続くんだろう……。

ところで、これ本編とは関係ないんですけどメインとなる1-Aだけでも生徒名簿みたいなのほしかったです……いや最後の1P読んだら、とりあえず全員の設定洗い直したくなるでしょ……できれば卒業アルバム風で全員の顔写真つき一覧とか欲しさあったけど、やはり連載持ってる忙しい漫画家さんだとそういうの作画コスト高いんだろうか。

やっぱ文字だけでいいから生徒名簿ほしいです。次巻あるならぜひお願いします。