カルチャースクールの小説のお題を考えていて車に轢かれそうになった路郎をかばって怪我をしたのは、バイト先のコンビニに良く現れる常連客の高校生。お詫びのために病院を訪れると、なぜか慰謝料の代わりに毎日SSを書いてお見舞いに来るよう求められる。それ以来、彼の出す「お題」に振り回されるようになって!?というお話。
ツンデレ高校生×作家志望のDTフリーターな年下攻BL。強引なように見えて好意駄々漏れでまったく余裕のない蓉平が、路郎を振り回しているようでその実そのマイペースな天然ぶりに振り回されてるのが微笑ましくて仕方なかった。突然お風呂での“介護”をねだってみたり、小説のお題がだんだん露骨に直球になっていったりするんだけど全く気づいてもらえてないのが大変に不憫可愛い。その裏でそれなりに路郎もほだされてたりするんだけど、お互いに気づいてないすれ違いっぷりが凄まじく可愛かった。
そして路郎による作中作がじわじわと笑いを誘ってくる。正直いろいろな意味で作中作に期待していたのですがシャンプーとコンディショナーとトリートメントの擬人化三角関係がシリーズ化して新キャラ増えて四角関係になるのとかもう笑うしかない。擬人化三角関係シリーズと鼻パックシリーズは普通に全部読みたいレベルなんだけど、路郎自身の気持ちが作中作にも反映されていくのがどこかこそばゆく、笑いながらもキュンとなる。終盤のやつなんか完全に超長編ラブレターですよね……。
もうなんか期待通りの微笑ま可愛いバカップルものだったんですが、個人的には終盤に路郎の親友・大川と蓉平がどんな会話をしていたのかとても気になる。出番は少ないけど、大川のあくまで良き理解者でいてくれて「路郎の親友」というラインを踏み越えてこない関係性、凄く好きだったな。割りとこの手の小説の「受の親友」ポジションは高確率で噛ませ犬になるか、他所に彼氏がいたりするパターン多い気がするので最後まで「よき理解者」枠からはみ出さず、途中でフェードアウトしないで一定の存在感を保ち続けるの凄く良かった。