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俺の妹がこんなに可愛いわけがない5

 

「じゃあね、兄貴」―別れの言葉を告げ、俺のもとから旅立った桐乃。…別に寂しくなんかないけどな。そして新学期。平穏な高校生活を謳歌する俺のもとに、奇妙な後輩が現れる。「おはようございます、先輩」俺は、黒猫の人間としての仮初めの名を知り、より深い“絆”を築いていくことになる。“妹”と“親友”。ともに大きなものを失った二人は、数多の思想が渦巻く校内で、“魔眼遣い”の少女と対峙する。“稀少能力”を持つ少女に、俺と黒猫は圧倒され、異空間へと誘われ…!!“日常”と“非日常”が交差するとき、物語は始まる―。 (「BOOK」データベースより)

「俺の妹」こと高坂桐乃が不在のまま展開する新学年編。今回は色々な意味で黒猫のターンだったなあ。『ネットの友人』から『現実の後輩』へと姿を変えた、一味違う彼女の魅力が存分に語られます。

桐乃とも黒猫とも違うタイプのオタク女子・瀬菜が良い味出してる。彼女の主張は腐女子世界ではある意味極右というか、ある意味わかりやすい「隠れたい腐女子」と言う感じでおもしろかったです。カップリングの受攻に関する話については、私はリバ派なのであの感覚はちょっとピンとこないんだけど、京介や黒猫の「ひっかけ」に過剰反応する姿や、盛り上がりすぎて色々と周囲を忘れて暴走する姿は他人事とは思えないw

ていうか、あの手の「隠れたい腐女子」を装いたいなら、その後の部員妄想やらプレゼンやらはNGだろー、とは思うのですが。…ああでも、あの手のタイプって一度カミングアウトするとその人達にしかカミングアウト出来ない分、暴走も激しいよなあ…。

ゲーム部に入った黒猫の、「皆の求めているものではなく、自分のやりたいものを作りたい」という主張には胸が熱くなるものがあった。やはり、需要も採算も度外視で自分のやりたいことをやるのが同人の醍醐味ですよね。最初は非協力的な態度を取っていた瀬菜がなんとか説得されて、二人で力をあわせてゲームを作成する…という展開もおもしろかったです。

それにしても、まさかの黒猫ターン突入でここからいったいどうなるのかと思ったけど、黒猫メインでありながらも上手いこと桐乃の方にバトンを繋ぐやり方は上手かったなあ。桐乃・黒猫のどちらが好きかという問題以上に「やはり桐乃のいない俺妹は俺妹シリーズとして何か違う」と思っていたので、今回の終わり方には超満足。次巻では同タイプながら正反対な桐乃と瀬菜の絡みにも期待したい。今回ちらっと本心を覗かせた沙織さんにも、そろそろスポットライトを当てて欲しいなあ。

あと麻奈美がもっとたくさんでたら完璧です。


俺の妹がこんなに可愛いわけがない

[著]伏見 つかさ [絵]かんざきひろ

高坂京介は「普通」であることが自らの矜持である、ごく普通の高校生。美少女な妹・桐乃とは折り合いが悪く、殆どまともに話もしないような関係だったのだが、ある日彼女が落としていった「あるもの」をきっかけに、自分の妹の知られざる一面を目の当たりにしてしまう。それ以来、桐乃に人生相談を持ちかけられるようになって…!?
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有名ニュースサイトの名指しネタで今月の電撃新刊では間違いなく一番話題になったであろう噂の1冊。8月は買う予定の新刊が多すぎるのと妹属性1ミリもないので爽やかにスルーしていたのですが、世間の流行にびっくりして一足遅れで探したら、どこの書店も電撃新刊これだけ売り切れてるの!!オタクのみんなの行動力の速さに絶望した!!!…余談だけど、「かーずSP」と「アキバBlog」を取り上げた事ばかりが話題になってるけど、その後何気に「朝目新聞」も出てきてたのは皆スルーなのでしょうか。

スポーツ万能成績優秀な美少女というどこをとっても隙が無い妹は、自分が妹の癖に「妹萌え」のアニオタ・エロゲーオタ。そんな妹に嫌々付き合わされ、振り回される兄のお話。話題になったニュースサイト名指しネタのお陰でメタネタ頻発のギャグコメかと思ったら、予想以上に正統派なオタク物語でした。そういえば、「腐女子」の女の子がメインや脇役に来る物語は結構見たけど、「女エロゲオタ」を主題に扱うのって物凄く希少なのではないですか。BLゲーではなくエロゲを好んでプレイする女性というの自体、世間ではあまり認知されてないですしね…(型月や鍵に代表される、一部エロゲは結構プレイしてる腐女子いるけど)

同志が居なくてついつい「自分の趣味に対して少なくても否定的な意見は持たない人」をムリヤリそちらの道に引きずり込もうとしてしまったりする場面とか、オフ会での場面では同じオタクとしては「あるあるwww」の連続。「二次元と三次元を一緒にしないでよ」発言とかあまりにもそのテのオタクとしてリアルな発言過ぎる。女オタは二次元と三次元を混同なんかしちゃったら恐ろしくて男性向エロゲーなんか出来ませんよ!!!

オフ会の場面でも、桐乃がハブにされる様子とかが物凄いデジャブを……気配り上手の沙織さんが最高に良いキャラで、リアルでお友達になりたい。こういう気配りできる人材って貴重だと思うんだ…。騒がしい場所だと、全員で同じ話題に興じるってやりづらいですしね。桐乃・沙織・黒猫の3人の凸凹した人間関係が見ていて凄く楽しくて、次の巻があるなら是非ともこの3人のやりとりがもっと見たいなぁとか思いました。

京介の助力を得て、少しずつ「オタク」としての顔を外に作り始めた桐乃の前に立ちふさがるのが、典型的なオタクへの前時代的な偏見に満ち満ちた父親。そんな父親に対して、妹に代わって立ち向かう京介がとてもかっこいい。なんか他人事に思えないだけに、自分がオタクではないのに一生懸命擁護してくれる京介の姿に胸が熱くなりました(私も未だに18禁系同人とエロゲー所持してることだけは未だ親にカミングアウトできない!)(しかも男性向女性向どっちもあるんだぜ!)(気付かれてて見なかったことにされてるだけかもしれないけど!)ううむ、しかしそれにしてもなんというツンデレファミリーだ……妹といい、父親といい、兄貴といい……。

オタクモノとしても、正統派の青春物語としても文句なしにおもしろい作品でした。ネタ的な方向で話題になっちゃってる作品だけど、普通にオススメ!

…ところで、京介と幼馴染の麻奈美のやりとりがツボ過ぎて、あまりの天然カップルぶりに何度か砂糖吐きました。おまえらとっとと結婚しちゃえばいいよ!!!続編も予定されているようなので是非ともその際はこいつらの仲の進展もお願いします!