クリフォードの支えを得て、改めて仮面の男ルストと対峙する覚悟を決めたオクタヴィア。ところが、話の途中で侵入者の襲撃を受ける。彼らの狙いは、兄の恋人(男)・シル様だと知ったオクタヴィアは、クリフォードと共にルストの案内で彼の行方を追うことになるが…。
準舞踏会編後半戦。戦いの中で育まれる絆が熱い。
オクタヴィアを狙う謎の集団、そして行方をくらませたシル様を巡る小競り合い。そしてクリフォード以外の『従』との対決──お城の中で展開された1巻、華やかな準舞踏会でのやり取りが中心だった2巻と比べて一気にバトル要素の強い3巻でした。クリフォードの邪魔にならないよう立ち振る舞おうとするオクタヴィアを尻目に、非戦闘員である彼女が側にいても色褪せない強さを見せつけるクリフォードの姿に圧倒されてしまう。そんな中で、どこか自分の犠牲を顧みないオクタヴィアのとある行動を、絶対であるはずの『主』からの命令すらも超えて抑止しようと動いてしまうクリフォードの姿が印象的。たとえそれが彼女の本意であったとしても彼女が傷つくのが許せない、と。少しずつ、クリフォードがオクタヴィアに対して主従の線引きを超えた感情を持ち始めているのが伝わってくるのがたまらなく楽しかったです。同時に、オクタヴィアの方も今回の準舞踏会での件を経てクリフォードとの絆を深めたようで……二人の関係性の変化を思わせる、最後の1行に思わずニヤニヤしてしまった。
レイフが語った『オンガルヌの使者』が“不可能を可能にした『従』”であるという可能性も含めて、先が楽しみで仕方がない。
良くも悪くもスッキリしない終わり方…
ただ、準舞踏会編の展開をまとめて思い出すと総合的には凄く面白かったんですが、準舞踏会編後半である3巻自体はちょっとカタルシスに欠ける、スッキリしない終わり方だなあと。2巻で明かされた様々な真実がめちゃくちゃ面白かっただけに、バトルは派手だったけどむしろ物語の謎が深まっただけの展開にはどこかスッキリしないものを感じてしまった。Web小説原作にはありがちな話だけどとにかく物語の動き方が遅い。準舞踏会の内容、1冊で読みたかったなという気持ちがすごい。ラスト自体は良かったんだけど、本来あるべきCパートがとれてないアニメの録画みたいになっちゃってるのがちょっと気になる。っていうか元々の彼女の目的であったはずの偽装恋人の話とかマジで完全に有耶無耶になってしまったというか、ルストのアレコレを考えるとむしろ完全にふりだしに戻ってるんですけど!?ルストやおじさまが恋人相手の手がかりを持ってるとかそのくらいの手がかりがあっても良かった気がする。(っていうかこれだけラブラブなわけですしクリフォードじゃだめなんですかねえ!!)
続きが気になる展開、なんだけど…
2巻でたのが一昨年、という話を見てWeb版見に行ったらここ(3巻ラスト)からほとんど進んでないんですよね。これ続きいつになるかなあ……1巻分まとまってから続きを投稿してるってかんじでもないんだよなあ。