世継ぎ問題押し付けを回避するため、そして兄にお披露目する「恋人」を見つけるため、準舞踏会にやってきたオクタヴィア。ところが道中、兄・セリウスの目を盗んで一人で準舞踏会やってきたシルが馬車のトラブルに巻き込まれているところに遭遇し、一緒に向かうことに。会場には兄の親友・デレクもやってきていて──一筋縄では行かなそうな舞踏会が幕を開ける……!?
1巻では見えなかった部分の人間関係が興味深い
セリウス王子が不在で王宮以外の場所だからこそ見えてくる、ほぼ建前抜きの関係性が興味深かった。シル様が本当にBL世界の「「「光の受」」」って感じで良い意味で憎めない人なんだよなあ…!デレクもめちゃくちゃいいキャラだしオクタヴィアとのやり取りとかめちゃくちゃ好きなんだけど、正直色々な設定から重ね合わせると胡散臭さがすごい。根幹から歪んでいた「ご都合主義」世界の真実
予定外のアクシデントにもめげず、自らの恋人候補を探すオクタヴィア。ところが、探し求めていたはずの人物と出会ったその時、オクタヴィアが転生する直前に体験したとある出来事がフラッシュバックする──。そもそもベースとなったBL小説の世界自体が重厚な設定よりもキャラクターの関係性重視の印象を受けていたので、そこに「女性が複数子供を産んで兄弟に差し出さなければいけない世界」なんて設定が付随するのが違和感ありすぎたんですよね。1巻の時点から匂わせがあったけど、オクタヴィアの転生に際した出来事が想像以上に重くて衝撃。あらゆる意味で「歪んだ」世界観だなと思ってはいたけど成立過程からして歪みまくってたんだな……。それにしても彼女を転生させた超越存在の人間への無関心さと悪趣味さかげんが凄くて、もうこれもう1〜2回ひっくり返す気満々では…!?
同時に、1巻を読んで疑問に感じていた部分の謎が一気に解消されて、読んでいて気持ちいいのなんの。いやストーリーやオクタヴィアの人生的にはシリアスだし重くてしんどい場面なんですけど、ここまで綺麗に疑問と解答が噛み合うともう無条件にテンション上がってしまうな……。
オクタヴィア&クリフォードの主従関係にときめく!
マイペースな一方で常に強くあろうとしていたオクタヴィアが過去のトラウマを呼び起こされ、転生し作り上げてきた鉄壁の防御を剥がされてしまう。年齢相応の少女らしい「弱さ」を見せてしまったオクタヴィアと、交わした約束通りにそんな主人(オクタヴィア)の弱い姿を周囲に見せまいと立ち振る舞うクリフォードがアツい。そして、クリフォードの「信頼」を受けて、流した涙を化粧の奥に隠してふたたび立ち上がるオクタヴィアが最高にかっこいい!最初は無関心のところからはじまったハズのふたりが、様々なやりとりを経てお互いに欠かせない存在になっていくのに胸がジンとしました。世界を創造してしまうような敵とそれによって既定された『運命』に、それでも立ち向かおうと覚悟を決めたオクタヴィアとそんな彼女の事情は知らねど最後まで付き従うと決めたクリフォード。どう物語をひっくり返していくのか、本当に楽しみです。っていうかもうオクタヴィアはクリフォードと付き合ってることにしちゃったらいいのでは!!??いや色んな意味で彼にもまだまだ裏がありそうですけども!!だめ!!??
それにしても、1巻も舞踏会に行く直前で終わってしまって若干端切れの悪さを感じてしまったんですけど今回もなんで毎回こんな半端なところで切れるのか…せめて舞踏会が終わるまでは一気に読みたかった気がするんですけど……。