

斎藤秀太郎は変わった男だった。自分の才能に自身を持ち、万人を軽蔑し、いつ終わるともしれぬ小説を書き続けていた。時々麻雀に参加しては生活費を稼ぎ、大学留年の記録を一人伸ばし続けていた。そしてある日、「もんどり、もんどり」と叫びながら彼は姿を消した——その数年後、大文字山に出る化物の噂を聞きつけて見回りに行った警察官・永田が遭遇したのは…
「山月記」「藪の中」「走れメロス」「桜の森の満開の下」「百物語」という5つの文学作品を元にした、近代文学リミックス集。メインとなる登場人物やストーリーに連続性は無いのですが“斎藤秀太郎”という一人の変人を軸にキャラクターがつながっており、前の4編で登場したキャラクターたちが最後の「百物語」で集うという構成になっていて、なかなか面白かったです。
どの作品も面白いんだけど、やはり一番面白かったのは表題の「走れメロス」でした。原作は文学に疎い私でも知ってるほどの名作で、男二人の熱い友情の物語…の筈なのに、何でこんなことになってるんだ(笑)これも一つの友情の形なのか…?(多分違う)
ライトノベル名言図書館さんでも触れられていますが、身代わりとなって捕まった友人が自信満々に
「俺の親友が、そう簡単に約束を守ると思うなよ」
と豪語する辺りがとても素敵です。なんか雰囲気はかっこいいのに実はこいつら、すごい馬鹿!という感じがめちゃくちゃツボに来ました。オチがまた実に素敵です。なんというか弁論部の固有結界に取り込まれてしまったとしか思えないw
残りの3作品は原作もおぼろげにしか知らないので、原作をどういう風に料理しているのかわからないのがちょっと残念でした。でも普通に単体のストーリーとして面白かったですね。
「メロス」がツボにハマったので、いつか時間が出来たら本屋大賞を受賞した「夜は短し 歩けよ乙女」も読んでみたいです。
コメント
トラバに釣られてきましたw もやしです。
感想を参考にしてくださったようで、ありがとうございます?。
いやあ、走れメロスは噴出しまくりでしたよ(笑)
こんばんは?!
いや、ほんともやしさんの感想の所の「俺の親友が?」のインパクトが強すぎました。読んだ翌日には本屋に探しに行ってました(笑)
「走れメロス」はほんと予想以上に面白かったです。こういうノリなら是非他のハードカバー本も手をつけてみたいと思います!
>「俺の親友が?」のインパクトが強すぎました
私もその文句に釣られたクチです(笑)
実は買うかどうか迷っていたんですが、帯の「俺の親友が?」を見て迷わず買っちゃいました。