[著]樹川 さとみ [絵]松本 テマリ 宗教集団ミトラーダで島の警護をしていたハルセイデスは突然都に呼び出され、数十年ぶりに誕生した「姫総長様」率いる騎士団の団長として諸国巡礼の旅に付くよう命じられる。しかしこの姫総長・シアシーカがとんだ変わり者で、お付となった騎士団の面々も寄せ集めの変わり者ばかり。彼らを立派な騎士団の一員として鍛えなおす為、ハルセイデスの苦難の日々が幕を開ける…!? |
メイン2人の強力な個性は勿論だけど、とにかく出てくるキャラクターたちが脇役に至るまで全てが魅力的で、とても面白かったです!団員も腰みの姿の妖しげな異邦人とか、美少女と見紛うような美少年会計士、ちょっぴりふくよか(婉曲表現)な双子、無口で不気味な雰囲気を漂わせる黒ずくめ…などなど、個性的な面々ばかり。個人的には時々突飛もない行動力を発揮する双子と、騎士団唯一の癒し系な「おとーさん」・シンドーさんが何気にお気に入りでした。
そんな彼らを必死に「立派な騎士団」へと鍛え上げようと、敢えて嫌われ役を引き受けて彼らをスパルタしていた所為でゴーレムだのなんだの影で言われてしまうハルセイデス。しかし、シアシーカの言葉を切っ掛けに少しずつお互いの距離が縮まっていく姿は心が和みます。最終的にハルさんはカタブツのように見えて、実はとても良いツンデレですよね、というオチ。
ヒロインにして作品の紅一点・シアシーカについては序盤はあまり好きになれない部分もあったのですが、読み進めるにしたがってだんだん彼女の人間としての奥深さみたいなのが見えてきて、そうしたら一気に好きなキャラになりました。ただの天然娘ではない所がまた良いです。さりげないハルさんとのやりとりにもニヤニヤ。
圧倒的なキャラクターの魅力に牽引されて、ぐいぐい最後まで読み進めてしまいました。2巻以降は購入してないのですが、また機会があれば続きにも手を出してみたいなあ。
余談ですが「みりおんぐらむ」さんの感想で樹川版「ダナーク村」と表現されていて、物凄く納得した次第です。確かにこのノリは紛れも無くダナーク…!!(主人公がツンデレ男、的な意味で)