[著]甲田 学人 [絵]三日月 かける 死なない異形と化した母親と共に、「いばら姫」の泡禍が発動する真喜多家に隔離されてしまった蒼衣達。泡禍の正体も掴めないまま、惨劇は彼らの予想を越えて広がっていく。雪乃と蒼衣の指示で、庭に出た田上颯姫は思わぬ人物に出会い… |
怪異描写的には前巻ラストが最高潮という感じだったので、前巻ほどの衝撃はなかったのですが、それ以上に今回は正常な人間の異常さが強調されている物語のように思えました。泡禍の影響ではなく、あくまで自分自身の考えで“異常な”結論に至った人間の姿に、背筋が凍る。今までのように、あくまで非日常的な何かが原因で命を落とした…というのではなく、非日常がトリガーを引いたとはいえ、結果としては「正常な人間同士が殺しあった」という形になってしまったのがとても悲しい。特に莉緒にはひとつでもいいので救いのある展開がほしかったなあ…と思います。結局最後まで彼女は、姉や弟の“代用品”としか見てもらえてなかったわけで。
しかし、エピローグでの風乃での態度をはじめとして、なんだかすっきりしない終わり方。いつぞやの千恵のように、莉緒の“騎士”としての再登場もありうるのでしょうか。続きが楽しみです。
コメント
あまりにも悲惨だったために、なんか少しでも良いから浮上するような状況で再登場して欲しい気はするんですが……。ただこの作品で再登場って、騎士になることとほぼイコールで、騎士になるということは即ちトラウマを抱え込むということだからなんとも悩ましい気持ちです。
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返信遅くなりまして申し訳ありませんorz
再登場するとしたら「騎士」としての登場が一番ありえそうですが、それはそれで明るい未来が見えないので悩みどころですよね…かといって普通の人として出てきたら出てきたで、なんかさらに1波乱巻き込まれそうな気がして、でもこのままフェードアウトするのは惜しいキャラだったので、ほんとどういう風に今後の展開に期待すればいいのか悩ましいです…。