ついカッとなって「レジンキャストミルク」を再読した | 今日もだらだら、読書日記。

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ついカッとなって「レジンキャストミルク」を再読した

とある裏設定を聞いたのをきっかけに、衝動的に「レジンキャストミルク」の再読祭りをしました。再読時の読書メーターの感想を元に、各巻の感想とお気に入りの場面・台詞をまとめています。

布教エントリを兼ねておりますが、作品の雰囲気を知ってもらうためのネタバレ+後半の各巻感想は割と普通に先の展開のネタバレに関する言及があります。本編は現在(2021年7月)BOOK☆WALKERさんで全巻読み放題になっておりますので、気になる!というかたは気軽に手を出してみてください。

あらすじ(※軽くネタバレあり)

物語の舞台となる現実の世界【実軸(ランナ)】から枝分かれし、生まれては消えていく無数の世界・【虚軸(キャスト)】。虚軸が滅ぶ際に実軸に現れる意識体【虚軸】達は実軸に生きる人間を【固定剤(リターダ)】という存在にすることで、実軸に留まることが出来る。固定剤となった人間が大切にしていた何かを『欠落』させることによってその欠落の間に入り込み、その代わりに彼らに人ならざる力を与えるのだった。

【全一(オール・イン・ワン)】という虚軸の少女・城島硝子の固定剤となった主人公・城島晶は父親に取り憑いて母を連れ去った虚軸【無限回廊】を排除するため活動していた。昼間は平凡な高校生としてなんでもない「日常」を送りながら、その裏では協力者である固定剤の少女たちと共に虚軸を狩り、【無限回廊】を追い詰めようとする。

個人的に推してる所

学園ラブコメな「日常」とダークな能力バトルな「非日常」が両立する世界観

昼は平穏で楽しい学園生活を送りつつ、その裏では自らの「本当の日常」を崩壊させた【無限回廊】を追って戦いを続ける。ちょっと(というかだいぶ)変わった少女達との平穏な学園生活と、それぞれの【虚軸】を駆使したダークな異能バトルが代わる代わる訪れる展開がとにかく楽しい!そしてそんな平穏な学園生活が少しずつ、虚軸の脅威によって侵食されていく後半の展開がたまらない。

漢字にカタカナや漢字のルビを振る、中二力の高い文章

各巻感想に好きな場面紹介を入れているのですが、スレイヤーズの詠唱を暗記して育ったリアルタイム世代としてはとにかくこれでもかというほどルビを振りまくった文章がめっちゃ好き。そういうのにときめきを感じる人は絶対に読んでほしい。漢字にカタカナのルビを振るバトル描写だけでなく、内心の言葉に、その更に奥に潜む本心をルビで振ってくる演出とか本当にたまりません。

魅力的なキャラクター達と、彼ら彼女らを犯す「非日常」

主人公・城島晶を中心に絡み合い、そして彼らの関係性が虚軸という「非日常」によって犯されていく。最初はお互いの利害の一致から行動を共にしていた(と晶は嘯いている)はずの主人公たちが、少しずつ本当の「仲間」として形を代えていく姿は胸に来るものがありますが、彼らの「日常」を彩っていたはずの平凡だった同級生達が、非日常からの侵食を受けて少しずつイビツに形を変えていく姿も必見です。

各巻感想

「レジンキャストミルク1」
後の展開を知ってから読むと色々新しい発見が多いなあと実感。最後までの二人の関係を象徴するような、冒頭での里緒と晶のやりとりが大好き。真綿のように優しく、しかしじわじわと晶に言葉を浴びせる里緒の言葉が容赦なくて、とても好き。晶が「泣けない」のは最後までの裏テーマでしたよね。そして、蜜の強い思いを知ってから改めて読むと、直川との対決で蜜が発した言葉に胸がきゅんとなって仕方が無い。

「晶は泣けないんだよ。晶の後悔は、悲しみは、涙は欠落してる。死んでしまっているの」
欠落という二文字が、僕の口を塞いだ。
そんな僕に、ゆっくりと目を瞑り、里緒は──僕の親友は、震える声で
「だから……里緒が代わりに、泣いてあげようと思うんだ」

16P epilogue 終らない終らない始まらない

「レジンキャストミルク2」
虚界渦開放!な無限回廊vs有識分体戦がとても好きです。乖離に至る病(クリアランスゼロ)の詠唱も好きなんだけど、里緒から晶への強い信頼の見え隠れするやりとりにニヤニヤした。先の展開を知って居ても、晶の守りたがっている「日常」が次々と突き崩されていく様子はやっぱり容赦ない。なんだかんだで動揺してる殊子先輩可愛いです。芹菜ルートは……なんだかんだで晶側としてはここのエピローグでカンペキに閉ざされてるよなあ、と思ったり。

目を……。
「『小町(Zero)』。虚界渦を開放する(アンダーゲート・オープン)
──開く。
「おいで、世界。……『乖離に至る病(クリアランスゼロ)』」

瞬間、世界が変化した、、、、、、、

126〜7P Chapter2 歯車の逆回転における矛盾的プロトコル

「レジンキャストミルク3」
決して傷つけ合うつもりではないのに、すれ違って傷つけあっていく登場人物たちの動きが胸に痛い。客観的に見たら悪い事をしている訳ではない筈のあの人やあの人の行動が、酷く醜悪に見える。そして、再読すると改めて蜜がどれだけ「初めての友人」であった君子を大事に思っているかが見えてきて、胸がキュンとなる。「怒り」以外の感情を表現できないだけで、本当は誰よりも感情豊かな蜜の不器用な優しさが可愛すぎる。

そうか。硝子は、僕が姫島姫の身体を壊してしまわないか心配なのだ。
それならば大丈夫だ。何も心配はいらない。
姫島姫は無傷でちゃんと助け出してやるから(完膚なきまでに肉塊にしてやるから)

254P Chapter4 Helter skelter

「レジンキャストミルク4」
最悪の状況からの逆転劇が、たとえ仕組まれたものだとしても熱かった。晶を遠回しに叱咤する里緒と晶のやりとりや蜜を激励する殊子からの「贈り物」ににやにやする。何事にもとらわれない殊子と里緒のそれぞれ唯一といえる大事なものが蜜であり、晶なんだろうなあ。『敵意』でしか感情表現が出来ない蜜が彼女の唯一の友人であり恩人である君子へ向ける不器用な『優しさ』と哀しい決意に胸が熱くなった。失われた物も多かったけど、なんとか取り繕われた日常に戻っていく君子と姫の姿に胸が熱くなった。

自分が君子に近づく事は許されない。それならば、、、、、
彼女に近づくすべてをの悪意を、自分はことごとく引き受けよう。
あの優しい子が、自分のような人間と関わらずに済むのであれば。
「私は……」私は……

251P Chapter8 Strawberry fields

「レジンキャストミルク5」
辛うじて取り繕われていた晶の「日常」がいよいよ崩壊するお話。
硝子の虚界軸『世界の終わり(カーテンフォール)』が解放されるまでの経緯と、それによってもたらされた結末に鳥肌。エピローグでのやりとりがかなり美味しいだけに、良司と晶の関係はもう少し掘り下げてほしかった気がする。

硝子は言う。
「……終焉を、開始しますか(Over - Killing or Mega Dying)?」
僕は応える。
罪は僕に(Yes)罰はお前が(Jesus)

300P Chapter4 世界の終わり

「れじみる。」
お弁当対決の蜜の可愛さは異常。そして「あの」お弁当をちゃんと全部食べてあげようとする殊子先輩に萌える。ああ美しきかな姉妹愛。速水姉妹ネタというと殊子先輩の意外な弱点が明らかになったり取り乱す蜜が可愛すぎな海のお話もとてもすき。そして夏祭りの里緒の話のラストで胸がキュンとなった。里緒の話は6巻への伏線になってるので5巻&6巻の間のタイミングで読むのがベストです。……ところで、姫島姫と殊子のデートの話は2巻が出る直前の電撃hpに載ったらしいです。なんという鬼畜プレイ……流石電撃の黒い太陽ェ…

──包丁は、逆手に握られていた。
舞鶴蜜。
料理を作るどころか、キッチンに立つのも、これが生まれて初めてである。

105P 第2話 ドキドキ☆お弁当WARS

「レジンキャストミルク6」
里緒と晶の出会い話周辺のやりとりの破壊力やばい!守ってきた「日常」を破壊されたことで「非日常」の仲間達へと目を向ける晶、感情を手に入れた硝子をはじめ、それぞれの「虚軸」達の中で意識変革が起こり、本当の意味で彼らが『仲間』になった巻だけど、同時に突きつけられた真実はどうしようもなく痛くて。しかしそれにしてもネア先生の虚界渦開放のインパクトはマジパネエです!ネア先生可愛いよネア先生!!

「相手は僕の両親と兄貴だ。笑えるくらい個人的な戦いだ。ただの家庭の事情って奴だ」
全員を見渡し、睥睨し、高飛車に、
「でも関係あるか。お前ら全員……いいようにこき使ってやる」

310P epilogue-2nd Wish You Were Here

「レジンキャストミルク7」
殊子先輩の「あの行動」から始まる一連の場面は、既に結果が判って居ても涙が止まらないシリーズ屈指の神展開。そしてエピローグを読んだ後に冒頭文に戻った時の、殊子と晶の電話の場面の真意に気付いた時の衝撃といったら。「どうでもいい」と嘯きながら、誰よりもこの世界が大好きだった殊子先輩の想いを無駄にするまいと最後の決戦に臨む晶と硝子の姿が、最後まで素直になれなかった蜜の素直な気持ちが、とにかく胸に痛い。

「ありがとうございます。……殊子先輩」
初めて彼女に使った、心からの敬語に、親愛と感謝と後悔を込めて。

16P epilogue-1st アンサー

「レジンキャストミルク8」
彼等の胸の中に確実に生きている『あの人』の存在にどこかしこでほろりとしました。最終決戦前の晶側 / 無限回廊側それぞれの言葉の応酬と、これまでの総決算のような出し惜しみなしの総力戦が熱すぎる。そして、里緒と晶の親友関係が本当にやばい。エピローグの、彼女の最後の一言に籠められた様々な思いに胸をえぐられる。綺麗に終ったワケじゃないあたりが逆にこのシリーズらしいなあと思わせる、よい完結編でした。

「……きみの幸せを、祈ってる」
彼女は振り返らない。振り返らずに、
「祈るだけならタダだもんね。……酷い人」

345P epilogue She is not all

「れじみる。Junk」
晶の女装をどうしてちゃんと挿絵で描いてくれなかったし!!!
その後の蜜とネアを描く4話「ありがと、ばいばい。」が大好き。元の少女に戻ってしまった蜜の葛藤と、そんな彼女の背中を押して送り出そうとするネアの想いに胸が熱くなった。そして速水姉妹大暴走な温泉話にもによによが止まらないww 「キラの旅-the coordinated world-」でふきだしたのは私だけではないはず。

穏やかに、佐伯ネアは笑った。
「欠落は、あなたの分まで全部私が持っていてあげるわ。だからここで捨ててしまいなさい。過去を抱え込んでおくのはね、若者じゃなくて、大人の役目よ」
守りたくても、何もできなかったからね。

215P 第4話 ありがと、ばいばい。


ちなみに再読のきっかけは作者・藤原祐先生の下記の発言


読み返してみると、里緒は本当に一貫して性別がはっきりとわかる表現をされていなくて、あれだけ晶と一緒に居るポジションだったにもかかわらず芹菜にヤキモチを焼かれる事もなく……本当に正しい意味で「ヒロイン」ではなく「親友」ポジションだったんだなあ、と実感した次第でした。

「里緒」という名前だと確かに女性名前でも男性名前でも通用するし……で、読んでいくとむしろ実は男性なんじゃないかとか考え始める不思議なんだけど、今流行の「男の娘」じゃなくて、どちらかというと無性別的な印象?良い意味で性別を感じさせない存在だったんだろうなあ。

(こちらの記事は2010年に書いた記事に作品紹介部分などを加筆し、2021年7月に再公開したものです)

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