悪の華道を行きましょう | 今日もだらだら、読書日記。

悪の華道を行きましょう

 

王太子に婚約破棄された末、ハゲデブオヤジと結婚することになってしまったセレスティーヌ。しかし、彼女は式の最中気づいてしまう。ここは似非貴族風の学園乙女ゲームの世界で、自分はヒロインに散々嫌がらせをした挙句、中年宰相の元へ無理やり嫁がされる悪役令嬢であること。そして、目の前のガマガエルそっくりなハゲデブ宰相の醜悪な容姿が……悪くない、むしろ……大好きなことに──! コミカライズで話題沸騰&人気大爆発! 枯れ専悪役令嬢セレスティーヌの麗しき覇道を描いた爽快スッキリラブコメディ、ファン待望の書籍化!!

王太子から婚約破棄され、更には報復として悪い噂が耐えない宰相に嫁ぐこととなったセレスティーヌ。結婚式の最中に前世の記憶を思い出した彼女は自分が乙女ゲームの悪役令嬢であったこと、そして「枯れ専」という自らの性癖を思い出してしまう。そして目の前には、前世の自分にとって「好みにピッタリ」の中年男の姿があって……!?何の因果か性癖が噛み合ってしまった美女と野獣夫婦が義理の息子(イケメン)をはじめとした周囲の人々を巻き込みつつ悪いことしながらイチャイチャするお話。

モブ顔のおっさん×転生悪役令嬢が歩む悪の夫婦道

※この場合の「モブ顔」は男性向けの名無しの竿役とかの方向性をイメージして欲しい
先に始まってたコミカライズのインパクトが良くも悪くも強すぎて小説版が後に出るとインパクト負けしない!?大丈夫!?という気持ちが正直かなりあったのですが、小説版は小説版で宰相閣下の気持ち悪さ5割り増し、セレスティーヌの枯れ専語りの早口さが3割増し、心象描写の追加でふたりのイチャイチャが2倍増しという感じで全体的に描写が濃厚になっていてとても良かった。原作が「小説家になろう」にあるんですけど、単話完結形式で1話ごとに投稿されてて私が使ってるアプリだとちょっと読みづらかったので書籍化嬉しい。コミカライズ版が気になる方は試読版で1話がまるっと読めるのでこちらもチェックしてみてください

タイトル通り「悪の華道」を邁進する二人がイチャイチャしながら自分達に都合の悪いものを斬る!的な、単話完結形式の悪役もの。それぞれの家庭環境が原因で愛を知らずに育った二人が「真実の愛」と出会い、ふたり寄り添って生きていく姿は感動的ですらあるのですが、宰相様はテキストで読むとイラストのミニキャラ的な可愛らしさよりも気持ち悪いほうが目立っていて「かっこよくない」中年の描写がすごいし、一方セレスティーヌは本気でその宰相様が世界で一番かっこいいと思っていて前世がオタクだっただけあり時折オタク特有の早口まで繰り出してくるのでギャップがすごい。そんなこんなで、随所に挟まれる宰相とセレスティーヌのイチャイチャ描写が絶妙に気持ち悪い(※褒めてる)。

その一方で、王国を陰から操るフィクサーと傾国の美女のカップル……ということで全体的に悪事のスケールがデカく、各話で出てくる小悪党達があっさりと蹴散らされていくのが爽快でした。そして排除されなかった者達はセレスティーヌの魔性に惹かれ、彼女達にとって都合良いように転がされていく。虎視眈々と宰相の後釜を狙う義理の息子とか、隣国の絶倫女王に傅きながらも復縁を狙う元婚約者とか、家族もほっぽってセレスティーヌの絵画だけをひたすら描きまくる画家とか、冷静に考えるとヤベえ奴ばっかり残ってる気がしなくもないですがそんな彼らを手のひらの上で転がしてこその「悪の華」なのだろうな。そんな中でそれとなく強かに生きてる庭師のハンズレムの話の顛末が夫婦にとっては最高に意趣返しでニヤリとしてしまった。個人的には作中では赤ん坊だった息子のリュカが成長したらどれだけ厄介なセレスティーヌ強火担になるのか、正直将来が楽しみで仕方がない。1巻で綺麗にまとまっている話ではあるのですが、逆に続けようとすればどこまでも続けられそうなお話なので続巻が出るのを密かに楽しみにしています。

ところで、電子書籍版の特典SS『愛別離苦』が大変良かったです。何物であっても手に入れてきた筈の宰相の、彼が愛してやまない存在との「別れ」のお話。いや、これだけ本編で夫婦の全盛期描いてきて描き下ろしで彼らの別れを描くなんてしんどすぎでは……とおもったらまさかの〇〇のことだったのでもう笑うしかなかった。

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