人類と魔甲蟲の最終決戦がはじまった。カナタと離れて後方の補給部隊に配属されたE601小隊の面々だが来るべき《崩力》の持ち主との戦いに備えて準備を進めていく。どころが、ユーリの調子が少しおかしくて……ミストガンを立つ前、カナタとユーリが抱き合う場面を目撃したミソラは複雑な思いを抱えながら小隊長としてユーリと対峙することに。一方、最前線で特務部隊と共に人類の切り札として行動するカナタは特務部隊の面々から不評を買っており……。
仲間たちがそれぞれの場所で奮闘する、最終決戦の前哨戦!
いよいよはじまった最終決戦。それぞれの場所で行われる戦いがアツく、合間合間に挿入される別離の気配がとにかくしんどかった……んですが、いやコレ本当にカナタの事情、ミソラ達にも話してやってくださいよぉ〜!!ことある毎に未来の別離を匂わせてくるのがやるせない。2ヶ月もあったわけだし今のミソラ達ならそれを受け止めた上で立ち上がるだけの心の強さを得ていたと思うんだけどな。最終決戦に連れて行きたくないならそこで心を折ってしまっても良かったと思うんですが、やっぱなんだかんだでその辺はカナタの未練なんだろうなあ。カナタの事情をひとりで抱えてるユーリがしんどすぎるし、何も知らずに「この戦いが終わったら」の話をするミソラ達の姿に更にしんどくなってしまった。空戦舞踏祭が終わるまでずっと空戦魔導士候補生達に焦点が当たってきていてこの世界の大人はどうなっているんだ?というのが若干の疑問だったのですが、今回はそんな大人達の活躍が印象的でした。特にカナタと一緒に行動することになった特務隊の面々、そしてカナタの一番近くで絡んでくる《コウライ》の生き残り・マオがとてもいいキャラしてた。(コウライは候補生のフリをした教皇直属の舞台だったと思うので、多分大人の空士だよね……?)
ゼオに仲間を全員殺されてただひとり生き残ったマオが最初は非協力的なカナタの姿に憤り、カナタの抱える事情の一端を垣間見てからは少しずつ親身になってくれて……最後には人類の世界を護るため、カナタをゲートに到達させるために自分の身を犠牲にしてでも道を作ってくれる。ずっと「教官」として教え導く立場であったカナタが大人の空士たちに導かれて最終決戦後に辿り着く姿がアツかった。本当に出番は少なかったんですが、とても印象的なキャラクターでした。
そして艱難辛苦を乗り越えてたどり着いた、この世界に「魔甲蟲」を生み出し続ける原初の存在《ゲート》。カナタとアンネローゼの持つ《絶力》でしか対抗出来ないはずのそれに対してカナタが打ち出した奇策は通用するのか。いよいよ物語も次巻完結でどうなってしまうのか……本当に楽しみです!!(少しでも、少しでも救いがありますように!!)