クラスメイトとともに修学旅行中のバスごと異世界に転移させられてしまった上、クラスメイトに騙されて悪魔の元にひとり置いていかれてしまったシズマ。召喚特典を聞かれてとっさに「ネトゲの自キャラにして」と願ってしまうが、それは20キャラ以上のサブキャラ含めた全てに任意に変身出来るという規格外の能力で……!?
こういうネトゲの小ネタを膨らましていく話大好き
ネトゲの自キャラになれる異能=サブキャラ含め該当が20人以上いる、のところで初っ端からニヤニヤしてしまった。私も全盛期のラグ●ロクオンラインでは女性キャラの本垢・男性キャラ用のサブ垢あわせて(※初期のROはアカウント毎性別固定なので複垢がデフォ状態だった)自キャラを10人以上作ってたもんです。見た目が可愛いので作ったとかこのジョブの性能試したくて作ったとかアイテムの整理・売却用のサブキャラとか……キャラ作った理由も全体的に「わかる」だったのでいちいち笑ってしまった。こういう、同ジャンルのゲームをやってるとわかる小ネタを膨らませてるタイプの作品、めっちゃ好き。
そんなこんなでネトゲのキャラクターたちを切り替えて色んな状況に対応していくお話なんですが、ただネトゲの能力を無制限に使って無双出来るのではなく切り替えたキャラクターのバックボーン設定や考え方に主人公自身が影響される──果ては人格が少しずつ侵食されていく。召喚特典を与えた側は明確に悪意で異能を与えていて、そこを「ネトゲのキャラ」という相手の知らない概念で裏をかいていく展開が小気味よかったのですけど、相手も相手でただでやられはしない……という。
女性のサブキャラに切り替えている時、ほぼ別人格に乗っ取られているような状態で自分のことを他人のように扱っているのもインパクトあったのですが、比較的影響が少ないはずの男性キャラに切り替えている時でも自分の考えのつもりで自然にキャラの思考に侵食されていくような描写があって、薄ら寒い気持ちになる。しかもこのキャラ、メインキャラだから今後も使用頻度高そうなんだよなあ。
切り替え先の1つとして存在している「本来の自分」にネトゲキャラ達の持つ能力を引き継がせて育成していくのが今後の鍵になっていきそうですが、能力を引き継ぐためには該当のキャラに切り替える必要がどうしてもあるので……どうなっていくんだろう。
細かい設定に説得力があるの良かった
作品ジャンルとしてはクラス全員異世界転移系+追放+成り上がり+ざまぁモノ……という感じだと思うんだけど、突拍子のない展開でも理由付けがきちんとされていて納得の行く展開になっているのが好印象でした。他のクラスメイトと召喚特典が被ったら死ぬのに彼らが何を願ったのかわからないという限界状況の中で誰とも被らない願いということで「ネトゲの自キャラにして」がでてくるの、ネトゲの自キャラに人格を引きずられる設定によって「平和な日本で生きてきた普通の高校生」の主人公が自分を騙したクラスメイトを殺害してもおかしくない……という展開に持っていくの、どっちも理由付けが上手いな〜と。
そんなこんなで1巻の時点ではここからクラスメイトたちとは無関係の場所でサブキャラ切り替えチートを適度に使って狐耳ヒロイン(変に恋愛方向に持っていかず置いていかれた者同士の絆として描かれていくのがとても良い)とのんびり冒険者ライフ送る方向性になるのか、それともネトゲキャラ人格に引っ張られてクラスメイト全員にざまぁしに行ってしまうのか予断を許さない雰囲気。どっちに転んでいくのか、続きが楽しみです。
それにしてもクラス全員異世界転移もので初手が修学旅行のバスごと拉致なのそこそこ定番な気がするけど、何度ぶち当たっても「バトル・ロワイヤル」を思い出してしまう。実際これのベースになったの何なんだろうな……バトロワとは無関係に生えてきたのか、バトロワよりも前の作品があるのか……。
