[著]赤月 黎 [絵]甘福 あまね
生物から伸びる繰り糸を視、それを繰る事が出来るという異能を持つ高校生・睦月透真。失踪した母の代わりに“依頼”を引き受け、連続殺人事件の犯人を探していた彼は雨の公園でボロボロの制服を来た少女・カタナと出会う。更にその日家に帰ると、母の実家から使わされたというメイドの少女・冥まで現れて…?
スニーカー大賞奨励賞の作品を改題したものらしいです。「投稿作」って言われると納得なんですが、実に「詰め込みすぎ」な作品。生物から伸びる繰り糸を視、それを繰る事が出来るという異能を持つ高校生・睦月透真。失踪した母の代わりに“依頼”を引き受け、連続殺人事件の犯人を探していた彼は雨の公園でボロボロの制服を来た少女・カタナと出会う。更にその日家に帰ると、母の実家から使わされたというメイドの少女・冥まで現れて…?
「人を繰る“繰糸術”」からはじまって「自らを人形と名乗るメイド少女」「古の異能に改造された、全身狂気の少女」「戦闘中に性格が凶暴になる主人公」「蟲使い」だのときて、極め付けに「“何をされても声さえ上げない。当たり前だ。だって心が死んでいるんだから。”」というセリフに悩殺され…と、設定や世界観が片っ端からツボヒットでした。新人さんの作品は基本的にあまりチェックしないのですが、この作品だけはスニーカーの告知をみて以来めちゃくちゃ楽しみにしてたってくらいには。
しかし、ちょっとストーリーが消化不良。冥とカタナで別個のバックグラウンドがあるんだけど、カタナ側が中途半端に謎だけ提示されて、何も消化されていないのが微妙すぎる。つか、「月姫」始めてアルクェイドルートやってたら中盤から突然翡翠ルートの後半に突入してしまったような消化不良さ(わかる人だけわかってください…)。表紙からしても明らかにカタナがメインヒロイン扱いで、ストーリー前半もちゃんと彼女がメインヒロインしてるんだけど、途中からいつのまにかメインヒロインが冥になってしまうので、凄く違和感感じました。
改稿して出版する事が出来たんだったらカタナを完全なサブヒロインの位置付けにして、彼女の追っている敵とか彼女自身の正体には踏み込まない方がスッキリしたと思うのですが。なんか後書きを読むとカタナを推したい編集と冥を推したい作者の間で色々あったようなので、その辺の余波なんでしょうか…後半カタナ空気だし。設定とかがめちゃくちゃ好みだけに、凄くもったいない。
しかし、世界観やキャラクターはめちゃくちゃ好みだったので、次巻以降で落ち着いてくれるのを期待…?ご主人様とそれ以外で性格変わりすぎな冥ちゃんや、王道すぎるツンデレ娘のカタナはどっちもめちゃくちゃ可愛かったので、続編でもうちょっと出張ってくれるのを祈ります。兎に角パーツパーツがいちいちツボすぎるので、次回はもうちょっと美味しく調理していただきたいところ。ラストがあんな終わりかただし、「第一幕」と銘打たれているのできっと2巻は出るでしょう。
あと、個人的にはたった1P先の事だとはいえ、とあるキャラの死を挿絵でネタバレするのはやめてほしかったです…多分死ぬと思ってはいたけど、ああいう風に時間差でイラストバレされると興ざめ。
ところで、ラノベでエロゲっぽい異能バトル系作品の主人公の名前が結構な確立で「とーま」なのは、なんかのお約束でもあるんですか?いや、ナインエスとか禁書とかのことですけど…。
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