衝撃のラストだった前巻、突然発生したクーデターに対して一度は心を打ち砕かれたイヴがグレン達の力を借り、戦局を完全に読み切り、絶望的な戦況をひっくり返して家族と対峙していく姿が熱い。これまでの本編・追想日誌の内容の総決算とも言える内容でめちゃくちゃに楽しかった!しかしそれ以上の事件が起きるぞといわんばかりの終わり方に動揺する。いやいや、久しぶりに本編読んだら本当に本当に面白かったんですけどまだまだ面白くなってしまうのかこのシリーズは……。
イヴ、どん底からの再起──大逆転劇がアツい!
そう前巻めちゃくちゃ衝撃のラストで終わってたんですよね…。魔術祭典が衝撃の展開で中断された裏では天の智慧研究会によって邪神降臨の儀式が執り行われようとしていた──ジャティスのその身を顧みない奸計により天の智慧研究会の最高指導者の顔が遂に明らかに…なったのはいいけど、邪神召喚の儀式は完遂されてしまうし(というかむしろおおむねジャティスガやった)街にはその眷属たる《根》が溢れるし、しかも混乱の隙を付く形でイヴの父・イグナイト卿がクーデターを起こし、グレン達は命からがら身を隠す羽目に…という、四面楚歌すぎる展開からのスタート。イヴの父親の蜂起、というだけでイヴにはしんどい話なのに、更に彼の横にはかつて自分を庇い魔力を失ったはずの姉・リディアの姿が。なぜか自分のことを覚えていない彼女に違和感を覚えつつも二人を目の前にして動揺し、一度は心を折られてしまう。そんな彼女がグレンの叱咤と励ましを受けて立ち直り、長いこと超えることが出来なかった大きな壁、父と姉を超えていく姿に胸を打たれました。また、立ち直ってからのイヴの采配の見事なこと。圧倒的不利に見える戦況を根気よく整理し、戦術により分断して「勝てるかもしれない」と思わせるところまで敵の数を減らしてしまう姿が本当に鮮やか。これはグレンも手放しで褒めるわ。
これまでの総決算のような内容で、面白かった。
イヴとイグナイトの家庭の事情もそうですが、パウエルとアルベルトの因縁などこれまでの本編・追想日誌の内容の総決算、様々な因縁が集約するような展開が最高に面白かった!追想日誌の方は長いこと積んでしまっていたんだけど、この話の前に4〜6をまとめて読めたのは逆に良かった気がする。イヴとアルベルトの過去もそうですが序盤のジャティスの自分の身すら顧みない行動も5巻の過去話を踏まえて読むと説得力が増すなというか…(いやでもアイツ絶対になんだかんだいいながら戻ってくるでしょ…)また、今回はあくまでイヴとグレンがメインではあったけれど、そんな中で様々な修羅場を乗り越えて大きく成長した生徒達の姿も印象的でした。システィーナにルミアやリィエルといったメインヒロインとも言える少女達の成長はもちろんなんだけど、それ以外の生徒達の成長もしっかりと描かれるのがいかにもこのシリーズらしい。ヒロイン達は色々な意味で今回はお鉢を奪われた形でしたが…イヴとグレンの急接近で動揺する三人娘の姿がなんとも微笑ましかった。
しかし、多大な犠牲を払いながらもなんとか一段落〜と思った矢先に最後の最後で前巻ラスト以上の爆弾をぶちこんでくるのはどういうことなんでしょうねえ!!表紙からしても、次は今回言及のなかったセリカの話か。今回の話がこれだけ面白かったのに、更に盛り上がりそうなラストに興奮が止まらない。次巻が楽しみです!