[著]川上 稔 [絵]さとやす(TENKEY) 三河消滅の責任を問われ、聖連により"自害"を迫られるホライゾン。自害の刻限が迫る中、総長としての権限を剥奪されたトーリとその仲間達は必死にホライゾンを救う方法を模索しはじめる。トーリは彼女を救い、無事に彼女に告白する事が出来るのか!? |
うわあああああトーリかこいいよトーリ!!なんだこの燃えるバカ!!正直1上読んだ状態で「主人公が佐山ほど燃えないんだよなー」とか思っててすいませんごめんなさい。いや、佐山も好きだけどトーリが凄い勢いでバカ好きの私のハートをずぎゅんとぶち抜いていったよ萌え!!!
というわけであとがきでも語られるとおり、1巻からもう既に最終回もびっくりな盛り上がりっぷり。1巻上での怒涛の世界観設定やキャラクターの多さに半分うんざりしかけていたものですが、下巻になっていざメインキャラたちが動き始めるとあれだけ辛い辛いと言っていたキャラクター達が凄い勢いで私の脳に活躍を刻み付けてくる。後半では固有名詞が出ても殆ど最初のキャラクター紹介を見なくなっていたという辺りに、川上作品の恐ろしさを感じます。1上は正直苦痛でしたが…もうなんていうかあれだよな、川上作品好きって割とマゾいよな!色々な意味で!!
とにかく2桁にも上る大漁のキャラクター達それぞれに魅せ場があり、それをいちいち語っていくとキリがないのですが、個人的にはやはり葵姉弟とヨシナヲ王の下りが好きです。ヨシナヲ王は1上ではただのかませ犬的嫌な奴というイメージしかなかったので、1下の展開はびっくりだった。アデーレとのやりとりにはホロリと涙が。
喜美と二代のバトル、そして葵姉弟の過去の一幕も最高。傲岸不遜のわがまま姉ちゃんかと思わせておいて実はめちゃくちゃ弟想いな喜美姐さんに一生着いて行きます私。というかこのラノ2008投票既刊にこの本が出ていたら間違いなく女性キャラ部門2位で姉ちゃんに投票したね!?……というか鈴の作文から始まってヨシナヲ王にセージュンに喜美姉さんに……とにかく何箇所で泣かせれば気がすむのよこの本。
そして何はともあれバカ主人公トーリですよ。いつでもどんなときでも前向きに、そして一途に一生懸命なバカっぷりに感動した!!佐山のように頭脳を駆使して敵に立ち向かうですらなく、全力で味方を信じるという事だけで、後は一種のカリスマで周囲を動かして行くという"戦い方"も新しい。そして何よりも壮絶だったのが、彼が能力を得る為に交わした『契約』の内容。それが明かされた時には思わず鳥肌が立った…あまりにもその設定はシビアだと思うの…。
テンポの良いキャラクター達の会話の応酬、予想も付かないバトルの展開、そして魅力的なキャラクター達が繰り広げる、それぞれの闘い。交渉場面ではちょっと置いていかれそうになったりもしたけど、700ページを余裕で越えるページ数を使って怒涛のように繰り広げられる展開に圧倒されました。壁のように厚い1巻の世界設定説明を乗り越えてでも読む価値はあるシリーズではないかと。今のうちなら2冊しか出てないからまだハードルは低いですよ!!超オススメ!!
…しかし、申し訳ないけど、AHEAD1巻にも言える事だけど"1巻上"のハードルの高さはなんとかならないものか。陸上競技のハードルのレース中、最初にいきなり高跳びのバーが出てきたってくらいの壁を感じる……
余談ですが、1上だけで設定・キャラが理解できなかったという貴方は是非とも下を読む前と読み終わった後に公式で公開されている紹介ムービーを見てみると良いとおもいます。1上読了後は名前やグラフィックを見ても半分も判別できなかったキャラが、あっさり全キャラ判るようになったことにちょっと感動した!すごい勢いでGENESIS世界に洗脳された自分を自覚してなんか感動した!!