EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉 | 今日もだらだら、読書日記。

EDGEシリーズ 神々のいない星で 僕と先輩の惑星クラフト〈上〉

 

『境界線上のホライゾン』の川上稔が贈る待望の新シリーズが登場!
気づくと現場は1990年代。立川にある広大な学園都市の中で、僕こと住良木・出見は、ゲーム部で8bit&16bit系のゲームをしたり、巨乳の先輩がお隣に引っ越してきたりと学生生活をエンジョイしていたのだけれど……。ひょんなことから“人間代表”として、とある惑星の天地創造を任されることに!? 『境界線上のホライゾン』の作中で言及される“神代の時代”――人類が宇宙に進出し神へと至ったとされる時代に人々は何を行なっていたのか? AHEADとGENESISを繋ぐ《EDGE》シリーズ! 「カクヨム」で好評連載中の新感覚チャットノベルが書籍化!

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巨乳の先輩とイチャコラしながらゲーム感覚で惑星のテラフォーミングをしたり、神話的世界の神々と相対したりする(多分)お話。良くも悪くも「川上稔の新シリーズ第一巻(上)だー!!」という感想だったんだけど、アイコンチャット形式の文章(ページデザイン?)が思った以上に作品の持つ会話文の応酬多めのテンポにハマっていて良かった。

テラフォーミング×世界神話大戦な新シリーズ

「終わクロ」以後「境ホラ」以前の時系列、“神々”の時代。宇宙に進出した人類はそのまま居住可能な惑星をみつけることができず、各国の神話的存在の力を再現することで惑星環境を整えることになった。主人公の住良木・出見は“人類代表”として日本神話由来の“神”であるパートナー・通称「先輩」(巨乳美女)と共に1990年を模したバーチャル立川で学園生活を送りながらテラフォーミングを行うことになるのだが……。

人類が居住可能な惑星を作るためにはどのような条件が必要か、というのを探りながらそこに既存の神々が持つ由来・権能に擬えて惑星を調整していく。パートナーである先輩は未だ強い力を持つ神ではなく、テラフォーミングをするためには他の神の力を借りる必要があるが、その惑星を彼女らが望む日本神話ベースの世界とするためには他国の神の力を借りすぎないことも重要になってきて──というゲームチックなテラフォーミングのシステムが物凄く面白そう。神話になぞらえて惑星を整備していく展開とか、彼らが仮初めの生活を送る地が基本的に「1990年の立川」という原則に縛られているところなど、その後の「境界線上のホライゾン」で行われる歴史再現のプロトタイプのような要素も感じられて、他シリーズを知っているとそっちの意味でもワクワク出来ました。ただのバカと思わせておいて、要所要所で的確な理解をする主人公のキャラも良いね。

しかもそこに、現在のところ唯一人類である住良木の持つ「信仰」の力を狙う他勢力の神的存在の思惑・妨害があったりするので、一筋縄では進まない。まだまだ今回は敵の顔見せという感じだったのですが、力を持つ古い神々と後発であるが故に先鋭化した神々の戦いの中にジョーカー的な感じで独自の展開を持つ日本神話がどう絡んでいくかというのも楽しみ。

良くも悪くも1巻はキャラの掴みを見せつつ物語の持つ複雑な世界観・行動目的を説明していく、本格的に盛り上がるのは次からだよという掴みの巻。テラフォーミング要素が物凄く面白そうだったので勿体ぶらずにもっと見せてほしい!というのがかなりあったのですが「終わクロ」も「境ホラ」も1上でまとめて難しい話しておいて1下がめちゃくちゃ面白い──というパターンだったんで楽しみにしてます。

主人公と「先輩」のイチャイチャが楽しい

全世界の神的存在がしのぎを削る中で何度も死亡してしまっている脆弱な人類代表の主人公。死ぬことはないが、その日のはじまるまで状況がロールバックしてしまうし、度重なる再生によって過去の記憶は曖昧になりつつあり──それでも、何度死んでも性別が変わっても、パートナーである先輩への信頼(信仰)だけは揺らがない。ちょっと重いバックグラウンドを持ちながら、ともすれば重くなりそうな物語を持ち前の明るさと巨乳信仰で吹き飛ばしていく主人公の姿が印象的。ていうかめっちゃカジュアルに性別変わるんですけど!?

一方で物語では語られないところで何度も主人公の死に戻りを経験している先輩、自らの出自が原因で自分に自信の持てない彼女が幾度となく彼と出会い直し、その度に揺るがぬ信頼を得て……人知れずすっかり好感度上がりきっちゃってるところににまにましました。1巻から既にカンスト気味の好感度も面白かったけど、ロールバックを繰り返しているせいで段々主人公の預かり知らぬところで雑になっていく出会いシーンに笑ってしまう。

あとこれは完全に個人の感想なのですが、舞台の半分が1990年代の立川ということで、東京郊外民としてはなつかしさしかなかったです。「立川オスロー」に「八王子そごう」…まさかこんなところで君たちの名前を見ることになるとは…何もかもがなつかしい…。

「アイコントーク」新しくも懐かしい物語のかたち

さてこのシリーズはかつてのアイコンチャットよろしく、会話文の前にキャラクターのアイコンが表示される「アイコントーク」という形式(※作者さんTwitterから引用)が採用されています。正直初めに見たときは「自転車に補助輪つけるようなものでは…そんなに優しくしてくれなくても!!」とか思っていたんですけどこれが思った以上にすごく良い…。

名前が大きな意味を持ち、対話相手や状況に応じて多彩に変化していく川上作品世界に於いて「アイコン」という文字情報に頼らない普遍的な情報が付与されるの、凄く合ってると思うんですよね。「名前」という情報に縛られず、この作品が本来持っているキャラクターたちの軽妙な掛け合いをストレスなしに楽しめるの良かった。そのぶん、地文での言及は最低限に絞られている印象で、公式でも「新感覚チャットノベル」と評されているけど個人的には「紙で読むノベルゲーム」に近い感覚でした。立ち絵があるやつ。

ところで電子書籍だとアイコンがカラーで表示されるのとアイコンが挿絵扱いで挟まれるせいで会話と会話の間がしっかり開いて凄く読みやすいので今後も電子書籍で買おうとおもいました。膨大なキャラクター人数と歴史再現やらなんやらで人物を示す情報が大量にありすぎる「境界線上のホライゾン」のアイコントーク版も欲しい。検討してほしい……(ネクストボックスは購入済みなので近いうちに読みます)

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