眠いと評判だった古典の時間に、実はクラス全員で異世界に飛ばされて意識のないまま「マリオラ」と呼ばれて魔物を退治していた。そんな中で異世界の人達の思惑により意識を覚醒させられた学生達の恋と青春のお話。
面白かった!…けど、主人公とヒロインのくっつき方が物凄いテンプレ的というか、お約束を踏襲しすぎて説明不足で不自然になっている感じが……他の部分は文句なしに面白かっただけに、主人公近辺だけなんとかなってくれればなあとじれったい思いを持ってしまいました。単純バカでヒロインを一途に思い続ける姿は好ましいんですけど、お互いがそのように思いあうようになるまでの経緯が省略されていて、ちょっと説得力が足りないというか……
前半は特殊な世界観設定とテンポ速いペースで強引に読まされてる感じが否めなかったんだけど、岡野と亘理の友情関係や白根夕と秋睡蓮の恋愛関係がメインに押し出されてきてからぐっと面白くなりました。びっくりするほど自分の将来に対して前向きな亘理に対して些細な嫉妬心を抱く岡野の気持ちがびっくりするほどリアルで、「そういうの、あるある」とおもわされてしまう。兵器としての生を受けた秋睡蓮が白根夕との素朴な親交を通して感情を得るに至り、その感情を得たが故に葛藤する姿が胸に痛い。敵として現れた秋睡蓮の姿に取り乱す白根の姿も可愛かったです。つか、少女小説だったら岡野を脇役にして白根夕を主人公にした物語にしたほうがスッキリしたんじゃないかなあ、と思ってしまったり……。
異世界側にも色々と思惑があるっぽかったし、どうせならもう1?2冊でじっくりその辺を語って欲しかった気がするなあ。特に「マリオラ」の設定は面白かったのでもうちょっと深く掘り下げて欲しかったです。面白かったけど色々残念。
▼ 最近の記事
ラッキーメイド天くん
父親の作った巨額の借金のカタとして売られてしまった男の子が、幼馴染の女の子の家で女装メイドとして働く事になる…というラブコメ。
「また昨今の女装子ブームに便乗した男の娘モノか」とあまり期待せずに手に取ったのですが、これが予想外に良かった!ちょっと「女装メイド」になるまでの展開を強引に感じたのですが、女装少年モノとしてはお約束のイベントはしっかりとこなしつつも、意外に天がきちんと「男の子」として描かれているのがポイント高かったです。予想外に可愛い自分の姿見てキュンとなったりしてる一方で、無防備なヒロインの姿に理性と男としての本能が葛藤してる姿が妙にコミカル。
また、中盤から天をめぐって繰り広げられたお嬢様二人の経済戦争がなかなか面白かった。株の話はとんとわからないので普通に知らない世界の話を知る事そのものが興味深くもあったのですが、状況に流されそうになりながらも、千早を護ろうと一生懸命になってる天くんの姿がちゃんと男の子らしい主人公してて、とても可愛い。というか、色仕掛けのシーンが素晴らしすぎると思いました。胸の中で悪態付きながら千早の為に色気を振りまく天くんかわいいよ天くん。賑やかせ&お色気要員かと思われたメイドさん2人組の意外な活躍も面白かったです。
しかし、「ふたかた」読んだ時も思ったけど伏字だらけのド直球エロワードの数々はなんとかならないのでしょうか。今回は特に、内容的に結構直球でエロい展開が出てくるので、いっそ美少女文庫で読みたいと思ってしまう部分もしばしばで、エロ部分をカットしたエロゲーをやっているような気分に…。もういっそ美少女系のレーベルから出してガッツリエロも入れれば良かったと思うんです。女装子受なら、ギリギリ美少女文庫でもOKなはずだ…!!むしろHJなら性的イタズラくらいまでならOKなんじゃないですか、と呟いてみる。
ていうか、あんまり伏字多すぎると、もうエロいを通り越して雰囲気ぶち壊しなんだよー……
「●ックス」を「えっち」と言い換えるだけでも相当受けるイメージが緩和されると思うのですが。
ラノベとしてのわかつき作品に一番足りないのは、地文と女の子の「恥じらい」だと思う。
ざ・ちぇんじ! 新釈とりかえばや物語 後編
男勝りの姫様と女の子らしい若君という双子の姉弟が繰り広げる新釈「とりかえばや」物語、完結編。
姉君の「結婚」に弟姫の「後宮入り」といよいよのっぴきならないところでギリギリの攻防に加えて帝やら三の姫やら女東宮やら宰相中将…と二人を巡る様々な人々が交錯し、そんな中で最初に「元服したい」と言ってしまった責任感で一人で矢面に立とうとする姉君の姿にハラハラしていましたが、最終的には絡まった糸を解して綺麗に収まってくれたことにホっとしました。前巻の自由奔放ぶりを知っていると、序盤の姉君の落ち込みぶりは見てて目に余るものがありますが、その後の行動の堂に入りっぷりは思わずニヤリとしてしまうものが。
そして何よりも後編の見所は立派に成長した弟姫の雄姿。後宮に上がったことを切っ掛けに、前巻のヒスっぷりからは見違えるように立派になって……女東宮に秘密を打ち明けた時のやりとりには思わず笑ってしまいましたが、なんだかんだいって根は女の子な女東宮や姉姫を上手い事あしらっていく姿には男の子の底力を見た気分でした。
正直、事情も知らずに振り回されてしまった三の姫や帝が可哀想に思えなくも無いのですが(宰相中将は自業自得なのでスルー)、なんだかんだいって誰もが幸せになる終わり方だったのが嬉しかったです。
個人的には、帝にはいつか本当のことを打ち明けてあげてほしいなあ。
本日の騎士ミロク3
「けどさ、隊長だって無罪とは限らないよね?」アーニィの意見に、ジュジュが答える。「…殺人はともかく、爆破って言ってたよな。ビスマルクなら、やりかねないんだよなー」「納涼騎士団祭り」も三日目、最終日。閉会式までヒマなはずだった俺ら赤目隊は、ビスマルク隊長が器物損壊&殺人未遂容疑で逃亡中と聞かされ全員驚愕。隊長が「聖書」を爆破した!?たしかに隊長は魔導球を常備している。だけどこの事件、何かウラがあるって!必死で隊長を捜す俺たちだけど、祭りのあちこちに暗殺者が―。剣バカの俺、ミロクには推理なんて無理。だけど、やるべきことはわかってる。ジュジュ姫を守り、隊長を見つけ出すんだ。 (「BOOK」データベースより)
あとがきやべええええええええええ!!!!!
もう本編にも色々言いたいことがあったんだけど、全部あの「あとがき」で吹っ飛んだ感が!!まさかのビスマルク+トーラット×ミロク……だと……!?本編とはうってかわってしおらしいミロクと、イケメン補正250%なトーラットと渋いビスマルク(※八頭身ウサギ)に超もえた。これは二次創作で見掛けたら全力で萎えるタイプですが原作者がやるとうっかり萌えるタイプのパラレルというか……なんか、普段から作風にそういう色の狙いが無い作品でやるからこその萌えだなあ。というかこの短編を書くために一生懸命資料を漁って悶絶しながら執筆してる田口先生を想像するとものすごい萌える。
第三巻はジルサニアのお祭りを満喫中の赤目隊が罠に嵌められたビスマルクのせいでジルサニアの騎士団「黒鎖隊」に追われ、更にジュジュを狙うオウガンの放った刺客達にも追われて……というお話。
思わぬ形で引き離され、孤軍奮闘を迫られる赤目隊の面々の意外な弱点が見れたのが興味深かったです。誰かを「護る」状況では実力を発揮できないアーニィとか、ゴーレムを使えないトーラットの闘いとか、フェリサの意外な強さの秘密とか。特に同じ前衛でも「誰かが居ると強さが半減する」アーニィと「誰かが居る事で強くなる」ミロクの戦い方の違いは特に面白いものがありました。1巻では彼らの法外な強さがアピールされた感じだったし、2巻では頂点対決みたいな勢いだったので赤目隊の強さばかりが印象に残っていた部分がありましたが、3巻では刺客とはいえそれよりも「格下」の相手にてこずる赤目隊の姿が印象的でした。戦闘には直接参加しないジュジュや赤目隊には属さないミロクの妹・コーニィにも、彼女達にしかできないそれぞれの“闘い”がありました。
しかし、ジュジュを傷つけられてキレるミロクかっこいいよミロク。武器:ニンジンのくせにバカかっこいいよ。本編のミロクがかっこいい分あとがきとのギャップが光るよ(だいなし)
トーラットやフェリサ、ビスマルクの過去も少し明かされて、赤目隊の特殊性が浮き彫りになった巻でした。ビスマルクの負傷は今後への伏線っぽいしなあ…なにはともあれ、続きが楽しみです。
ざ・ちぇんじ! 新釈とりかえばや物語 前編
古本屋で偶然置いてあるのをみつけて、懐かしさの余り思わず買ってきてしまいました!「とりかえばや物語」を下敷きにした、双子のような容姿の姉弟とその周囲の人々が巻き起こすコメディ。
綺羅姫の「元服」からトントン拍子に綺羅君の「裳着」に、そして……と、当事者達の思惑をよそにどんどん物語が取り返しのつかない方向に転がっていってしまい、それに当事者たちが翻弄される姿に思わずニヤニヤしてしまう。大体元凶の一言を放つのは姉の綺羅姫の方なんだけど、話が大きくなってから「あれっ、なんでこんなことに……」と我に返って綺羅がなんだか可愛い。特に主上とのやりとりは、はたから見ると完全に両想い状態なのに綺羅が女であることを隠しているばかりにどんどん話が変な方向に転がっていって、お互いがお互いに自発的にすれ違いまくってどんどん事態が悪化していく姿に微笑ましくなってしまいました。こ、こいつらかわいいなあ!!
前巻では宮中で華々しく活躍する綺羅君(※姉)とその周囲の人々を中心に描かれるので、綺羅姫(※弟)の方は殆ど日が当たらないんだけど、ラストでとんでもない爆弾を投下されて遂に「取換え」騒動の渦中に飛び込んできそうな勢い。以前読んだとはいえ殆ど結末あんまり覚えてないので、後編でどんなオチがつくのかとても楽しみです!
死神姫の再婚 孤高なる悪食大公
カシュヴァーンかわいいよカシュヴァーン!!!(ゴロゴロゴロ)
というわけで、巻を追う毎に作品の糖度が上がっていくという噂の「死神姫」シリーズ最新刊。徐々にイチャイチャ行為がレベルアップしてる雰囲気があるライセン夫妻のやりとりに、今回もゴロゴロゴロゴロと転がされました。「おなか痛い」という名言も含め、本当に素晴らしい床掃除小説。本線では不気味な動きを見せる<翼の祈り>教団に対してカシュヴァーン達が動き始めたり……とかなり大きな動きはあったんですけどそれがどうでもよくなるくらいの各カップルのイチャつきっぷりにニヤニヤが止まりません!!!
特に段々大胆に、自分の欲望に素直になっていくカシュヴァーン、どんだけかわいいんだ。だんだんこの人、行動がお子様化してる気がするんですが気のせいですか!!!段々大人の分別もなくなってヤキモチ焼きまくる旦那様可愛すぎる。特に膝枕云々のやりとりがたまらない。お互いに気付かれないようにプレゼントをしようと画策したり、なんかもうこの夫婦はどこまで私をキュンキュンさせるつもりなんだ…!!特に今回はイチャイチャパート以外でのカシュヴァーンがかっこよかったから、アリシアと二人きりの時のギャップの激しさに萌えたのかも。特にラストのカシュヴァーンがガーゼット侯爵に対して見せた行動には、思わずドキドキしてしまいました。
その他にも、すっかりティルナードへの好意を隠そうとしないノーラとか、ジェダとルアークのぎこちない「兄弟」具合とか、もう本当に、各コンビ・カップルのやりとりが微笑ましくて可愛くて仕方ありません。もうこの人達見守ってるだけでおなか一杯だよ……なんでこの人達こんなに可愛いんだ……
ゼオルディスや教団がいよいよ不穏な動きを見せ始めたり、ディネロの様子がおかしかったり…といよいよ物語本線も盛り上がってきた感じがしますが、これからもどんどんレベルアップしていく「おなか痛い」夫婦のやりとり盛りだくさんでお願いします…!!ああもう本当に、続きを読むのが楽しみ。
そういえば、池袋のアニメイトで行われたサイン会に行ってきたのですが、サイン会のオマケ(?)で配布されていた書き下ろしペーパーの内容もやばかったです。カシュヴァーンのヘタレっぷりにキュンキュンせざるをえない。
ラ・のべつまくなし ブンガクくんと腐思議の国
子供時代のトラウマから「二次元絵を3秒以上見つめると気絶してしまう」という筋金入りの二次元アレルギーで文豪を夢見るラノベ作家と腐女子の女の子の繰り広げるラブコメディ。あらすじからオタク系「あるある」ネタ満載+コメディ率高めのドタバタものを想像していたのですが、予想に反して直球なラブコメでびっくりしました!未だ恋を知らない小説家と恋に臆病になってしまった女の子の、甘酸っぱくて初々しい恋のお話。
二次元アレルギーのせいでラノベ作家なのに「オタク」の世界のことを殆ど知らない矢文が生粋の腐女子の明日葉に一目ぼれし、彼女と付き合う為に一生懸命(周囲の協力者たちに振り回されながら)腐女子知識を身につけて……というひたむきな姿が一途でなんだか可愛らしい。でも、腐女子ネタの使い方が割とすっきりしてて、あざとくない。もちろん腐女子として共感できる部分も多いし、特に矢文と圭介のやりとりに妄想力を掻きたてられて一人でゴロゴロしている所なんかはもう気持ちがわかっちゃうだけにこっちまでニヤニヤしちゃうんだけど、ちゃんと明日葉が「等身大の女の子」として描かれてるのが好印象でした。こう、結構ラノベに出て来る腐女子って普通の女の子キャラとはちょっと世界が違っちゃってるというか、痛々しいところ強調されてる部分があるように思える部分が多かったのですが、明日葉はちゃんと「どこにでもいる腐女子の女の子」と感じる部分が多かったです。
それにしても、矢文と明日葉がすれ違ってしまい、彼女をとりもどすために矢文達がとある大胆な作戦に打って出るクライマックスの展開も素敵なんだけど、何よりも終盤の矢文&明日葉、圭介&ゆずのラブラブっぷりが凄い!!特に明日葉の誤解を解くために圭介がとった行動と、その行動に対するその後の圭介&ゆずの意外すぎるやりとりがたまりませんでした!こ、これだけ手練れなカップルっぽい雰囲気を漂わせておいてその初々しさは反則だろ……!!!
一部置き去り気味にされてる伏線とかあって消化不良な部分もありましたが(渚との関係はちゃんと決着つけて欲しかった気がする)、その辺は続編で消化する感じなのでしょうか。1巻で綺麗に終わってる感じもしますが、もうちょっと彼らの物語が読んでみたい気も……個人的には、続きもあるといいなあ。というか圭介&ゆずに的を絞ったスピンオフとか読みたいなあ、と思ってみたり。
キノの旅XIII The beautiful world
この世界には、よくあること。醜くて美しい。―――哀しくて、大切。
「何だ?」キノが『フルート』を構えてスコープを覗いて、今いる丘の上から地平線を見下ろします。しばらくして、ようやくそれが何か分かりました。大量の土煙を生み出していたのは、大地を埋め尽くすような大型動物の大群でした。大きく太い体と頑丈そうな四肢を持つ、鈍い灰色をした草食動物です。「この辺に住むサイの一種、だね。水が欲しくて集団で移動中なんだよ」エルメスが言いました。灰色のサイの群は、何千頭、または何万頭いるのか分かりませんが、濁流のような密集度と勢いで大地を進んできます。その進む先には――「あ……」『フルート』を向けたキノが、声を漏らしました。 (「この世界の話・b」)他全11話収録。
表紙のキノの雰囲気がなんかエロい件
キノさんは元々中世的な魅力を持つキャラだと思うのですがなにこのけしからん胸の表現可愛いすぎる!!終わりのない旅を経て、少しずつ女性的に成長してきたとでもいうのでしょうか萌え!!
…というわけでもはや年1冊ペースが定番となってきた「キノの旅」。良くも悪くもいつも通りですがもうそのいつも通りっぷりが心地よいです。というか、色々な意味で「マンネリ」とも言われかねないシリーズなので、年1回刊行くらいで細々と続いてほしい。
一番興味深かったのはやはり「違法な国」か。リアル図書館戦争世界と言うか、違法行為を物語に書くことそのものが禁止されてしまった作家の多い国のお話。珍問答のようなやりとりと、投げ捨てられる『違法』図書と、その本を自分の国に持ち帰ろうとする商人達の姿がとてもシュールでした。児童ポルノ関係の法案を意識して書かれたんじゃないかなあというような内容で、色々と複雑な心境になったり。
もうひとつシュールと言えば「いろいろな国」収録の「輝いている国」はもうもろにあの国……
すべての芸術の起源は俺なんだぜ!!!
PS2版の特典冊子からの収録となる「いろいろな国」はいい具合に「学園キノ」的なはっちゃけ要素が本編に加わっていて、個人的にはこれが一番楽しめたかも。読書メーターを見ると本来初回特典であった文章の再録は賛否両論あるみたいですが、ゲームを買ってない人は読むまでに数年のブランクを必要とするわけだからこれはこれでいいんじゃないかなあ。
むしろアニメDVD収録の短編とか、何年か待たせてもいいからちゃんと書籍にまとめてほしいと思う…正直、初回特典とかで本当に一部の人間の目にだけ触れさせて多くの原作ファンの目に触れないまま腐らせるのはもったいない。
さよならピアノソナタ encore pieces
ナオ達のその後を描く5編を収録した短編集。全4巻で綺麗に完結した印象があったので、蛇足になるんじゃないかなあという心配があったりしたのですが、そんな心配は不要といわんばかりの素晴らしい短編集でした!ナオと真冬だけでなく、他のキャラクターたちにも焦点が当たっていて、それぞれの気持ちが伝わってくるのが素敵。
好きだったのはナオと真冬が抜けたあとのフェケテリコを、千晶に憧れてサポメンになったベーシスト・橘花の視点から描く「翼に名前がないなら」。千晶と神楽坂先輩が「フェケテリコ」にかける想いも熱いのですが、二人に認めてもらおうと奮闘し、正式メンバーになれないことでもがき苦んでいく橘花の姿がとても印象的でした。
離れ離れになったナオと真冬の間で揺れ動くユーリの姿を描いた「ステレオフォニックの恋」も好き。素直になれない二人を結びつけようとするうちに自分自身の気持ちがわからなくなって、自らの演奏を見失ってしまうユーリの姿は見ていてこちらまで胸が苦しくなるようなものがあるんだけど、彼らしい結論にたどり着き、演奏を取り戻す姿には胸が熱くなりました。
それにしても
今、ユーリがかわりに直巳を泣かせる。
そう思うと、手の中でストラトが火照るように感じられる。
がエロいです。半分くらいガチでユーリ×ナオだったとは思わなかtt(強制終了)
でも実際「一人一人じゃなく、一緒に居る二人が好き」っていう感情は確かにあるよね。単体じゃないんだ、二人そろってないとダメなんだ!!…二次元のカップリングで想像しててすいません。
しかし、一番ツボに入ったのはナオと真冬の……の話を聞いた哲郎を描いた「だれも寝てはならぬ」かもしれない。息子の結婚の話を聞かされた哲郎がなんだかんだいって物凄く取り乱している姿が可愛くて仕方が無い。
哲郎かわいいよ哲郎。
迷宮街クロニクル3 夜明け前に闇深く
新年を迎えた迷宮街。迷宮探索事業団の後藤は冒険者たちに、とある商品スケッチを見せていた。第一層から第四層までを貫く縦穴に滑車を据え付け、ゴンドラを通すと言う計画。これがあれば第四層までの道のりを大幅に短縮する事が出来る。真城達上級探索者は喜んで飛びついたが、その実現には一つの条件があり──現代日本に突如として現れた「迷宮」で怪物達と戦う人間たちの姿を描いたシリーズ第3巻。完結編となるはずだった3巻が分冊されて、全4巻シリーズになるようです。
新米パーティ「チーム笠置町」のメンバー達の人間関係と成長を主点に据えていたこれまでの2冊より、「迷宮街を取り巻く人々の群像劇」としての色合いが若干濃くなったように感じられました。というか物語りそのものはこれまで通り真壁の周囲を中心に進むのですが、以前よりも真壁視点の話が減ってきたような。2巻では、迷宮街の外の人間が見た真壁の「冒険者としての」乖離っぷりが描かれていましたが、3巻では迷宮街の冒険者として何故真壁が「凄いのか」が描写されているように感じました。特に書きおろしでの人外っぷりは結構強烈。
それにしても、群像劇とはいえ1巻まではそれなりに「主人公」として描かれてきた気がする真壁が、徐々にその位置から距離を置いて描かれ始めたような気がしてならないのが気になります。真壁を巡る恋愛関係もかなり不穏な流れになってきてるし…なにより3巻の終わり方が、まるで死亡フラグにしか見えないんだが大丈夫なのか……。
その一方で迷宮街そのものを巡る動きも、迷宮探索事業団の後藤誠司を中心にして様々な新しい動きが巻き起こっており……第四階層を結ぶゴンドラというアイデアの実現に向け、少しずつ迷宮街の人々が一体となって動き出していく姿は見てて胸が熱くなるものがあるのですが、一方でこちらにも色々と不穏な影が見え隠れするのが心配です。越谷の死は特にインパクトがありましたが、第三階層の謎やこのタイミングで物語が分冊されていることも含め設置作業は一筋縄ではいかない予感がひしひしと……
完結編が物凄く楽しみです。
出来るだけ犠牲の少ないエンディングになるといいなあ……とおもいつつ、やっぱ最後だし、大惨事になるんだろうなあと思っている私がいる。