“白身魚” の検索結果 | ページ 2 | 今日もだらだら、読書日記。

キーワード:白身魚 (15 件 / 2 ページ)

ツァラトゥストラへの階段2

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

“パルス”に感染して異常な能力を得たもののそれが日常生活に生かせる訳でもなく、むしろ能力の影響で何をやっても失敗ばかり。自らの能力をもてあます福原の元にパーティへの招待状が届いた。情報収集も兼ねて舞には内緒でそのパーティに参加するが、彼を待ち受けていたのは新たな“囚人ゲーム”で…
   個人的お気に入り度数
例によって悪趣味なゲームルールだのドロドロな信頼関係は絶好調で、良い意味で“いつも通り”のクォリティを安心して楽しめる印象になってきた気がする土橋さんの新シリーズ第二段。

今回は「キング」「クィーン」の役割を持つ男女が20組のペアとなり、周囲を探索しながらチェスゲームにも似た陣取りゲームを繰り広げるというお話。福原とペアを組んだ女性・カレンはどうみても腹にイチモツもってそうな感じでしょっぱなからギスギスフィーリング全開だし、前回で福原の手で痛い目に合わされた人物が敵「キング」として登場したり、「クィーン」にもまさかの彼女が参戦したり…と相変わらずの容赦ない展開が素敵です。精神的だけでなく、今回はプレイヤーである福原達にも直接的な暴力的な危険が迫り、また能力の使いすぎによる肉体的に痛々しい展開も目白押し。

今回のラストで必ずしも主人公側が勝利するわけではないというのが立証された訳だし、ますます続きがどうなるのかわからない展開に。続きが非常に楽しみです。あと今後のあとがきの動向も非常に楽しみです。なにこのカオスな後書き!

ただ“囚人ゲーム”を中心としたストーリー展開は非常に面白くて、物語の中に引き込む力も強いんだけど、前シリーズと比べるとどうも丸くなってしまったというか、キャラクターが薄いのはライトノベルとしては結構痛い気がするのですが。由紀・舞・飛鳥の3人がヒロイン格ということになるんだろうけど、3人が3人で存在感を食い合ってどれもインパクトに欠ける。

やはり「扉の外」好きとしては正樹愛美級の強烈なキャラが出てこないのがちょっぴり物足りなかったりするわけです。どれか一人適当に淘汰しても構わないので3巻以降でもっと強烈なキャラ付けを!マジお願いします!

あと、これ言っちゃおしまいかもしれないけどやっぱ異能バトル設定いらないとおも(ゲフンゲフンゲフン)なんか全体的に、行き詰ったらトンデモ能力が開花してなんだか僕らがよくわからないうちに片付けちゃいました!!みたいな展開が多くて、ちょっとその辺が不満だったり。


ツァラトゥストラへの階段

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

学校でふと意識を失い、目を覚ました福原を待ち受けていたのは暗い部屋の中で自分と同じように手錠と鎖で繋がれた男女。そして部屋の真ん中から吊り下げられている一人の人間。彼らに与えられたのはトランクの中に入った大金と1丁の拳銃…。部屋に残った人間のうち1人が最後に首を吊られてしまうという“ゲーム”に巻き込まれた11人はそれぞれの思惑の元、脱出の為動き出すが…
   個人的お気に入り度数
「扉の外」で色々と物議をかもし出した土橋さんの新作。「扉の外」のような人間を使った悪趣味な頭脳ゲームに、ライトノベルらしい異能バトル要素を加えたような内容で、前作を楽しめた人は結構楽しめるんではないかという内容になってます。まあ個人的には異能バトル要素いらなくね?とかむしろ「扉の外」の続編希望とか人知れず思ったわけですがその辺はきっと作者さんにも諮りきれない大人の事情があるのでしょう。他の作品でも同じような印象を受けた事があるんだけど…尖がったマニア向け作家を無理に一般受けさせようとして作者の持ち味そのものが薄味になってしまったような印象というか、そういうのが拭えない新シリーズです。(…ちっともほめてない気がすすのは気のせい)

とはいえ相変わらず人間の暗部をさらけ出すような、悪趣味(こっちはほめ言葉)なゲームシステムは健在。さりげなく「扉の外」と共通したキーワードが登場する事からひょっとして尻切れトンボで終わった「扉の外」との世界観共有があるのかな??と期待してみたりしてます。

適当にキャラ設定変えればそのまんま「扉の外4」と言っても行けちゃいそうな「Split Game」に対して、後半の「Interest Game」はかなりサバゲーから頭脳ゲーに近いというか、異能要素も相俟って今までとは多少毛色の違うゲーム展開になってました。というかゲームでの敗北がそのまま「死」に繋がらないこの「囚人ゲーム」に於いて、「プリズナー落ち」という「死」と同等あるいはそれ以上の重い「ペナルティ」の存在を印象付けて今後の展開に緊迫感を与える為の話という印象?というか、「SplitGame」の方が作者さんの本領発揮という感じを受けたりしました。

あと今回は主人公固定で行くみたいだし、もうちょっとキャラクターにも重点を置いてほしいなあ…。主人公が「囚人ゲーム」に参加する事になった動機がちょっぴり無理やりすぎるような気がするし、性格上、様々な女の子の間でグラグラしてきやがるので感情移入しづらい。ヒロイン格も無難な方面に行ってしまって「あの」正樹愛美・蒼井青子を超えるには到底魅力が足りない感じ。まあ前作は正樹愛美のキャラが何気に突き抜けてたっていうのはあるんでしょうが…。

そのほかゲームの難易度が上がってて私の弱い頭では理解するのに時間がかかったりと気になる部分もありましたが、ゲームシステムは相変わらず凄く面白いし、続きが楽しみな1作です。



【追記】そういえば、後書きの話だけどある意味2巻の後書きが気になる展開に!!


扉の外3

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

“ゲーム”に敗北し、カードの供給も受けられずにぼんやりと生きるだけの状態を維持していた2組を前に、ソフィアはとカードを得る手段としてある“オンラインゲーム”を提示する。それは現実世界のようなリアリティさを持った、血と硝煙の匂い漂うサバイバルゲーム。先のゲームでの敗退の原因を、2組の団結力の無さだと考えた美鈴は無理矢理クラスを纏め上げようとするのだが…
   個人的お気に入り度数

完結編。予想を斜め45度上を行く後味の悪さ、というか偉く尻切れとんぼな終わり方しちゃったもんだなあ。個人的に2巻が神懸かっていたので、残念な限りです。

とりあえず頂けなかったのが主人公の立ち位置。1巻の紀之は全く感情移入出来ないキャラではありましたがその捻くれさ故に3クラスで起こった攻防を見事“外部から”“傍観”していきます。2巻の新一は確固たる目的をもって動いているんだけどその性格や賢さ、そしてゲーム外部に存在する、ある人物に肩入れする事によってやはり“ゲーム”に対してはある意味外部からの、“傍観者”としての位置を保ち続けます。今回の主人公である美鈴は、確かに他の2組のメンバーからするとそれなりに物事は見えているのですが、それでも彼女の視点は“ゲーム内部”からの視点なんですよね。だからこそ今までのように、ダイレクトに人間同士のやりとりの汚さが伝わってこなかった。前2作はその点が最も秀逸な点であったと思うのでその汚さが薄くなってしまったのはちょっと物足り無かったです。

あと、血生臭い設定だけど、どんなに血生臭くても所詮はゲームというか。ゲームから敗退したクラスメイトの扱いも今までと比べてそこまで酷いものではなかったし、今回は結局ゲームで起こった事象がゲーム外にフィードバックする所までは描写されていないのも大きく、これまでに比べるとイマイチ生々しさが無かった。不吉な方向に向かいそうなフラグ自体は片っ端ぱしから立っていくんだけど全て投げっぱなしで話が進んでしまうので戸惑ったのもありました。

今回は「オンラインゲーム」にログインしないと(=ゲーム内部からでないと)描ききれない部分が多かったので主人公の視点がゲーム内部からのものになってしまうのは仕方ないと思うのですが、そうだとしたら美鈴視点と同時に、“ゲーム”の外部から事態を把握する視点となる人物が欲しかったですね。というか、ここで正樹愛美の視点を同時に描いたら正直結構神展開になったと思うのですが。

今回の予告で散々思わせぶりに言ってきた“ゲーム”の真の目的といい、思わせぶりに上の階層へ連れ去られた蒼井の扱いといい、全体的に描写不足な部分が多くて不満な終わり方でした。起承転結で言うと起承で話の分量取りすぎて、転をハイスピードでぶっとばして、結の途中で終わってしまったような印象。ていうか、これ明らかに全滅エンド確定じゃね?

とどのつまりどうみても打ち切りです。本当にありがとうございました。


扉の外2

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

“ゲーム”の説明も受けずに初戦で敗退した8組の生徒はカードの供給も受けられず、無気力な毎日を送っていた。そんな中、高橋新一は周囲を観察するうちに「内通者」達が出入りする抜け道を発見する。そこには4つの性格の異なる居住スペースとカードの配給があった。暫くの思案の末、8組の生徒達を上のフロアへと導く高橋だが、そこに待っていたのは更に過酷な“ゲーム”と鳥籠に囚われた“天使”だった…!
   個人的お気に入り度数

今期の電撃の新人作品の中で一番評価まっぷたつだったと思われる「扉の外」の第二段。続編で一気に読みやすくなった印象です。というかどうしよう、一気にツボな作品に化けやがった!!

基本的にいつまでも「部外者」で、ヒロインとの描写も全然足りなかった前作に比べて主人公に感情移入しやすいのが一番プラス。ちょっと高校生にしては冷静(というよりも冷酷)過ぎる部分も多々ありますが、このくらいならなんでもありのライトノベルだし、許容範囲でしょう。なんだかんだいって、彼の意思は鳥篭に囚われた蒼井を救出する(ネタバレ)という実に若者らしい1ポイントに絞られている為、そこまで不可解な行動は取らなかったですね。というか、本当に今回の主人公・高橋新一は他の女の子キャラにもいい顔はするものの、なんだかんだいって見事に蒼井しか見てないんですよね(笑)いやあ、ほんとこいつ、冷静キャラに見せかけてめっちゃ青春してる。何よりもラストで吐露される、高橋の真摯な気持ちが胸を打ちます。

お互いの顔が見えないクラス別の対抗戦“現実感の無い戦争”だった前回に対して、今回は同じクラス内での直接対決を描く為に前回から感じていた人間同士の汚さに磨きが掛かっています。黒川を中心とした、男子達の直接的な暴力による発散行為も相当脅威を感じるに足るものでしたが、正直《レイク》に登録した女子達の陰湿さが一番ヤバイ。なんか1巻の6組女子もそんな部分ありましたが、自分達の弱点と強みを正確に把握して直接糾弾し辛い状況を作るっていうのが凄く現実的にありそうで…お、女って怖いね…!!(お前が言うな)(つか作者さん、女性恐怖症?)

しかし、個人的に気になった点を言うなら蒼井以外の、1巻で出てきたキャラクター達を全く生かせてない印象なのがちょっと。特に正樹愛美のあの正しすぎてどこかイカレてるとでも言うような、かなり上手く使えば電撃でも稀有な特性をもつキャラクターになりそうな感じだったのが、今回は単なる理想主義者っぽい印象になってしまったのが凄く残念…。1巻で結構いいところ持って行った氷室も見事に空気だし…。

今回はゲームの進行によっては確実に1人の人間が死ぬ、と約束されているのでゲームに対する現実感や緊張感も相当高かったです。ゲームが進行する毎に息を呑み、ハラハラしながら最後まで必死にゲームを見守る事になりました。というか、すいません、こういう設定大好きなんです私。これでバッドエンドだったら紙一重で一番ダメなパターンなんだけど、ギリギリのところで結局死ななかったのでほんと嬉しかったなあ…!(ネタバレ)それにしても鳥篭に囚われてるっていうのがなんだか倒錯的なエロスを感じます(あああ、この一言で今までの感想が台無し!!!

まだ1、4、6、8組以外のクラスがどうなったのかも語られていませんし、もう少し続きそうな印象ですね。でもこの調子で毎回ゲームの設定がエスカレートすると、最後は本当に○トロワもびっくりの殺し合いに発展するのではないかと戦々恐々。個人的にはあと1?2巻で終らせるのがベストなんじゃないかなあとか思います。

というわけで、久しぶりにツボポイントにこれ以上ないってくらい大ヒットした「扉の外」ですが、いかんせん1巻の評判が真っ二つなんでどれだけ読む人が居るのかが最大の疑問です。前回かなり絶賛していたhobo_kingさんが今回相当悪い評価を付けているのを踏まえて考えると、今回の話は「1巻がつまらなかった人の方が楽しめる」という恐ろしい状況になっている予感がするんですよねぇ…。とりあえず大絶賛してみるので、1巻よんで微妙だと思った方も余裕があったら是非読んでみてください。私が3巻読みたいから絶賛しておきます。


扉の外

[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚

2年4組の生徒たちが目を醒ますと、おかしな場所に閉じ込められていた。“ソフィア”を名乗る人物は、地球は核戦争により滅亡して彼らは優秀な人類なので宇宙船に保護されている…と説明する。上から物を言っているソフィアの言葉に反感を覚えた紀之は彼女の庇護を拒絶し、逃げるように一度出たら戻れない“扉の外”へと飛び出すが…
  

※この感想には、作品に対する否定的な表現・攻撃的な文章が多数含まれております。
 申し訳ありませんが、苦手な方は御注意ください。

2008/05/19 … コメント欄よりご指摘を受けて、注意書きを追加しました。









えーっと……これ、なんて劣化バトロワですか?

修学旅行に行く筈がクラスごと拉致され、おかしなルールを押し付けられて生活をしていくうちに最終的にはクラス対抗の生存競争をする羽目になる…という、粗筋だけを取ればまさにSF仕立てのバトロワ。考えればまさに“生存競争”と思しき事をしているのだけど、そのルールがまんまテレビゲームの領域で、お互いが生きた生徒であることを知らされないままゲームが進行する為まるで現実感が無い。しかし、同時に過酷な生存競争があるわけでもないのに、異常な状況に置かれて少しずつおかしくなっていく生徒たちの描写は空恐ろしいものがありました。

ただ正直な所、下手をすれば自らの生存問題にも関わるだろうに、反抗期の子供のように「見下されている」という言葉を免罪符に、自らの周囲に起こった全ての事象を拒絶しようとした主人公にまるで共感がもてません。

きっと作者さんの中では存在したであろう紀之がソフィアの言葉を衝動的に拒否させるような「何か」が、それっぽい伏線は見て取れるものの読者にはちっとも伝わってきません。作中の話を総合すると「きっと過保護で痛い親に育てられた、反抗期真っ只中のお子様なんだなあ」という程度。(蒼井さんの話から総合すると、正直反抗期の少年少女達に良くある悩みみたいな感じで、そんなに深刻な家庭環境の不和があるとは思えません)。

特に紀之が4組を出奔するまでが本気でキツイです。自分の無思慮な行動をまるで棚に上げてクラスメイトにばかり責任をおしつけ、ソフィアの保護に入らない自分は偉いんだと言わんばかりの紀之の甘さと傲慢さにまず嫌悪感。(自分で拒絶したのに、食べ物は結局殆どクラスメイトの配給を分けてもらってて、それを当たり前の事だと考えているとか、甘すぎ)そしてそれ以上に幼馴染の亜美の行動に生理的嫌悪感を感じてしまうのが、どうしても抑えられなかった。

そしてこの作品で一番(私的に)駄目だったのが、結局特に事態が良い方向に向かうわけでもなく、結局ぐだぐだのまま終了する所。読み終わった直後

「落ちてない、ちっとも落ちてないヨー!!」

と呟いたのは言うまでもありません。まるでジャンプの10週打ち切り漫画のようなラストに呆然としたまま、作者の電波な後書きを読む羽目になって非常に鬱でした。

クラスメイト達が少しずつ狂気に感染していく過程は非常に良かったと思うのですが、やはりこういう作品だったらきちんと全てを解明して黒幕を倒すなりなんな利して欲しい。甘ちゃんだった主人公が段々成長して…という展開だったら大絶賛だったんですが。あと和泉と蒼井のキャラは凄く良かったですね。この2人以外共感できるキャラがてんでいないのもどうかと思うですけど…。

事態が何も解決しないまま主人公とその周囲の一部のみが幸せになって、それでも私達はこの世界にいるんだ!!と、どっかのネットゲーオチRPGのエンディングみたいなまとめかたされても正直困ります。ソフィアの設定にしろ、黒幕の話にしろ、平凡な高校生を学年ごと誘拐して(?)ゲームを行わせた目的にしろ、作者の脳内で完結している設定が多すぎます。正直何も明らかにしないまま終るので、猛烈に後味が悪い。

こういうのを好む方もいらっしゃるのだとは思いますが…とりあえず私には合わない作品でした。私はもっと色々な謎とかが解き明かされたり、成長した主人公が前向きになって皆を救うために頑張る話とかが読みたかったんだ!!!鬱エンドにするにしてももっとやり方ってもんがあるだろう!!!

粗筋を読んだ限り、今回の新人作品の中では一番期待してただけに、物凄く残念です。

もうツッコミはじめると永遠に文句をつけまくってしまいそうなのでこの辺で終了しますが、とりあえず1・4・6組以外のクラスのみんなの安否がとても、気になり、ます。



追記。

ライトノベル名言図書館さんの感想を読んで知ったのですが、この作品の応募時のタイトルは「もしも人工知能が世界を支配していた場合のシミュレーションケース1」というのですね。

なんかこのタイトルだったらこういう終わり方でも酷く納得がいったような気がします。あくまで「シミュレーションケース」であり、現実ではないわけだから、人工知能の正体はなんだとか、黒幕を打倒して元の世界に戻るなんていうのはそもそも些細な事なわけで…このタイトル1つで最も腑に落ちなかった「なぜ最後が謎が謎のままで、色々な方向でオチてないのか」という理由がいともあっさりと解決してしまいます。

なんていうか、タイトルって大事だなあと思った今日この頃でした。
なんで表題変えちゃったんでしょうね。副題にするだけでも大分印象は違ったと思うのですが…