[著]土橋 真二郎 [絵]白身魚
“ゲーム”に敗北し、カードの供給も受けられずにぼんやりと生きるだけの状態を維持していた2組を前に、ソフィアはとカードを得る手段としてある“オンラインゲーム”を提示する。それは現実世界のようなリアリティさを持った、血と硝煙の匂い漂うサバイバルゲーム。先のゲームでの敗退の原因を、2組の団結力の無さだと考えた美鈴は無理矢理クラスを纏め上げようとするのだが…
完結編。予想を斜め45度上を行く後味の悪さ、というか偉く尻切れとんぼな終わり方しちゃったもんだなあ。個人的に2巻が神懸かっていたので、残念な限りです。“ゲーム”に敗北し、カードの供給も受けられずにぼんやりと生きるだけの状態を維持していた2組を前に、ソフィアはとカードを得る手段としてある“オンラインゲーム”を提示する。それは現実世界のようなリアリティさを持った、血と硝煙の匂い漂うサバイバルゲーム。先のゲームでの敗退の原因を、2組の団結力の無さだと考えた美鈴は無理矢理クラスを纏め上げようとするのだが…
とりあえず頂けなかったのが主人公の立ち位置。1巻の紀之は全く感情移入出来ないキャラではありましたがその捻くれさ故に3クラスで起こった攻防を見事“外部から”“傍観”していきます。2巻の新一は確固たる目的をもって動いているんだけどその性格や賢さ、そしてゲーム外部に存在する、ある人物に肩入れする事によってやはり“ゲーム”に対してはある意味外部からの、“傍観者”としての位置を保ち続けます。今回の主人公である美鈴は、確かに他の2組のメンバーからするとそれなりに物事は見えているのですが、それでも彼女の視点は“ゲーム内部”からの視点なんですよね。だからこそ今までのように、ダイレクトに人間同士のやりとりの汚さが伝わってこなかった。前2作はその点が最も秀逸な点であったと思うのでその汚さが薄くなってしまったのはちょっと物足り無かったです。
あと、血生臭い設定だけど、どんなに血生臭くても所詮はゲームというか。ゲームから敗退したクラスメイトの扱いも今までと比べてそこまで酷いものではなかったし、今回は結局ゲームで起こった事象がゲーム外にフィードバックする所までは描写されていないのも大きく、これまでに比べるとイマイチ生々しさが無かった。不吉な方向に向かいそうなフラグ自体は片っ端ぱしから立っていくんだけど全て投げっぱなしで話が進んでしまうので戸惑ったのもありました。
今回は「オンラインゲーム」にログインしないと(=ゲーム内部からでないと)描ききれない部分が多かったので主人公の視点がゲーム内部からのものになってしまうのは仕方ないと思うのですが、そうだとしたら美鈴視点と同時に、“ゲーム”の外部から事態を把握する視点となる人物が欲しかったですね。というか、ここで正樹愛美の視点を同時に描いたら正直結構神展開になったと思うのですが。
今回の予告で散々思わせぶりに言ってきた“ゲーム”の真の目的といい、思わせぶりに上の階層へ連れ去られた蒼井の扱いといい、全体的に描写不足な部分が多くて不満な終わり方でした。起承転結で言うと起承で話の分量取りすぎて、転をハイスピードでぶっとばして、結の途中で終わってしまったような印象。ていうか、これ明らかに全滅エンド確定じゃね?
とどのつまりどうみても打ち切りです。本当にありがとうございました。
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