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彩雲国物語 緑風は刃のごとく

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

1ヶ月以内に何の働きも無かった冗官達を一斉解雇せよ—
突如下された命令に驚きを隠せない秀麗。早速どこかの部署に使ってもらおうと奔走…しなければならないのだが、何故か成り行きで他のボンボン冗官達の面倒を見る羽目になってしまい…!?
 

秀麗の持ち味である“人の良さ”が裏目に出てしまったとしかいいようの無い今回。父親・静蘭・黎深叔父の身内コンビだけでなくその人格や才覚で難物といわれる黄奇人や魯尚書、工部まで味方につけたのは確かに彼女の功績だけど、同時に周りに居たのが類稀なるキレモノばかりだったからこそ、どこか失敗した時の恐ろしさを知らないというか、楽観的な考え方をしてしまうところもあったと思います。今回は前作で登場したタンタンがどこか自分に対してどこか楽観的な秀麗のストッパーとして大活躍。ほんと、初登場の時はどうしようもないキャラだなあ…と思っていたのが冗談のような昼行灯ぶりを発揮してくれました。そして同時に、無くしてから判る父親との絆にホロリとします。

今回は秀麗だけではなく、劉輝やレギュラーキャラ達にも転機が。特に劉輝の側近である絳攸と楸瑛の立ち位置がどうなるのかは非常に気になるところ。リオウの星詠みに暗示されるような事態にならない事を祈るばかりです…。

結局官吏として留まる事は出来たけど、周囲の評価はどちらかというと「蘇芳(タンタン)と二人でやっと1人前」的な評価。宿命的ライバルが登場したり、採用された部署がよりによってアレ…だったりと前途多難な感じですが、その苦難を秀麗がどう乗り越えていくのか、次回以降が楽しみです。

それにしても、今回も黎深様がやってくれました。奇人・悠舜との同期コンビも見ていて中々楽しいですが、やはり姪の秀麗にかっこいいところ見せようとして空回りする姿に大爆笑させてもらいました。ほんと、シリアスな話でもこの人居ると一服のカンフル剤というか…ステキすぎです。


彩雲国物語 紅梅は夜に香る

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

茶州の一件で州牧の地位を剥奪され、仕事のない「冗官」として王都に戻ってきた秀麗。謹慎中の彼女の前に、金色のタヌキを持った貴族の青年が現れる。やる気の無さそうな彼の口から出たのは、なんと秀麗への結婚の申し込みで…!?
 

後書きにもありましたが、表紙の秀麗&劉輝の姿が結構インパクトありました。「はじまりの?」を思い浮かばせるような構成になってるのは意図的なんですね。一巻のどこか可愛らしい表情と比べる、凄く大人びた表情を浮かべる二人が印象的。(しかし、御蔭様で例によって巻数が書いて無いお蔭で「はじまりの?」と間違えて飛ばしそうになったのはナイショです。

何故かきらびやかなタヌキグッズで身を包んだ新キャラ・タンタン(静蘭命名…)が凄く良い味出してました。今まで色々なレビューサイトさんでも言われてましたが結構ご都合主義というか、登場人物が総出で秀麗の援護に回ってしまう部分があったので(キツイと思われるキャラでも、なんだかんだ言って甘やかしてる印象があった気がする)、秀麗と共にありながら秀麗や仲間達が敢えて触れないで置いている部分までズバズバ言ってしまえるタンタンは中々貴重なキャラクターかと。今回…というかこの「冗官編」はこのタンタン君の事だけではなく、色々と秀麗が敢えて見ないようにしていた部分を改めて見つめなおす機会が非常に多かったと思います。一生懸命走ってきたけどまだ秀麗には“女としての幸せ”を選ぶ事も出来る。今まで単なるヘタレ幼馴染(酷)だった三太の発言が胸にしみました。

しかし静蘭………茶朔洵の一件で開き直ったか、最近露骨に腹黒キャラ化が激しい気がします…つか腹黒っていうか近頃堂々と黒いぞ!?(秀麗の前以外では)

ラストは、このシリーズにしては珍しく少し後味の悪い終わり方。「漆黒の月の宴」の時以上に秀麗が良かれと思って行った行動が裏目に出てしまったというか…なかなか考えさせる終わり方でした。いつものスッキリ大逆転!!な終り方も良いですが、今回のラストもなかなか面白かったです。

サブタイトルの「紅梅」は、なんとなく現しているのがあのキャラ…だろうなあ、と思って特に調べたりしてなかったのですが、他のレビューサイトさんで辞書サイトへのリンクがあったので見てみたところ…うわっ、こんな深い意味だったんだ。ある意味絶妙なタイトルセンスに脱帽です。ひょっとしてこれ、今回出張ったあのキャラ以上に秀麗と劉輝の複雑な関係のことも暗に示してるんじゃないかな…と思ってみたり。エピローグでの二人の会話(というか秀麗の雄たけび?(笑))が凄く「らしくて」好きでした。

もふもふ系で偉く可愛い…けど王妃の事となればパワフルに劉輝を追い掛け回すおじーちゃんの「うーさま」や、新たな秀麗の政敵?も現れて、ますます次巻が楽しみです。つか、うーさま可愛いな…一匹(!?)欲しいわ…(´?`*)


彩雲国物語 藍より出でて青

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

もうすぐ夢にまで見た会試!…なのに、王都に転がり込んできた藍家のぼっちゃま、藍龍蓮に振り回されてばかりの秀麗たち。秀麗の家でご馳走になることになった龍蓮は手土産を手に入れようとするが…!?(「王都上陸!龍蓮台風」)
会試直前の藍龍蓮と秀麗達、州牧就任直後の春姫と克洵、茶州を去る直前の秀麗達、計3話+αを収録。
 

やっばい、龍蓮に激しく惚れた(*´д`)

明るく振舞ってるけど実は?(略)なキャラは今も昔も大好きです。
会試は2位通過だし、よもやホンモノの馬鹿ではないだろうとは思っていましたが、
ここまで重いキャラだったとは…凄くイイ!
秀麗・影月とのトリオも微笑ましいですが、それ以上にお兄様である楸瑛との兄弟コンビが凄く好き。冷酷そうに見えてもなんだかんだいって甘やかし気味な楸瑛兄ちゃんに密かに萌え。

そして茶州メンバーや龍蓮の強烈なキャラクターに押されて出番こそ減ってるものの、王都キャラの行動も相変わらずいかしてます。奇人と黎深さんのコンビはもう漫才コンビと勝手に認定していいですか?仮面の件は笑いが止まらなかったよww

ラストの話では茶州で秀麗達がやってきた事が本当の意味で認められたように思えて、非常に感慨深かった。最終的には石榮村での“失敗”を理由に左遷されて茶州を去ることにはなるんだけど、彼女達のやった事を誰よりも民達はちゃんと認めてくれている、という所にじーんと来ました。そして妙に逞しく生きてる若き医者の卵たちに大爆笑。

龍蓮のお馬鹿っぷりや克洵のヘタレっぷりが面白くてつい忘れがちですが今までのストーリーの補完・後のストーリーへの仕込みも満載。
藍龍蓮の重い運命や前巻ラストで取り乱した理由、「欠けゆく白銀の?」で見せていた香鈴の不安の原因など、今までの作品を読んだ人には美味しい展開が満載です。ますます続編が楽しみになってきました。

特にラストの葉先生との会話が凄く意味深で気になります。


彩雲国物語 光降る碧の大地

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

医者を伴い、茶州へ舞い戻る秀麗。しかし住民達は“邪仙教”が広めた噂を信じ込み、奇病が秀麗の所為だと冷たい目を向ける。更に、石榮村へ向かった影月は邪仙教に捕らえられてしまい…!?

 

影月編完結。メインキャラクター達も精一杯頑張ったと思うけど、それ以上にシュウランや村の肝っ玉オバチャン達、そして貴陽の新人医達…と名前も無いような脇役が凄く光ってて良い。特に奇病を治療した際の新人医達の行動とラストのシュウランのセリフには思わずジーンとしてしまいました。秀麗が今まで官吏としてなしてきたことは確かに新しい風として朝廷(男社会)に影響を与えてきたけど、初めて同じ立場にいる女性達にその風を吹き込む事が出来たのかな、と思います。すごく感慨深かった。あとはやはり、ツンツンしつつも影月が心配でしょうがない香鈴が可愛くて仕方なかったですv

劉輝の出番は今回は非常に少なかったけど、単身で縹家の現当主と渡り合おうとする姿は非常にかっこよかった。ほんといい男に成長したよ劉輝…やはり以前のヘタレ馬鹿王な彼も好きでしたが。

あとやはりこの巻で大きなウェイトを締めるのはやはり朔洵。なんで生きていたか、とかは判らないけど彼に向かって影月がぶっちゃけトークするシーンが非常に好きです(笑)

肝心のラストですが…色々なレビューで書かれているけど、影月の最後はあんなんでよかったんですか、ねえ…?散々悲劇的に引っ張ってきて、そんな簡単にオチがつくっていうことに凄く違和感を感じます。最初からそうすればよかったのに?と(陽月的には本来そんなことをするようないわれはない、って言えばそれまでなんですが)

そこまでのストーリーが実に上手くまとまっている感じだったので、ラストの展開だけ凄く違和感感じまくりました。前巻での後書きはなんだったんだ…というのもあるし。

とりあえずここで大きく分けての「茶州編」は終了?
個人的にかなりの影月贔屓だったので彼らと会えなくなるのは切ないですが、今後の展開に期待です。


彩雲国物語 欠けゆく白銀の砂時計

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

新年の朝賀のため、貴陽に戻った秀麗。茶州復興の為に影月とまとめたアイデアを実現する為に各部署との交渉を行う彼女だが、計画を実行するには秀麗の登用に最後まで反対していた工部が立ちふさがる。また同時に、彼女の元には大量のお見合い話が舞い込んできて…?
 

とりあえずうっかり飛ばしてしまった前編を今更読了。
「心は藍よりも深く」で結構重要なネタバレを総ざらい読んでしまってから読んだので、「ああ?あの設定知らなきゃもっと楽しめたのに…!」と思うことが多かったです。ちょっと残念…。

今回は今までとは違う「国王としての」劉輝がすごく印象的でした。国王としての責任や影響力を正しく自覚してしまっているが故にそれに縛られて生きなくてはいけない「劉輝」の孤独といいますか…が凄く切なかったです。いやでもほんと、最初と比べてイイ男になったなあ…と思う反面、序盤の子犬のような劉輝が好きだったなあとも思うのですが(笑)

個人的には工部VS秀麗の飲み比べが好きです。「心は藍よりも?」でここのくだりを見たときに「なんでこんな美味しい場面を文章化しないんだ!!」と思っていたので。いやあ、文章化されてましたねー、しっかり。これから続編を買うときはちゃんと確認することにしますorz


彩雲国物語 心は藍よりも深く

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

新年。朝賀のため貴陽に戻った秀麗は影月と二人でまとめた懸案を実現させるべく、連日奮闘していた。しかし、そんな彼女の元に茶州でとある奇病が流行っているという報告が舞い込む。同時に現れた謎の新興宗教の教主“千夜”は秀麗の茶州州牧就任が奇病の原因だと人々を煽りはじめて…
 

影月の過去やその運命などが一気に明らかになる影月編。

あんな必死に勉強して状元及第したというだけあって、何らかの事情があるんだと思ってはいましたが、まさかこんな暗い過去があったとは…。しかし、彼の運命のゆくえも気になるところですが、それ以上に香鈴とのゆくえも気になります。二人とも可愛すぎです。

しかし個人的には影月の暗い過去話も良いのですが、それ以上に序盤のコミカルな部分がお気に入り。

特にどんどんギャグ担当になっていく黎深オジサマとかね!!
あの気まぐれオジサマに振り回される吏部の面々はほんと大変だよなあ…新人の珀明君に幸あれ。

ラストにかけての、商人達や官吏たちとの秀麗のやりとりはお見事。
特に全商連とのやり取りは非常に良い。すっかり秀麗の言葉に踊らされて、茶州に行きたくてウズウズしてる医薬担当にニヤニヤ。官吏達の前での秀麗の演説は、1巻で劉輝に語った「町民」として在った彼女の決意や覚悟を決して忘れないという強い志が感じられてじーんとなりました。実際最近の政治家には是非こういう初心や民の立場で物事を考えることを忘れないで頂きたいです。

次回で影月編も決着。今まで以上に厳しい綱渡りとなりそうですが、秀麗や影月が幸せになれるようなラストを期待したいと思います…………ってあれ?影月編って3巻完結じゃなかったですっけ?このままだと2巻で完結しちゃ………







え、なにこれ?よんでないよ?




Σ゜゜       (д )


彩雲国物語 朱にまじわれば紅

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

暇を持て余していた絳攸と楸瑛は書庫に現れるというオバケ退治をしようと画策するが…?!

秀麗が後宮にあがる少し前に起こった事件と
国試に纏わる短編の全3編+αを収録。
 

なんていうか、紅一家大爆発の回ですね(笑)初登場の秀麗のお母さんの漢らしさにニヤニヤしつつ、静蘭&邵可コンビの秀麗バカぶりに噴出しつつ、劉輝&秀麗の切ない恋に少し切なくなり…と盛りだくさんの短編でした。

何より、黎深オジサマのヘタレっぷりが最高!!
お兄さんの邵可に手玉に取られるのはとにかく、絳攸にまで手綱を握られてしまっているような気がしますね、この人。本来冷酷なキレモノのはずなのに、自分の大事な人間達にはめっぽう弱い黎深オジサマにメロメロです。もっと頑張れオジサマ!!(笑)

そして静蘭は元太子という肩書きはどこへやら、今回はすっかり生活観溢れるところをみせつけてくれました。どうしよう、市の安売り情報に敏感な元太子さまとか、超惚れるんですが。秀麗と邵可の前以外での本性丸出し静蘭に萌え。しかし今回は邵可様まで本性出しちゃってましたね…!!

一方、短編とはいえ今後の展開に大きく関わってきそうなストーリーも多く、その辺は見逃せません。秀麗のお母さんにも何かありそうですし、何よりも秀麗が恋愛恐怖症?になったきっかけにも何か深い理由がありそう。あと黄奇人の本音は一体どのへんに!?(待て)今後が益々楽しみになってしまいました…!

しかし、このシリーズ、キャラクター名が1発変換できなくて苦労します…特に邵可とか絳攸とか、どうやって出せというんだ…毎回感想サイトから該当のキャラクター名探し出してコピペです(…)


彩雲国物語 漆黒の月の宴

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

指定された期間内に州都に入らないと官吏としての資格を奪われてしまう秀麗と影月だが、茶氏の妨害工作は激しさを増していく。茶朔洵の誘いに乗り、敢えて火中に飛び込む秀麗。
また、茶家の中では茶家当主の跡目を巡る争いが激化しつつあった。
 

春姫・英姫の女傑コンビが最高。特に春姫はどちらかというと香鈴みたいな深窓の令嬢的なキャラクターかと思っていたのですが、明らかにお祖母様の血を受け継いじゃってますね。特にラストの発言が最高です。結婚した暁には克洵が尻に敷かれる姿が目に浮かぶようだ。

最後に向けて事態がどんどん動いていって、それが一気に解決する爽快感はいつも通りなんだけど、今回は朔洵の動きがどうしても微妙だった気がします。どうせならドーンと静蘭に戦いを挑んで、華々しく散るくらいの動きが欲しかった。前回で凄く巨大な敵として描写されていたわりにはラストがあっけなさすぎで尻すぼみな印象。

朔洵の心象の変化などは確かによかったし、泣けたんですけどね。ただもう少しラスト以外でその心の動きがわかるような描写が欲しかったというか…あと前半で半分くらい事件が解決に向かいかけている所為か、今までより全体的に読み終わってもスッキリ感がないような…あれはもう朔洵のキャラクター的に仕方のないことなのかもしれませんが。

何はともあれ晴れて茶州州牧となった秀麗達の動向が今後も楽しみです。


彩雲国物語 想いは遥かなる茶都へ

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

新しい茶州州牧として任ぜられ、茶州へと向かう秀麗と影月達。しかし秀麗のような新州牧の存在を良く思わない茶氏の追っ手が彼女達を襲う。秀麗は仲間と離され、たった一人で旅を続ける羽目になるが…!?

 

静蘭と燕青の過去話に萌え死にそう。

穏やかキャラの血なまぐさい過去話は萌える。
しかも忘れたはずの過去が再び目の前に立ちふさがる…とか、そういう展開大好きですええ。予想以上に血なまぐさい静蘭の過去に乾杯。

っていうか何されたの静蘭!!(*`д´)=3

明らかに腐女子に妄想しろと言わぬばかりの静蘭の態度は何事ですか?ベーコンレタスなんですか!?なんか物凄い勢いで私の中の静蘭萌え度数が上がっていきますよ!?きっと世間では燕青との三角関係が主流だな!?とか強引に考えてみる。

はてさて今回は茶州編の前編ということで、今までのようにスッキリ終わって気分爽快といかなかったのが残念です。しかし2巻で密かに期待したとおりの変人ぶりを見せ付けてくれた龍連や新キャラのたらしッ子・千夜様が加わり秀麗の周りの男性模様はますます混乱の一途を辿るばかり。今まで色恋沙汰とはあまり縁のなかった秀麗にも色恋沙汰が舞い込み、その挙句今まで余裕ぶっこいてた静蘭まで本気になる様相をみせ…

…こう、ここまでキャラ増えると、あれだよね。
ゲーム化すればいいよ。勿論ルビーパーティ制作で。


そろそろマジメに感想言うと影月&香鈴の低年齢カップルが非常にいじらしいです。特に香鈴が秀麗の身代わりになるシーンはシビレました。また、逆境においてもめげずにすばやく最善の策を導き出す秀麗がかっこよかったですね。

ところで、「隠れヲタク的日々日常」さんの記事によりますと千夜様はあの子安武人氏だそうですが、今後彩雲国を読むとき、千夜様の部分はアンジェのオリヴィエ様声で読めばいいですか?

それとも某レザード・ヴァ○ス氏的ナルシス変態ヴォイスで読めばいいですか?


彩雲国物語 花は紫宮に咲く

[著]雪乃 紗衣 [絵]由羅 カイリ

憧れの国試に見事三位の成績で合格し、初の女性官吏となった秀麗。しかし官吏となった彼女を待っていたのは今まで仲良くしてくれていた人々たちのよそよそしい態度や、“新人研修”という名の過酷な苛めの日々…!それでも挫ける事無く、必死に頑張る秀麗だがその裏では彼女を貶めようとする人々の陰謀が渦巻いていた。
 

吏部で下働きしたい。
なんだあの男のツンデレパラダイスは…!!萌えるじゃないか…!!

…という本音はさておきまして(本音かよ)、今回も新しく登場したキャラクターが非常に良いです。遂に揃い踏みしちゃった「怒らせたら怖い」紅家3兄弟最後の1人、ツンデレナマイキ弟の紅玖狼様。そして官吏試験トップで二重人格持ちな天然系ショタッ子・影月君、官吏試験4位で進士達が誇る自信屋でオレサマなツンデレ少年・碧珀明君…ってなんだ今回は美少年天国ですか!?二重人格とツンデレショタが大好きな私に萌え死ねとおっしゃるのですね雪乃先生!?

ストーリーはこれまで以上に過酷に、今までのような高官の方々の支援も無く自分だけの力で至難に立ち向かっていかなくてはいけない秀麗(…といっても、なんだかんだいって皆がヘルプに入ってるんだけど)。前半がストレスの溜まる展開なだけに、後半でどんどん自体が逆転していく様は見ていて爽快でした。紅家の恐ろしい「圧力」に爆笑し、秀麗や影月が官吏になろうと思った理由の部分でもホロリとさせられ、胡蝶姐さんを始めとした街の皆の本音のセリフにジーンと来ます。ほんと、読んでてこんなに気分がスッキリするシリーズはなかなか無いのではないでしょうか。

なんだかんだいって個人的に一番好きなのは黄尚書の素顔の下りです。官吏たちの慌てっぷりに大爆笑。前回の下りで少しだけ明かされていたものの、彼の恐ろしさが半端じゃないという事が今回明かされてしまったというか…美形恐るべし。なんか本人はいたって大真面目なのにあの顔の所為ですっかりギャグキャラ化してません?(笑)次回は茶州行きということで中央の人々の出番は少なくなりそうですが、今後の活躍に期待!!