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迷宮街クロニクル2 散る花の残すもの

[著]林 亮介 [絵]津雪

死亡率14%を誇りこの世で最も生と死を隔てる壁が薄いと言われる迷宮街も12月。そこに暮らす人々は様々な想いを抱きながら、年末のイベントを謳歌していた。そんな中、道具屋の店員をしている小林は、かつての教え子と再会する。彼に対し、とある負い目を感じていた小林だが…
   個人的お気に入り度数
Web小説「和風Wizardry純情派」に加筆・修正を加えたもののシリーズ第二弾。分厚ッ!!とおもって調べたらあとがきまでが451PとGA文庫歴代第二位のページ数だったみたいです。

「チーム笠置町」も迷宮探索に慣れてきて、どんどん成長していく姿と迷宮街での仲間達との危険ながらもそれなりに平穏な日々が描かれ……と思ったら、中盤で一気に重い展開になってしばし呆然と!!恩田さんは1巻の頃からかませ犬的な意味で死亡フラグ立ちまくっていたので「ああ、ついに……」という印象だったのですが、それでもシリーズ序盤から主人公たちと親しくしてきた、サブメインキャラのような立ち位置のグループを襲った悲劇は衝撃的でした。

そして小林と今泉の再会のくだりや鈴木さんの幸せ一杯メールを見るたび、着実に誰かの死亡フラグが立ってる気がしてしょうがなかったので、彼らが実際に危機陥った時には何も出来ない自分がもどかしかった。トラップ解除のくだりでは「恩田ー!今泉ー!!逃げて逃げてー!!!」と叫びっぱなしだったり。それにしても、こういう話で恋人が出来るってそれだけで一種の死亡フラグに見えるよね…。

死の淵に居る彼らの必死な姿と、長年の誤解も解けて幸せ一杯な小林の様子が対象的に描かれるのがまた泣ける。その後の、小林が居なくなった後の道具屋の倉庫整理の話でも追い討ちを掛けられます。どうしても誰かが「いなくなった時」を意識してしまう彼女たちの姿にしんみり。というか、今泉は本当に惜しい子であったよ……ああ、このシリーズ唯一の「美少年要員」が!!!(そこかよ)

一方で、前巻よりいつ死ぬかわからない状況の中で「生」を謳歌しようとする彼らの不自然に明るい姿と、それ故に迷宮街の外の世界の人々から乖離していく彼らの姿がとても印象的でした。迷宮街の中で展開される物語ではあまり感じないのだけど、ひとたび彼らが外に出て普通の人々と接触すると途端にその異常性が顕在化するんですよね。常盤と児島の、お葬式でのやりとりや由加里を駅に迎えに来た時に偶然遭遇した鈴木兄との場面とか。

彼らも(恩田や今泉の時のように)死を悼まないわけではないんだけど、自分の「仲間」と「仲間でない人」の区別を明確につけていて仲間以外の人間は完全に切り捨ててしまっていて、仲間に対しては情に厚い分そういう部分が奇異に映るのかもしれない。そしてそれを代表するエピソードが、第二階層で遭難した有名パーティが、誰の救助も受けられずに壊滅したという話しのような。そこはもちろん、「迷宮街」という場所で生き抜くためには捨てなくてはいけない部分ではあるのですが…。

個人的には、「変わってしまった」真壁が迷宮街の外に戻り由加里とくっつくのか、外を捨てて翠とくっつくのかがとても気になるところ(いろいろな意味で、この2つはセットになっていると思う)。物語の途中で真壁が自分の将来について思いをめぐらせる場面がありますが、次巻で彼がどういう未来を選択するのか、続きがとても楽しみです。

……いやでも、ラストで主人公パーティ全滅エンド、という可能性もあるわけだけど。
最後まで気が抜けないのがこのシリーズの恐ろしさだ…

そういえば、前巻発売時と同じく、レビューを書くとサインが貰えるよ!企画があるようです。前回は申込そこねたので、今回は参加させて戴きたいなあ…と思いつつ、むしろ「特典」に興味シンシンの私が居ます。友人賞の特典とか凄い心ときめく。「乱戦の中で颯爽と登場(して死ぬかも)。」とか。さっそうと参戦したい!(そして死にたい!)

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