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空とタマ—Autumn Sky,Spring Fly

[著]鈴木 大輔 [絵]原 建人

オヤジと喧嘩をして家出をした天野空は、お気に入りのタバコを持っていつもの廃倉庫に向かった。しかし、そこにはいけすかない先客が居て、煙草を消せと文句までつけてくる。意地を張り合っているうちにいつのまにやら弱みを握られてしまった空は、おとなしく出て行くわけにも行かなくなって、“タマ”と名付けた謎の少女と本気で攻防戦をはじめるが…
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前半の空とタマが繰り広げる絶妙なやりとりにニヤニヤさせられて、中盤で一気に主人公の過去に引き込まれ、ラストでしっかり泣かされました。うわあああもっと早くに読めばよかったです!面白かった!

富士ミスのいわゆる「L・O・V・E寄せ」の時期に出た小説なんですが、いい具合にLOVE分とミステリー分が凄く絶妙にミックスされててツボ。タマの正体自体がある意味のミステリーになってるというか。特に空とタマが1問ずつ質問をしていくゲームをするのが謎解きっぽくて面白かったです。空がどんどん追い詰められていく姿に思わずニヤニヤしたり。

中盤で突然、空の過去話が始まったときはちょっと唐突と思えなくも無かったのですが、前半の不良息子っぽいイメージからは想像もつかない空の過去や、ラストで明かされる“タマ”の正体にぐいぐい引き込まれて、多少強引な展開はあんまり気にならなかったです。普通の人だったらどう考えても不幸だなあと思う経歴を“不幸だ”とも思っていない空の前向きな姿勢にもジーンとさせられましたが、それ以上の壮絶な人生を送ってきたタマがその場では自分の過去を明かさないっていうのが…最後でまたもやジーンとさせられました。

ラストの終わり方は少し悲しい終わり方だったのが少し悲しいけど、それ以上にあまりにも綺麗にまとまってて、文句なしの終わり方だったと思います。二人の過去はどうしようもなく暗いのに、青春のホロ苦い爽やかさというか、ジメジメ感が殆ど無いのがまた見事で。

なんだか自分が“頑張れっ。”って言われたみたいな清涼感。ほんと、手にとって良かったと思える一冊でした。

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