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修道女エミリー 鉄球姫エミリー第二幕

[著]八薙 玉造 [絵]瀬之本 久史

ノーフォーク公の3男で、マティアスを「師」と仰ぐグレン。父や兄達の役に立とうと護衛騎士として修行を積む彼に、ノーフォーク公はエミリー姫の護衛を命じる。師が命を賭して護り抜いた憧れの姫を護衛できると喜び勇んでエミリーが院長を務める修道院に赴いたグレンだったが、彼女は想像とは全く違う下品な姫様で…!?
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「鉄球姫エミリー」で結構綺麗に終わっていたように思えたので続きが出ると聞いてどうなることやらとドキドキしていたんだけど、そんな不安などまさに心配御無用だったシリーズ第二作。前回の事件でセリーナ以外の親しい者が殆ど喪われてしまい、王位継承権を放棄して修道院に入ったエミリー姫が、新たな仲間達を得るというお話。

エミリーにとってはまさに仇敵以外の何者でもないノーフォーク公の息子が、真実を何も知らされないまま派遣されてきた事を皮切りに新たな陰謀の影が浮かび上がるのですが、前作のふてぶてしいまでの倣岸不遜ぶりを知っていると、罵詈雑言を吐きつつも親しいものを再び喪うまいと一人で必死になって今にも倒れてしまいそうなエミリーの姿が痛々しくてしょうがない。下品な言葉の応酬も、やっぱりちょっと強がりの裏返しと言う気がして、前作と比べるとキリがないですね。世間では「鉄球姫」と呼ばれ怖れられる彼女ですが、今回は新キャラクターであるグレンの視点から見ることによって、エミリーの精神的に弱い部分がかなり露に描かれてきて、とにかく哀しい気分になります。教会でのシーンではちょっと泣いた。

以前はものすごいセクハラを働きつつもなんだかんだと慕われていたエミリー王女、修道院では外敵を気にしてかなり強引に様々な方向転換を行った結果、修道女達からはお世辞にも受け入れられているとは言いがたく……。前作でのジュディのようなポジションにいるお人よしで心優しい少女・ロッティの意外な台詞にはハッとさせられてしまいました。それだけエミリーも精神的に余裕がなかったということなんだけど、ポジションがまんまジュディだっただけに、彼女だけはエミリーの良いところを解っているような展開を期待してしまっていたんだなあ。前回のように大量の死者が出るような展開ではないのですが、どこか冷徹で残酷で容赦のない物語展開は、紛れもなく「鉄球姫エミリー」の続編なんだと感じさせる部分が多々あります。

そんなこんなで、とにかく人が死にまくりな1巻から、残酷な事件を糧に少しずつ信頼できる仲間を得て新たに強く立ち上がる2巻という感じで既に完結した話から無理に2巻を作らなくてはいけないのであろう新人さんの作品にしてはものすごい上手い繋ぎ方をしたなあという印象で、凄く面白かったのですが、相変わらず戦闘描写が読み辛いのはなんとかならないものか……。

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  • 修道女エミリー

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    Alles ist im Wandel |2008/1/11(金) 20:01 | Permalink