[著]あかほりさとる [絵]ことぶきつかさ ニューテキサスに向けて出発した小樽一行は、プラズマ嵐に遭遇して無人島に漂着する羽目に。海に流されたショックで記憶喪失になってしまった小樽を見て、小樽をモノにするチャンス!!とばかりに |
無人島で記憶喪失になった小樽を見て、チェリーやブラッドベリーやルクスやパンターが自分に都合のいい記憶を小樽に刷り込もうとするお話。前の人の妄想と齟齬が内容に妄想設定を付け加えていくせいでどんどんストーリーが整合性が取れない、強引なものになっていくのに笑いが止まらない。そして何よりも、どんどん人間離れしていく花形……もう、あそこまで酷い事になるとどう反応したらいいかわからないよ!!久しぶりのギャグ回ということで、本当に今回はイキイキとしている花形が素敵過ぎました。
ギャグ色が強い半面、「今既成事実を作ってしまわなければいつまでも小樽は自分を選んでくれない」「自分の気持ちが定まらないから、決定的にくっついてしまって片方を諦めたい」という彼女たちの内心の焦りが透けて見えるのが印象的でした。その一方で、「どんなに嘘を並び立てても、いつか嘘が露見してしまう」という事実に気付いて自分たちのやってることに空しさを覚えてしまう姿がどこか切ない。小樽とライムが良い雰囲気になるを見ているしかできない彼女たちの葛藤もよかったなあ。
しかし、今回一番すごかったと思うのは、プロローグで語られる「過去の地球」での、初代家安が宇宙を目指す事になったきっかけ話だとおもうのです。あれは初読した当時も衝撃すぎた。貧困に喘ぎ、何もかもに絶望する人々と自分たちの事しか考えていないお偉いさん方の姿が印象強すぎる。そして、なんだかちょっと現在の世界情勢とオーバーラップするところがあるのが少し恐ろしい。