文庫未収録の短編を中心に収録した短編集第三弾。面白い短編はもちろん面白かったんだけど、面白かったものとイマイチなものの落差が激しいなあ……特に電撃の特別冊子系に載った短編は「あれ?これだけ?」というものが多くてどこか物足りなかった。いえ、収録してくれるだけありがたいといえばありがたいのですが……
個人的に面白かったのは「不幸のバッドエンド大全」「ラーメン食いたい透明人間」。「不幸のバッドエンド大全」はPSP版「とらドラ!ポータブル」の限定版についていた短編なのですが、実乃梨と北村の「バッドエンド」の内容が本気でこわい。いろいろな意味で恐ろしい……大河と亜美の「バッドエンド」もある意味身近な恐怖で恐ろしいといえば恐ろしいなのですが、なんかあの子達はなんだかんだで楽しくやっていきそうなイメージが…。
書きおろしの「ラーメン食いたい透明人間」は、大河が転校した直後の能登と木原のお話。大河や竜児や亜美達のすぐ近くにいながらどこか彼等の「輪」のなかには加われなかった二人が、竜児や亜美に対して抱いていた複雑な気持ち、同じ位置で悲しみを分かち合えない悲しみみたいなものが胸を打つ。最後で精一杯の勇気を出した能登の行動にニヤリとしました。この2人は少しずつ距離を詰めていって幸せになって貰いたいなあ!