入学すれば望み通りの進路に進めるといわれる学園に入学した主人公・綾小路清隆。学校からは高額な生活費が支給され、私語や居眠りをしても怒る教師はいない。ほとんどの生徒が夢のような学園生活‐‐‐と思っていたのだが、その実態はクラス全体の評価を独自の基準で「ポイント」として反映し、その評価が毎月の生活費として反映されるという“実力至上主義”の学園だった。最底辺のクラスに振り分けられた主人公たちが、0ポイントから下剋上を狙うお話。
「成績」が校内での待遇に直結する学園ラノベはここ何年かでちょくちょく見るようになったけど、加点減点の基準すらわからない所から手探りで「点数」を上げていこうとする展開が一筋縄ではいかなくて面白い。基準がテストの点数とかなら割とわかりやすいんだけど、授業態度・生活態度や果てはコミュ力まではっきりと数値化できない部分を評価される上、その評価がクラス全体の連帯責任になっているので否応なしにクラスメイト同士で協力していくことを余儀なくされる。ただ試験の成績を上げるだけでなく、教師や先輩の匂わせをしっかり受信していくと抜け道もしっかり用意されているのがどこかゲームチックで面白かった。
成績以外の原因で底辺クラスにいる主人公達が、成績不振でドロップアウトしかけている生徒たちが赤点で脱落する事のメリットとデメリットを天秤に乗せ、最終的に彼らを「救おう」と判断して動き出す。「友達が欲しい」と漏らす反面どこか周囲を俯瞰的に眺めている主人公の綾小路、成績優秀だが他人への気遣いが出来ず壊滅的に人間づきあいが下手な堀北、コミュ力の権化のような少女だが天使の顔の裏に別の顔を隠し持つ櫛田という3人が微妙な距離感を置きつつも同じ目標のため協力していく姿が楽しかったです。明らかに裏に何かありますよ食わせ者ですよと言わんばかりの綾小路のバックグラウンドも大変気になるし、大変わかりやすいツンデレをしてくれる堀北もかわいいけど、個人的に櫛田さんの裏の顔が好き。
まだ見えてこない部分が多くこれから〜という感じの話だったけど、どうなっていくのかがとても楽しみです。
ようこそ実力至上主義の教室へ
著
衣笠 彰梧絵
トモセシュンサク希望する進学、就職先にほぼ100%応えるという全国屈指の名門校・高度育成高等学校。最新設備の使用はもちろん、毎月10万円の金銭に値するポイントが支給され、髪型や私物の持ち込みも自由。まさに楽園のような学校。だがその正体は優秀な者だけが好待遇を受けられる実力至上主義の学校だった。ある理由から入試で手を抜いた結果、主人公・綾小路清隆は、不良品が集まる場所と揶揄される最底辺のDクラスに配属されてしまう。同じクラスで成績は優秀だが性格に超難ありの美少女・堀北鈴音、気遣いと優しさでできた天使のような少女・櫛田桔梗らと出会うことで清隆の状況も変化していって…。大人気クリエイターコンビが贈る、新たな学園黙示録!?(「BOOK」データベースより)