下位チームには「退学」が言い渡される、人死にはないけどこの物語においての生死が掛かった生存戦争が熱かった!敵同士でありながら奇妙な連帯感で結ばれていく綾小路と七瀬の関係がめちゃくちゃ面白いんだけど、肝心の謎はさらに混迷の様相を見せてきて一刻も早く次巻が読みたい。ところでピンナップに全エリアが記載された無人島の地図ついてて「バトルロワイヤル」を思い出したアラフォーは挙手してほしいです。
再びの無人島を舞台に全校生徒が繰り広げる「生存戦争」
いよいよはじまった無人島でのサバイバル特別試験。正体のわからないホワイトルーム生を警戒する部分もあり、グループを組まずに個人での高得点を目指す綾小路。一日四回指定される指定ポイントへの移動ミッションをこなしながら、周辺で出題される「課題」に挑戦していくが、思わぬところで苦戦を強いられて…!?綾小路が単独で試験に挑む、という展開からして初っ端からめちゃくちゃ人間捨てたムーブが見られるのでは!?と密かに期待していたのですが、試験の序盤はどうしても数の暴力には勝てなかったり、予想外の課題に直面したりと珍しく綾小路が苦戦している姿が見られるのが面白かったです。何よりアニメクイズで苦戦する綾小路が面白すぎる。確かにそういうの苦手だろうなっていうの解りますけどここまでポンコツになってる綾小路の姿を見れるのってこのシリーズでも金輪際ないのでは!?クイズ聞いて完全に思考停止してるの爆笑してしまった。
課題への挑戦権が早いもの勝ちだったりあらゆる方向の知識が試される内容になっているのは実にこの学校らしい展開だなあと思うし、綾小路のような単体ハイスペック人間が無双しづらい構造になっている試験が凄く考えられてるなあ。いやそれでも単体で無双してる高円寺は一体何者なんだって話なんですが。というか今回改めて高円寺の本気が描写されたわけなんですけど、普通にこいつ性能的には綾小路の上位互換では…!?七瀬が付いてきてなかったら綾小路ももうすこし良い勝負をしたと思うけど、高円寺の点数に迫れたとはちょっと思えないし、なにより直接対決で普通に負けてるんですよね今回。綾小路が(自らがホワイトルームで磨いてきたであろう分野において)負けるのって初めてじゃない!?いや綾小路のことなので普通に実は手加減してたとか言い出しそうですけど!!
何者かが故意に起こした事故で生徒がリタイアという展開があったりして不穏な空気が立ち込めてはいるのですけど、これまでずっと匂わされていた池と篠原の恋愛事情に踏み込んだり、軽井沢との短いけれども甘〜いやりとりがあったりで高校生男女の甘酸っぱい展開が多いのも実に夏休みの無人島という感じで楽しかったです。素直になれない池が初対面の七瀬に叱咤され、須藤をはじめとした友人たちに支えられながらも不器用ながらも一人前の「男」になろうとする展開が大変アツいし、友達の気配りも出来るようになってきた須藤がいい男過ぎて惚れる。あと、物凄い軽いノリで唇を奪っていく綾小路マジで悪い男だなとおもうんですけどそれはそれとして軽井沢さんと綾小路の挿絵何この……何!?こんな柔らかい表情した綾小路見たことない!!!!!
綾小路と七瀬、敵同士のふたりに生まれた奇妙な関係性が面白い
綾小路と行動を共にすることになった七瀬が、敵意を抱きつつも綾小路の才能に触れるたびに「やはり先輩はすごい」と敬意を表し、一方で「足手まといになるのは悔しい」と対抗心を燃やし、負けるまいと足掻いていく姿が印象的でした。宝泉寺と組んで綾小路を退学に追いやろうと暗躍したこともありましたが、本来の彼女はどこまでも真正面から綾小路を排斥することを望んでいるんですよね。一方、そんな彼女をぶっちゃけ足手まといに思いながらも切り捨てようとはしない綾小路どうしたの……優しいじゃん………どんな企みが!?(蘇る一年生編3巻のアレ)綾小路清隆という存在によって人生を歪ませられた七瀬翼。彼女がずっと持ち続けてきた鬱憤と愛憎を綾小路が真正面から受け止めるクライマックスがマジ熱いしかっこいんですけど、その受け止め方がスペック高すぎて正直ジワジワ来る。いやもう今回もイヤになるくらいハイスペックでしたねこの男は!!アニメクイズはポンコツだったけどな!!
ますます混迷を深める「ホワイトルーム生」探し
一方、肝心のホワイトルーム生探しについて結局この巻では七瀬の正体くらいしか進展がなくてむしろ更に混迷としてきた印象すらある。個人的にあやしいなあと思っていたのは椿で実際に一年生グループを率いているのは椿っぽいけど、他の奴らも胡散臭すぎるんだよなあ。ホワイトルーム生とは違う気がするんだけど八神が俄然キナ臭く思えてきたし、天沢の不気味な言動もヤバかったし、今回一切姿が見えなかった宝泉の動向も気になる。一年生の動向と、ここのところほとんど動きをみせなかった櫛田の動きが繋がるみたいなのは楽しかったけど、一年生編である意味ずっと不気味な裏ボスでありつづけていた彼女が完全に噛ませ犬になってるのインフレ感あるなあ。これ一周回って共通の敵が出てきてヒロイン返り咲きみたいな展開あるんでしょうか。全く試験中の動向が伺えなかった堀北、いろいろな意味で危険が危ない一之瀬、不気味な伏線だけ貼っていった南雲会長などまだまだ明かされてないエピソードが多すぎて、多分この話一冊で終わらないだろうな〜とはおもってたけどやっぱり次巻に進むだった!!早く続きが読みたい……!!
それにしても龍園と葛城の息が合いすぎてて石崎の心配をしてしまう。なんなんですか…利害関係の一致からうまれたビジネス主従は…完璧すぎる……薄い本出ちゃう……。