デューク王子が突然アリシアの記憶だけを失ってしまった。デュークへの記憶操作の疑いと、これまでのリズへの振る舞いを糾弾されたアリシアは隣国ラヴァールに追放処分にされてしまう。学園での狼騒ぎ以来ラヴァールに興味のあったアリシアは、汚い少年に姿を変えてノリノリで隣国に向かうが……!?
デュークはもう少し粘っても良かったと思う
悪役令嬢の末路の定番・国外追放になってしまったアリシアがウキウキすぎて追放処分とは一体。デューク王子はもうちょっとギリギリまでアリシアに気を揉ませたほうが良かったと思うんですよ。真実を知らせぬまま送り込むのはさすがに不安かもしれないが!!しかし2巻までが良い意味でも悪い意味でもモブ信者からの理不尽な虐めと対話が成立しない聖女との不毛な争いみたいな展開が多かっただけに、アリシアがこれまでに鍛えた身体能力を使って隣国でのし上がっていく展開が大変に楽しかったです。隣国の王子・ヴィクターとの身分にとらわれない丁々発止のやりとりも良かった。デュークと両思いという前提がなければこのままヴィクターとの相棒から始まる恋物語が始まりそうな勢いで、こりゃデュークも自国で気をもむわけですよ……。
今明かされる、「聖女」の能力
アリシアがラヴァール国に追放されている間に、残ったデュークはロアナ村に追放されていた叔父・ウィルを連れ戻して国内の建て直しを図る。リズの持つ聖女の異能「誘惑」の話ややウィルが追放された経緯が明かされていくのですが……もう父世代の話聞くと、そして彼らの追放された原因がデュークの推測している通りならばもうリズといわず「聖女」という概念そのものが邪悪じゃないです?ここまでくると聖女が王子と結ばれなければいけないみたいなしきたりも何らかの思惑を感じてしまうな。先代聖女はご健在みたいな話も出てきたし、今後ぶつかるような展開もあるのかもしれない。これほどアリシアが彼女と並び立つための努力をしてるわけだからやっぱりラスボスはリズであってほしい気がするんですが……今回は特に、ウィルや追放された重鎮3人の貫禄が凄くて存在感かすみがちだったけど……もっとがんばれ……結局リズに悪意があるのかないのかイマイチよくわからないままなの、もどかしいな(100%純粋なお花畑ヒロインではないように思えるんだけど、今回のことで能力の使用は無自覚みたいな話に行ってしまったし……)リズの存在感も含めてこのままだと結局アリシアが真の聖女だよ!!ってオチになりそうで心配で、そこはやっぱりちゃんと(どうかんがえても悪女じゃなくても)自称・悪女ポジを貫かせてあげてほしい気がしてならない。が、色々な意味で今後どうなるんだろうなあこれ。