空戦武踏祭の決勝戦。新技を引っ提げてベベル代表と激突するミソラ達だったが、《崩力》を使う彼らの実力は予想以上で、まったく歯が立たない。生命の危機すら感じられる激闘に、エリス達はカナタに教官権限で棄権するように伝えるが、カナタはただ戦いの行方をみまもるだけで……
最終決戦目前、最後の休息の時!(でも特訓はする)
空戦舞踏祭の決着からひとときの休息の時、残された謎の開示、そして決戦前夜のやりとり…とまたしても情報量の多い巻だった。ミソラ達に掛かる信頼と責任がいくらなんでも重すぎる……と思ってたらそうきたかぁ……。誰よりも勝てないことを知りながら、でも彼女達の奮戦が空士達の心を動かすことを信じて。公式あらすじの最後の一文、あえて主語抜きにしてるのがめちゃくちゃニクい演出ですね。今回は最初から最後まで、ポーカーフェイスの裏に隠されたカナタの葛藤が、握りしめた掌が、とても印象的でした。カナタ、教え子達が傷つくの全然本意ではないんだもんな。だからこそ最終決戦に彼女達が参加しないように全力で心を折ろうとするし、付いてこないように説得しようとする。でも、どんな敗北にも折れない心を持つようにと彼女達を育て上げたのもカナタ自身な訳で……なんともやるせない。それはそれとしてカナタを中心にしてクロエ・ロイド・ミーナ・ノエルのドリームチームとの決戦はめちゃくちゃテンション上がる物があったしよかった。ロイド以外の全員、何らかの形で戦ったことのあるメンバーだったけど本当はこんなに強かったんだなと。
ミストガンに戻る前、アンネローゼの口から明かされた《絶力》を使うことの代償。そして魔甲蟲がこの世界に現れた一番はじめの、悲しい「呪い」の物語。二ヶ月間の猶予期間の後に待ち受けるのは、勝っても負けてもカナタにとって何も残らない、自身の犠牲が前提の最終決戦。厳しい訓練の毎日と言えども平和で楽しい二ヶ月間ではあるのですが……その合間にカナタが感じていたであろう葛藤や道半ばにして教え子達の前から去らねばならない悔しさを思うと、どんなに楽しいエピソード挟まれてもしんみりしちゃうやつなんだよなあ……えっこの期間の話、普通にドラマガで連載してたんです!?富士見はまたそんな読者の心に酷い事をする!!!(いやまぁ、刊行順なら完結した後に読むことになるので、楽しみですけど……)
悲しくも楽しい、最後の思い出とも言うべき決戦前夜。それぞれがカナタへの思いを伝えて、心残りがないようにして……とおもったら、最後の最後でユーリが爆弾落としてきたぞ!?そしてミソラは本当にその終わり方で本当にいいの!?