空戦武踏祭のミストガン代表としてベベルにやってきたE601小隊の面々とカナタ。各都市代表の小隊の様子に気後れするミソラたちに、カナタは「自分の目標とするべき最強の存在」について考えるという課題を出す。一方、ベベルでは都市の重要人物が次々と行方不明になる事件、そして《崩力》を操ることができるカナタを巡った争いが起きていて……!?
「最強」とは……教え子達とカナタ自身の成長がアツかった!
めちゃくちゃ面白かった……!!あとがきでは「第二部開幕」と銘打たれていましたがむしろ個人的には第一部クライマックスとも言うべき内容で、これまでカナタが教官として教えてきたことの集大成としての教え子達の成長、そしてカナタ自身の内面と成長に焦点を宛てた物語でありました。本当の「最強」とは何か、カナタとE601小隊の激突、そして、そして……激動の展開の中で世界の真実の一端が垣間見えるお話で、めちゃくちゃ楽しかった!これまであまり描かれてこなくて内面の見えづらかったカナタの本当の気持ちが本当に印象的で。空戦武踏祭に参戦した強者達に胸を躍らせ、教え子達に連れてきて貰えた喜びと同時に湧き上がる「自分自身の手で舞踏祭に出場したかった」という本音。一線を退いたことに本当に喰いはないのか?というライバルの少女からの問い。その一方でいよいよ魔力は枯渇して……ままならない身体にもどかしい気持ちがないわけはなく、それでも今できる精一杯をしようとミソラ達に自分のすべてを受け継がせようとする悲壮な思いが胸に痛かった。もうほんとうに前巻から、カナタに残された時間が少ないことを示唆する展開とそれを自身も自覚しているような描写が頻繁に登場してきて、まるで生前整理のような行動の数々がとにかくしんどい。
そんなところから、カナタ自身がE601小隊の「敵」として立ちふさがる展開がとても良かった。魔力を失いかつての戦い方が出来ず弱体化しているはずなのに、教え子5人を相手取り一切見劣りしないその気迫が凄すぎるし、自身の弱さをさらけ出すことで教え子達に本当の「最強」の意味を教えようとする展開がめちゃくちゃアツかった……そしてそのカナタからの思いに、大きく成長したミソラ達が彼の予想を超える形で応えてくれるクライマックスが最高に良かった!良かったけど……良かったけどマジで大変なことになってきたな!?
いよいよ空戦武踏祭も本番。大きく成長した一方でカナタ不在のまま戦うことになるE601小隊はどのような活躍を見せるのか、遂に姿を表した魔甲蟲の変異種を操る謎の敵、そして戦いの中で致命的なダメージを負ったカナタは思わぬ人物と対面することになり……とにかく色々な意味で続きを読むのが楽しみでなりません。