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コードギアス反逆のルルーシュR2 TURN?4?

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8


黒の騎士団を裏切られ、妹も弟もすべてを失ったルルーシュは父帝・シャルルと対決する。しかし対決の場に現れたのは思いもよらぬ人物だった。一方、間一髪で助け出されたナナリーは義姉のコーネリアから衝撃の事実を聞かされて…
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シャルルとの対決からラストまでを描くコードギアスR2のノベライズ作品、完結編。

とりあえずマリアンヌ様、マジパネエ。
父帝・シャルルが言葉とは裏腹に本気でルルーシュ・ナナリー兄妹を愛していたのは「コンプリートベスト」で明かされていましたし、小説版の「ナイトオブラウンズ」でマリアンヌのキャラがかなり……だったのは知ってましたが、ここまで悪女ぶりを全開にされるともうどう反応してよいやら……正直ドン引きです。いろいろな意味で、すべての元凶はこの人だったんだなあ。

これだけ悪女ぶりを発揮された状態で「もしルルーシュとナナリーに子供作らせたら」発言とか聞くと、ルルーシュが妹に注いできたシスコン全開な愛情についてもよもや…とか勘ぐってしまう。母としてルルーシュが妹に固執するような「教育」という名の誘導は出来るわけだし。

ルルーシュの皇帝就任後はほぼナナリーの視点から物語を描くに終始していて、これが結構面白かったです。特にアーニャやスザクに対して辛く当ったり、ルルーシュにダモクレスの鍵を奪われて兄を詰った時の心情とか、最終的には自分の意思でルルーシュとほぼ同じ事をしようとしていたというあたりは凄く面白かったので。あと、死ぬ直前のルルーシュがCの世界を通してナナリーに呼び掛けるシーンは、あの兄妹好きならマジ必見です。もうなんていうか、ルルーシュ良い兄貴すぎるよ…。

ただ、ナナリーにずっと焦点があたってるおかげでルルーシュ達のやってることは片っぱしから飛ばしまくりだったのが個人的には気になった。ここまできたらルルーシュがシャルルを倒してから皇帝に就任するまでの空白の数か月何があったのか(おもにスザクと)とか、その辺の穴埋めも期待するじゃんよ!!!…いやまあ、下手に公式発行物があそこを埋めてしまうと同人業界が阿鼻叫喚になりそうですけど。あと、ナナリーがサイコメトリー的な超能力に目覚めていたというのはちゃんとアニメでもやるべきだったとおもう(最終回に突然ナナリーが兄のやろうとしたことを悟ってしまった下りは、不自然に感じた人も多いはず…)

ナナリーの葛藤やら人間的な成長やらが非常に面白く描かれていたと思うので、もういっそ本編追うんじゃなくてナナリーメインの本編補完スピンオフとして出せばよかったんじゃないかなあ…と思うのです。ていうかこの内容でタイトルが「コードギアスR2」であらすじが原作アニメと同じことしか書いてないのはもはや詐欺の部類だと思うんだ。無理に本編ノベライズという形で出さない方が良かった気がする。(特にこの巻では、アニメ本編で行われたやりとりの殆どは「説明」という形で省略されていて、それのせいで凄くテンポ悪い)

エピローグは原作アニメでも話題になった「ルルーシュ生存説」を強化するような形でそれでもルルーシュの生死自体は上手いことぼやかされていて、この終わり方は凄く良かったと思う。派生作品で死亡側・生存側に固定されてしまうのは正直いやだなあと思っていたので。


コードギアス反逆のルルーシュR2 TURN?3?

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8


自分に、ギアスにかかわったせいでシャーリーは命を落とした……ルルーシュはその怒りの矛先をギアスという力に向け、零番隊に“ギアス嚮団関係者の殲滅”という命令を下す。それまでの命令とは打って変わった非道な作戦に戸惑う零番隊の面々。一方、ギアス嚮団に踏み込んだルルーシュは「Cの世界」と呼ばれる謎の空間でブリタニア皇帝・シャルルと邂逅する。
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ギアス嚮団殲滅作戦から東京租界へのフレイヤ発射までの場面を描く、ノベライズ第三弾。2巻の時にも思ったんだけど表紙と内容がちょっとずれてない?TURN2の表紙はもろに「Cの世界」前後のネタだし、今回の表紙もこの組み合わせが正しくなるのはこのだいぶ後だよねえ…

相変わらずノベライズというよりアニメの副読本として面白いこのシリーズ。個人的にはアニメ本編の裏で陰謀を張り巡らそうとするシュナイゼル&カノン主従の動きが面白かったです。シュナイゼルはなんだかんだいって結構早い段階からゼロの正体に気付いていたんだなあ…とか。中々良い黒幕ぶり。アニメ視聴を前提としたストーリー展開の所為か、ナナリーがいかにしてあの場面を抜け出したのか描写してくれたのもポイント高し。できればここまで原作のネタバレをかますなら、どっかに『アニメ見てから読んでください』くらいは書いて欲しい気がするけど。

そして秀逸なのはルルーシュとスザクが枢木神社で相対する一連のやりとりでした。復讐に縛られていたスザクが現在のルルーシュにかつての自分の姿を重ねて、そんな自分を救ってくれた在りし日のユフィを思い出して、彼なりのやり方でルルーシュを赦そうとする心の動きが非常に良かったです。実際、ここから終盤にかけてのルルーシュの行動は哀しくなる位にかつての(ルルーシュにギアスをかけられる前の)「死にたがりだった」スザクと似通っていると思うので、かつて同じところに居たスザクには少しだけでもルルーシュの想いが判ってしまったのではないかと。余談ですがこの場面を読んでる際、ジャストタイミングでipodから「あんなに一緒だったのに」が流れてあまりのジャストフィット具合に噴きました。ジャストフィットなんだけど、挿絵はスザクがルルーシュの頭を踏み踏みしている場面なのでもう合ってるんだか合ってないんだか……(笑)

恐らくこのノベライズもあと1冊か2冊くらい?原作では空白地帯の多い部分に突入するのでどうやってその部分を埋めて行ってくれるのかがとても楽しみです。楽しみにしてます。

ところで、作中にこんなセリフが登場するのですが…この辺の説明ってアニメにもありましたっけ?物凄い気になってるので引用します。原作アニメでいうと15話「Cの世界」のあたり。

「肉体の不死は、コードの本質じゃない」
「っ?」
「コードの不死性が持ち主の体に働くのはあくまでも副次的なもの。コードの本質とは、人を、世界を固定化させることにこそある。根源から生まれ、やがては根源に返っていく人。しかし、コードは人を根源に返す事を許さない。輪廻の輪を断ち切り、自らが選んだ刹那の時間に人を、そして、人が成り立たせる世界を留め置く。それこそが、真の意味でコードを『使う』ということ」
「………」
「もっとも——」
女はやはり目を閉じていた。
「そこまで到達したコード保持者は一人も居ないけれど。あなたが知る『私』も含めて。ささやかな願いから始まったギアスは人を溶け合わせ、やがてコードの使用が可能な存在を生む。
でも、コードそれ自体も本質を発現させるのは、とても難しい。なぜなら、個人個人が受け継いだコードも、その瞬間においては完全ではないから。世界を固定化し、輪廻を繰り返す根源の渦から切り離すには、コード自体もある種の成長をとげなければならない。けれど、それを成し得た保持者は誰もいない。誰も」

これが小説版オリジナルのセリフだとしたら、わざわざこんな意味ありげな長文を言わせるのはエンディングでのルルーシュ生存エンドへのフラグだと期待してしまう私が居るのですが……何らかの形でC.C.の命は奪わずコード能力だけを受け継いで、コードの能力を使って生き延びたとか。ていうか、そうじゃなかったらこんなところでこんなに詳しくコード能力説明するかなあと(原作では「不老不死能力」としてしか認識されていない気がしたので……それともシャルルの計画のあたりで生きてくる設定なのか?)

でも本当に小説版のラストが何らかの形でルルーシュ生存エンドになるんだとしたらアニメ本編でやってほしかったような気が……結局丈が足りなくて描ききれなかっただけなのかとか…ううーん、複雑な心境です。


コードギアス反逆のルルーシュR2 TURN?2?

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8


エリア11の総督として日本に戻ったナナリーは失敗に終わった「特区・日本」の再建を宣言し、黒の騎士団にも参加を呼び掛ける。しかし、あまりにも前回とは状況が違い、人々は見向きもしない。そんな中、特区日本に参加すると表明したゼロは100万人の“日本人”を引き連れて……
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ナナリーの視点を中心にコードギアスR2の物語を補完するノベライズ第二弾。「特区・日本」の再建騒動の辺りから、シャーリーのあの事件までの物語の裏側を描きます。相変わらずアニメ未視聴者立入禁止な雰囲気がとても素敵です。

エリア11に赴任してすぐ、特区日本の再建をやろうとして大コケしてしまったナナリーが、「ユフィのやろうとしたことを継ぐ」のではなく、様々な人から自分なりのやり方で“優しい世界”を作るということを教えられ、エリア11総督としての信頼を勝ち得ていくまでがかなり丁寧に描かれているのがとても良かった。アニメ本編を見ていないと楽しめない物語ではありますが、本編のノベライズというよりナナリーという一人の少女の成長物語として普通に面白かった。

ナナリーの精神的な成長も注目なのですが、やはり今回の話で光輝いていたのはルルーシュの妹LOVEっぷり。あんた中華連邦と黒の騎士団がドンパチやってる合間にそんなことしてたのかよ!!100万人の“ゼロ”を国外追放にさせた件の真意と言い、とにかく要所要所でナナリーへの愛が滲み出るバカ兄貴っぷりに爆笑させてもらいました。ナナリーを身の危険に曝したスザクの騎士としての不手際をC.C.に愚痴るシーンなんか、完全に嫁をいびる姑の域。やってることはものすごいかっこいいのにな!

未熟ながらも少しずつ自らのやり方で柔軟な思考を持って政治に臨んでいく健気なナナリーの姿がとても魅力的に映るがゆえに、そのあとの展開を考えると胸が痛くなる……。

それにしても、この一連のエピソードがアニメで放映されないのは惜しい。アニメのコードギアス本編を3クールか4クールにして、小説版のエピソードを盛り込んでほしかった。確かに小説版で語られるエピソードは「静」のエピソードが多くてこれをアニメに追加したら毎週クライマックスのようなスピード感は薄くなると思うけど、それでもキャラクターの理解の為に盛り込むべきだったと思う。

アニメ本編はこの直後から急転直下、毎週クライマックスの如くな展開に突入していきます。今後どういう風にこの物語が描かれていくのか、とても楽しみです。


コードギアス反逆のルルーシュR2 TURN?1?

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8


「ブラックレベリオン」の際、謎の少年に連れ去られたナナリーは皇族としてブリタニアに戻る。最愛の兄・ルルーシュの行方を案じながらも兄の重荷となっていた事を自覚した彼女はかつての姉・ユーフェミアの遺志を継ごうと決意するが…
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「コードギアスR2」のノベライズ第一弾。ナナリーの視点を中心に、前シリーズ最終話後からナナリーのエリア11総督就任までを描きます。

ブリタニアに居るナナリーからの視点ということで例によってアニメ序盤で語られる物語はほぼ全部スルー。完全にアニメを見た人向けの内容となっているけど、今なら丁度本編の無料配信もあるし、販促小説としては丁度良いのかも。イマイチ本編では影の薄いスザク以外のナイトオブラウンズの、特にアーニャがとても良い味出してました。腹に一物もってそうなシュナイゼル兄様も影で大活躍。

一方、すっかりルルーシュへの復讐を心に決めたスザクさん。時折覗かせる冷たい表情がとても怖いです。復讐の為ならなんでもやっちゃいそうなスザクさんがとても恐ろしいです。というか、ナナリーに地味に死亡フラグ立ってる気がするのは気のせいか…。そして初登場からヤンデレ全開なロロさんにも注目。こええよ…ルルーシュの周りに居る男性キャラ皆こええよ…。

また、前シリーズ終了直後にあれだけの衝撃を受けていたカレンがどうして再びゼロの下に居るのかの理由が明かされたのは興味深かった。C.C.とのやりとりが何気にすきなのですが、この二人もっと絡まないかな。以前のような盲目的な依存をするのではなく、等身大の少年として「ゼロ」を見るようになって、その一方でナナリーと同じ“兄を持つ妹”としての立場からゼロの行動に疑問を抱き、見極めるために再びその傍に居る事を決意するという姿がとてもかっこよかったです。カレンはアニメ版でもなかなか良い味を出してるので今後の活躍が楽しみ。

アニメ本編の補完として読む分には文句なしの出来でした。今後もアニメはしっかり追いかけていく予定なので、今後の小説版の展開にも期待してます。


コードギアス反逆のルルーシュSTAGE-4-ZERO

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗
[絵]木村貴宏/toi8

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行政特区日本を巡る一連の事件から本編最終話までを描いた、ノベライズ第四弾(過去話を含めると第五弾)。

ああ、ほんと前回での展開が楽しかっただけに、富士での特区日本の事件以降の展開が辛かったです。あのタイミングでギアスが暴走するとかルルーシュの間の悪さは異常。特に小説版を読むと、これまでルルーシュがどれだけ自分のギアスに頼りっきりだったのかがモロに浮き彫りにされてきてもうなんというか…他の人間を根本的に信用できなかった結果ではあるのだろうけど、もう少し自分の作った「黒の騎士団」を信用して、作戦を任せても良かったんじゃないかなあ。

自分がユフィにやらせてしまった行動とそれによって引き起こされた惨劇に打ちのめされながらもその犠牲を少しでも無駄にするまいと行動しながらも、動揺を隠せないルルーシュ。一方で頑なな心を漸くユフィによって救済されかけ、再び地獄に叩き落されるスザク。なんかどっちの考えにも同情できる部分があって、ほんとなんともいえない……。ユフィがああなってしまった直後のゼロのセリフに違和感を覚えるカレンという構図も面白かったです。本当に最期まで何もわからないままだったユフィの想いも、凄く痛かったです。これで少しでも状況を理解していたのならまだ少しは救いがあった気がするんだけど。各キャラの心理状態が描かれることによって、絶望に彩られたラストの展開がますます救いがない展開に見えました。続編で補完されると信じてるけど、ほんと容赦ない…。

基本的には今回もアニメのエピソードを忠実になぞっていているのですが、ルルーシュがユフィの「行政特区日本」の構想に賛成できなかった理由とか、ブリタニアの皇族が地位を返上する意味、アニメ版でイマイチ腑に落ちなかった部分がちゃんと補完されてるのがすごく良い感じです。個人的に唯一残念だったのは、最終決戦前のスザクが『ルルーシュ』に電話をかけるシーンがまるまるカットされていたこと。おそらくこの時点では既にスザクはゼロの正体に気付いているわけで、どんな気持ちでルルーシュとあの会話をしたのかは物凄く興味があったので…というか、スザクに焦点を当てるというのを公言してるノベ来図なのに、このシーン抜いたらだいぶ片手落ちだと思うんだけどなあ。

全体で見るとツッコミどころも多々あったノベライズでしたが、結構楽しんで読めました。R2のノベライズも来月から発行されるようなので、そちらも楽しみ。


コードギアス反逆のルルーシュSTAGE-3-SWORD

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗
[絵]木村貴宏/toi8
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スザクがユフィの騎士に任命されるあたりから、キュウシュウ戦役のあたりまでを描いた、ノベライズ第三弾。STAGE2までに散々感じた、物語の不恰好なつぎはぎ感が綺麗に無くなって、普通にアニメのノベライズとして楽しめました。まあSTAGE2の後書きにあるスザクに焦点を絞って云々が本当なら、もうこの先は基本的に重要エピソードには全てスザクとルルーシュが二人でかかわっていく事になるわけだけど。

アニメでもそうだったのですが、この辺からユフィがどんどん可愛くなっていくのでとても萌えてしまいます。更に、神根島でユフィにいいとこ見せようとして滑りまくるルルーシュが可愛くて仕方ありません。落とし穴の配置と脳内シミュレートは完璧なのに、功を焦って自分の体力を計算に入れてない辺りがルルーシュの駄目なところですよね(でもそこが好き!!

一方で、今回は完全にスザクの心理状態にスポットの当たった巻となってます。ぶっちゃけスザク祭です。過去の事件によって人間としてどこか欠けてしまったスザクが様々な人々に心配されつつ、ユフィと出会うことで少しずつ人間らしさを取り戻していく物語であると言い換えても良いのではないかと。

アニメ版を見た際、ある意味目的も考えもはっきりしていて理解しやすいルルーシュに対してスザクはどこかちぐはぐした印象(行動・発言はとても正義感溢れる偽善者なのに、一方でルルーシュ以上に冷酷で独善的な印象があった)を受けて、その辺が引っかかっていたのですが、その辺がようやく納得できました。7年前の事件でルルーシュ以上に傷つき、大事なものを亡くしてしまったのはスザクだったんだなあと。ユフィの騎士を辞退した真相なんかも、ただ自責の念に駆られただけではなくて、彼の根幹に関わる予想以上に深い問題だったわけですね。

そんなスザクが自らの傷に折り合いをつけ、そして作中でも髄一ゼロと共同戦線を張るキュウシュウでのくだりはこの作品とは思えないほどに熱くて、アニメでも大好きな場面でした。というか、ここぞとばかりにゼロがいいとこ持っていきすぎなんだよ!!澤崎の問いに対する対照的な二人の回答が、とても印象的でした。こんな二人を目の辺りにしてしまったら、ルルーシュやユーフェミアが全く違う立場から「二人が手を取り合う未来」を夢見てしまった気持ちも判る気がする。

しかし、ここで一瞬だけでも「人間らしさを取り戻したスザク」と「スザクとルルーシュが手を取り合った未来」が垣間見えてしまっただけに、次の巻でやってくる、最悪の顛末を恨まずにはいられない…。


コードギアス反逆のルルーシュSTAGE-2-KNIGHT

[著]岩佐 まもる
[原案]大河内 一楼/谷口 悟朗
[絵]木村貴宏/toi8


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ナリタ攻防戦から藤堂の救出戦前後にわたる物語を別の視点から語るノベライズ第三弾。ナリタ攻防戦の後のユフィとスザク、ルルーシュが居ない間のC.C.とナナリーの一幕、C.C.とマオの馴れ初め話、ミレイとロイドのお見合い話……など、アニメの裏側で語られなかった裏側を中心に描きます。

過去話として独立していた0巻はとにかく、1巻「SHADOW」はアニメ本編を見ていないと全く理解できない内容だったのでアニメ本編視聴するまで読むのをストップしてました。漸くR2最新話まで把握できたので、ノベライズ版に手を出すのを再開してみたり。

内容としては一部本編エピソードもありますが、基本的には各キャラに焦点を当てたスピンアウト短編集といったノリで、それを強引に時系列に繋いで繋ぎ合わせて無理やり1つの物語扱いしている印象を受けました。そのため、R2等をきっかけにギアスに興味を持って、小説版で本編補完を……と思って手を出す人には絶対にオススメできません。本編補完は動画配信かDVDかマンガ版でNE!!!ということらしいです。1巻では黒の騎士団結成エピソードが丸々省かれていて、当時アニメを見ていなかった私には何がなにやら状態でしたが、2巻ではルルーシュとシャーリーの恋の顛末とか、ルルーシュとマオの対決が思いっきりスルーされているので(というかそのエピソードを知っていること前提に物語が進むので)アニメ見て無いとすごい勢いで置いてきぼりくらいます……。

なんかこういうつくりにするなら、ナリタ攻防戦や藤堂救出のエピソードも省いてしまって、外伝的な短編集として売り出したほうが良かった気がします。半端に本編に忠実なエピソード挟むから他のエピソードが歯抜けになるのが気になるんだよね…。ついでに、裏表紙のあらすじだけ見るとどうみても本編の忠実再現っぽいので、本来この小説がターゲットにしているであろうアニメ視聴者はあまり買ってないんじゃないかと思うんだ…。

エピソード的には、ルルーシュ不在のC.C.&ナナリーのやりとりと、ミレイさんのお見合い話が面白かったです。小説版はナナリーに結構焦点が当たるのでとてもよいと思う。ナナリー可愛いよナナリー。ミレイさんのお見合い話は、チャランポランで破天荒なミレイ会長の知られざる、『アッシュフォード家の長女』としての姿が見れたのが興味深かったですね。個人的にはロイドと上手く行ってほしいな?と思ってたり。あと、なんといっても一番最初のナリタ攻防戦直後のルルーシュとC.C.のやりとりが凄く好きです。一生懸命遠まわしな婉曲表現を考えるルルーシュさんが非常に可愛らしい一幕なのですがルルーシュさん、間が悪い自分をちゃんと認識してたんですね!ってあたりが。

あと、後書きでも描かれている通りルルーシュよりもスザクに焦点を当てているのが面白かった。原作アニメを見ていた際、スザク側立ち居地が殆ど読み取れなくてその辺がちょっと引っかかってたので、ノベライズで上手いこと補完してもらったカンジでした。特に、ルルーシュがナナリーの次くらいにスザクを大事に思っている一方で、幼い頃とは変わってしまったスザクの笑顔に一抹の不安覚える描写とか、凄く興味深かった。ストーリー終盤やR2に続くことになる二人の関係を予感させて背筋が寒くなる一瞬なのですが、それ以上に……ぶっちゃけルルーシュは自分の身内だと認定した人間は結構無条件に信頼しちゃうイメージがあったので(笑)

よし、とりあえず歯抜けエピソードについての不満はここで一気に吐き出したので、STAGE3以降は純粋に短編集として楽しむぞー。


コードギアス反逆のルルーシュ STAGE-1-SHADOW

[著]岩佐 まもる [原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8

大国ブリタニアにより征服され、“エリア11”と呼ばれるかつての日本。ブリタニアの皇子であったルルーシュは無残に殺された母の復讐と、光を喪った妹・ナナリーの幸せを護る為に父王への反逆を決意する。謎の少女・C.C.により“ギアス”という能力を手に入れた彼は仮面を被り、黒の騎士団という組織を率いて義姉であるエリア11総督・コーネリアに戦いを挑むのだが…
 

人気アニメ「コードギアス」のノベライズ第二弾。「STAGE-0-ENTRANCE」ではメインキャラクターの過去が描かれましたが、2巻となる「STAGE‐1-SHADOW」ではアニメ本編の9話くらいの内容をノベライズしているようです。

うーん、ストーリー自体は面白いし、ノベライズ自体としての出来具合はかなり成功だと思うんだけどなんでこれ、放映中に出さなかったんですかね。たしか「STAGE-0-」が発売された時点でアニメが既に終了しており、ノベライズにより興味を惹かれることは惹かれたのですがDVDをレンタルするほどじゃないなあ…と放置してたんですよ。特に前巻は過去編であるため、そこまでアニメへの興味には至らないのですが、この巻ではアニメの内容を、結構重要な部分を飛ばしていきなりノベライズしているので、アニメを知らない人は置いてきぼりな部分が結構…。

というか「STAGE0」の前に「STAGE1」を出してしまってでもこちらを早めに読みたかったです。以前酷評した「銀色のなんとか」ってアニメがノベライズされたのと同じくらいの時期にこれが出てくれたら、確実にその後アニメ見たと思いますよ。

なんかどうしてもノベライズ→原作へ手を出す事の多い自分としては、読む際に「どれだけ原作ファン以外の人間を原作へ引き込めるか」という部分を重要視してしまうのですが、それを考えるとこの本は内容的には合格なのですがどうしても時期が悪いです。今月末放送のSTAGE24&25が発売されるからそれに合わせてるんだろうけど…それまでに地上波でもスカパーでもいいから再放送してくれないものでしょうかね。やっぱDVD借りて見ようかなあ…。

ノベライズ…というか、やはりこの本の発売時期については色々ツッコミたい部分が多いですが、ストーリー的にはいい具合に原作を知らない人間に興味を持たせる程度に色々と匂わせながら、原作アニメファンを主眼にすえた、面白い作品に仕上がっていると思います(アニメファン的にどうなのかは、自分では原作見てないので他所様の感想から推測)。

特にれっきとした「ロボットアニメ」でありながら、主人公であるルルーシュの持つ能力が“相手の目を見る事で一度だけどんな命令でも絶対服従させる”という、ロボットを介さない能力である(ルルーシュ自身もロボットには乗るものの、お世辞にも優秀なパイロットではない)というのが斬新で面白かったです。なんか個人的には、戦略シミュレーション的な、デスノのような頭脳ゲーム的外伝小説が出たら是非読みたいかも。冷酷を装っているけどスザクやナナリー等自分の大切な仲間は失いたくないと思っているところも非常に好感触。

また、C.C.はDVDのジャケットとかを見る限りクールな不思議少女という印象だったのですが(そしてそのイメージはあながち間違ってないんですが)、その反面ピザが大好きでルルーシュの家計を圧迫しているなんてエピソードが入ってたりして、予想以上に漢らしい女の子でした。彼女とルルーシュのやりとりは結構コミカルで面白かったです。

結局読んでるうちにどんどん原作アニメへの興味がわいてきてしまったんですが、やっぱ次巻を買うかどうかはそれまでにアニメを見ているかどうかに掛かってしまいそうです。秋からアニメの第二期も始まると言う事だし、それまでに一回通しで見たいです。


コードギアス反逆のルルーシュSTAGE-0-ENTRANCE

[著]岩佐 まもる [原案]大河内 一楼/谷口 悟朗 [絵]木村貴宏/toi8

世界を謁見する大帝国・ブリタニアの皇子であるルルーシュとその妹ナナリーは中立国である日本に留学と言う名で送られる。二つの国が戦争へと突き進む中、自分とナナリーの周囲は全て“敵”と心を閉ざすルルーシュ。しかし日本国首相の息子・スザクには少しずつ心を許していって…
 

2006年度の腐女子界の話題をかっさらった(笑)人気アニメのノベライズ。好きな同人作家さんが片っ端からこの作品に流れていっていたのですが結局アニメ本放送は見れなかったので小説版だけこっそり読んでみました。

私はノベライズ作品を読むとき、原作を知らない場合は「原作にどれだけ興味を惹かれるか」、知っている場合には「どれだけ原作の雰囲気を壊さずに原作とは別の事をしてくるか」というのをポイントにして読んでいるのですが、とりあえず「原作を知らない読者に原作への興味を向ける」という点ではかなり良かったと思います。アニメ版の7年前の話という事で、その後別の道を歩むのであろうスザクとルルーシュの友情や惹かれあう姿がが描かれていて、7年後の本編ではこの二人がどういう物語を繰りひろげるのか凄く興味惹かれました。

逆に今回は全く原作知識が無いまま読んだので原作の雰囲気をどれだけ踏襲しているかは判断できないのですが、解説でのネタバレを見る限りこれを読むと結構一部キャラの印象が変わるのではないかという印象をうけました。特にネタバレを読む限りスザクの父さんの印象は相当変わりそうです。アニメ好きの方も読んで損はしないと思います。


しかし、世の中の腐女子の皆様が熱狂する気持ちがちょっと判った気がしますよ!人間不信気味ツンデレのルルーシュと父親の思想の影響を受けてブリタニア人であるルルーシュ達にあまりよい感情を持っていなかったスザクが段々お互いに惹かれあっていく(←本編文章に本当にそう書かれている)姿は非常に萌えます。ナナリーを加えた3人の奇妙な関係も凄く良いですね!

アニメ本編はロボットアニメのようなので、ロボロボした設定が全く出てこなかったのがちょっと残念ですが、非常に面白かったです。アニメ本編に興味はあったものの結局見なかった方も、スザクとルルーシュのカップリングに萌え燃えしている腐女子の皆様にも、普通にアニメ版が好きな方にもオススメです。

ていうかどうしよう 今凄く アニメ本編が  見たい