[著]縞田 理理 [絵]山田 睦月 辞表を提出し、姿をくらませたカートを説得して連れ戻す為、ミリシャと共に彼の実家へやってきたジョエル。しかし、ジョエルの血を吸おうとしてしまったカートは再び同じ事が起こるのを恐れ、二人の説得を頑として聞き入れない。そこに、カートの父親を名乗る男性が現れて… |
何よりも、カートの父親・クラウス氏のキャラクターが最強。軽妙なノリでルーシーやジョエルの質問をかわしてみたかと思えばシリアスな表情で実の息子に迫ったり襲ったり(笑)、かと思うとエルモに対しては全く頭が上がらなくて、弱気になって必死になって息子にメッセージを伝えようとしたり……軽妙かと思えばヘタレ、シリアスと思えばギャグ…という具合にどんなキャラでも美味しくこなしてしまうスーパーお父さんに完敗。
彼がヘタレてしまったおかげでラストバトルは一気に軽くなってしまった気がしてなりませんが、あれはあれで面白かったので良し。圧倒的な力を持つ神二人にけちょんけちょんになるまで振り回されるクラウスパパンの姿に、シリアスな話のはずなのに大爆笑してしまいました。登場してからカートやルーシーと和解(?)するまではカッコイイキャラだったのになあ…
そして彼らの10年後が語られる短編「サークル・サウスの昼と夜」は、このシリーズのラストを〆るのにまさに相応しいカンジのほのぼの話。どこかシリーズ開始当初のジョエルを思わせる青年・ボブの姿が見ていてほほえましかったりするのですが、それ以上に各キャラクターのその後がしっかり描かれているのが好印象でした。特にミリシャの10年後は様々な意味で必見。いつかジョエルとミリシャが晴れて相思相愛になった暁には彼女が素晴らしい姑っぷりを発揮する予感がして、今から実に楽しみです。ところどころにさりげない
個人的には申し分の無い終わり方で、3巻が一番ツボだったかも。すっかり「伝説のペア」として有名になってしまった10年後のジョエル&カートコンビの雰囲気が素敵すぎで、また何かの形で外伝が読めれば良いのにな?、と思ってしまいました。